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現実世界でチートだった男が異世界に行ってもほぼチートだった件  作者: 松本隼龍


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野営と串焼き

ここから数話バトルが続きます。

強化魔法で足を速くした状態で街道を半日歩き、夕方に近づいた頃、潜伏するにはちょうど良い森を見つけ、そこで野営をする事にした。ここからは敵の哨戒の地域だろう。用意していた広い布を木と木の間に括り付け、簡易的な屋根と側面覆いを完成させる。「イデア。」と久々に具現化したのは自衛隊偽装布覆い、通称「バラキューダ」、女性陣の寝所と飯場の2つに設置、鳴子を周囲に張り巡らせ、併せて不測の雨水などの流出用の側溝も掘っておく。女性陣にはその間に飯場のかまどなどを準備して貰った。

「火の光は夜間、かなり遠くの場所からも発見できる程になりますので日の光がある内に調理を済ませます。」

「了解っす。」

「分かりました。」

本日のメニューはランフォーの胸肉とポガポガのバラ肉にギネマを間に挟んだ串焼きだ。塩とペッポの粉をふんだんにかけて焼いていく。胡椒の匂いは潜伏している時には見つかってしまうかもなので少々気掛かりだったが、串焼きにはタレが無いなら塩と胡椒っしょ?

奥と手前に積み上げた石に串を渡し乗せて火にかける。新鮮なペッポの香りが食欲をそそる。出発前にランフォーの肉も食べてみたがモモも胸も肉が柔らかく、牛肉に近い味だった。主食は草食であるのだろう。ペッポの実を求める所を考えると自ら美味しくなりに行ってる?と勘違いしてしまう。

「今食べても夜中にお腹空いちゃうだろうから私のアイテムBOXに一時的に保管しますね。」

焼かれて行く串をアイテムBOXに入れ、また次を焼いていく。味は後のお楽しみだな。

焼き上がった残火で今度は無限水筒から水を取り出し、オニオンスープならぬギネマスープを作る。ペッポの実様様だなぁ本当に。小分けにして各自に配れる様にしてこちらもアイテムBOXへ。

「良し、じゃあ皆は半日歩きの疲れを癒してて下さい。」

「カナリ様は?」

「俺は周囲の偵察に。チャル、お二人をしっかり守ってて。」

「了解っすけどすぐ帰って来て欲しいっすよご主人?」

「大丈夫、飯の頃合いには戻るから。」


そういって森の周りから進行方向に向かって偵察を開始した。視力は良い方だがここは流石に双眼鏡を具現化。人の足ではだいぶ遠いであろう距離に見える小高い山、感覚標高500m。あそこを越えたらソーアの都市が見えるのだろう。俺が攻撃を仕掛けるのはあそこからになりそうだ。その標高ならアレを使って街に降りるのが手っ取り早そうだな。

色々確認して森に戻る。


ねちゃ‥‥


何か液体の様な物を踏んだ。


それは一筋の蛇行した線で、俺が向かっている所と同じ方向へ続いている。嫌な予感しかないし嫌な予感は大抵当たるものだ。


皆!と叫び全力ダッシュ!


野営地が見えたと思ったらその手前には巨大な蛇。アレがスネーターとかいうやつか。おそらくペッポの実の匂いに釣られたか、森の主かって所だが‥‥俺が見た時には動きを止めていた。

「ハルエ‥‥さん?」

格闘を嗜むと言っていたハルエさんが見事にスネーターの首根っこを両腕で締め上げている。グゲゲ‥と白目剥きそうなスネーター。尻尾にはチャルの短剣が刺さり、地面に固定されてしまっている。だが致命傷には至っていない。ここはそのまま俺がトドメを刺すべきだろう。

「ハルエさん!チャル離れて!」

「!!」

ハルエさんとチャルが離れた瞬間、イデア!と唱えて生み出したのは「忍者刀」


ドカッ!!  ズバシュッ!!!!!


スネーターの首を蹴り上げて体を縦にしてから刀を右から左に薙ぎ払い、スネーターの首を一刀両断した。そのまませっかく作った野営地に血飛沫が飛ばない様に切り口の方向を調整しながら、胴体を端に蹴り飛ばす。

「大丈夫でしたか!?やはり離れるべきではなかった。」

「大丈夫ですわ2人が守ってくれましたから。」

斬る瞬間に目を閉じていたイセが答える。決定的な瞬間は見ていない様だ。至近距離過ぎてトラウマになったらと思ったがその心配はなさそうだ。


他の2人を見ると、久しぶりに動いたからなのかハルエさんは筋肉の張りを確かめている。チャルは短剣を引き抜き血糊を地面に振り切り、こちらに寄ってきた。

「いやぁ匂いに釣られて来たんすかねぇ?大物だったっす。」

「すまない。地面にねちゃっとした感触があって気が付いてすぐ戻ったんだが。」

「大丈夫です。お嬢様も何ともありませんし、私も久々に技が振るえて気分が良いです。この粘液さえ落とせれば。」

スネイターの腹側の粘液が締め上げた時に付いたのか。俺は無限水筒から水を流し、洗い流すだけならとイデアで元の世界の石鹸を取り出し、粘液を落として貰った。

「これは‥とてもよく落ちますね。花の香りもします。」

ハルエさんも気に入った様だけど汚れを落とした後にはアデイしてその花の香りは消える。ちょっと残念そう。

そして一旦この巨体はアイテムBOXへ。唐揚げにすると美味しそうだ。

「コイツは戦いが終わってから調理する事にしましょう。」


アレ‥?



ガタタッ!!



その瞬間膝がガクッと崩れ落ちる。


「カナリ様!」  「ご主人!」

咄嗟にチャルに支えられて踏ん張ったが膝をついてしまった。魔力でスピードを上げての歩き通し、そして忍者刀や偽装網といったイデアの使用頻度。低レベルの俺では少し無理が掛かったようだ。

「ありゃりゃ。ちょいと魔力を使いすぎましたかね。でもコイツを倒したから上限は上がったみたいです。すみませんが少し休ませて貰っても?」

「勿論です!というかもう食事に致しましょう。少しでも早く回復されなければ!」

というわけで遮光を施した簡易テントにて、ハルエさんが用意していた小さめのランプで灯りを確保し、先程作り上げた串焼きを取り出して配る。

「いただきます。」


バクッ


これは! 塩とペッポの効いたランフォーの肉が仔牛肉の様な柔らかさと脂身の少なさで噛み切れるし、脂身の少ないのと相まって胡椒の味が際立つ!その間にある火の入ったギネマの甘さで口直しにもなって


「うまーーーい。」


「本当に美味しいっすね!違った肉の味わいも楽しめて良いっす!」

「本当に美味ですわ。ケイブ様にも感謝ですわね。」


先程までの戦闘行為の記憶を払拭するには充分な味だった。堪能した後はお片付け。テントに入り込み、夜を明かす事に。元々女性陣の寝所しか作っていなかったので、俺は警戒の任に就こうとすると


「カナリ、リカーバ、スリプ。」


また強制的に魔法で眠らされた。

その後はハルエさんとチャルで交代して警戒についていたようで、夜明け前に俺は目覚め、チャルと交代する。そりゃあもうぐっすりと。


「さぁ 今日は決戦だ。」

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