女子会と理由③
今回で重い話はしばらく終わりです。新たなキャラの名前も募集しております。よろしくお願いします。
「3つ目は‥弟さんを守る為っす。」
「弟様‥ですか。」
肉親の情愛は至極当然だと思ったが先程の祖父の話を聞くとむしろ肉親は憎い対象ではないのかと思ってしまっていた。
「弟さんを生まれた時から面倒を見て、妊娠出産授乳といった女性でなければ出来ない事以外は出来るようになっていったっす。でも所詮はご主人も当時は子供。夜中日付が変わるまで親が帰って来ない事もあり、泣き止まない弟さんをなんとも出来ずに自分が泣いちゃったら弟さんが泣き止んだ。みたいな事もあったみたいっす。」
なんて愛しい話でしょう。私だったらその場で抱きしめてますわ。勿論今もですが。
「その後両親は離婚してご主人は心ズタボロのまま、母親の負担にならない為に父親の方についたっす。結局先程の状態になり、その後、母方に戻ってからも自分よりも弟さんを大事にしてたっす。」
それを聞いてハルエは気づく。
「‥それでも自衛隊に行ったんですね‥。」
「その通りっす。理由は先程の通りっすけど自分が更に上の学校に行くよりも、その学費分は弟さんの資金に回して欲しいって願いも含まれてたっす。実際にそうなってそれは良かったっす。」
本当に他人の為にばかり動く人なのですね。
「ただ自衛隊に行っている間にないがしろにされている弟さんを嘆き、休暇で帰ってきて少子化で友達も少なく遊んでもらえていない弟さんと玉蹴りをして、遊び疲れて気持ち良さそうに笑顔で寝てる所を見て悲しくなったみたいっすね。」
「それで先程の出来事も重なり、除隊の流れにと言う訳ですか‥。」
「そういうことっす。そのまま青少年育成の理事を務め、弟さん世代の環境を整えながら送り迎えや同世代の子達の世話を焼いていた感じっすね。その甲斐あって成績優秀、高身長、容姿は学校の祭りでの企画で女装男子の優勝者になるほど可愛い系に育ったっす。同窓生の女の子からの妬みを、理事としてご主人が聞くハメになるほどに。」
どんだけ可愛いんですの‥。この家系は突飛な人しかおりませんの?
「その弟さんも成人し、岩石などの鉱物の専門を修め、職についたことで一区切りしたのもあって議員活動に邁進する事になったっす。で、自分達の世代の苦しみを伝えられ、改善に動ける立場にようやくなれたのに、今度は同級生に自殺されたんす。」
「またですの?!あちらの神様はどれほどカナリ様を痛ぶれば気が済むのですか!」
ガツン!!!
イセは怒りが頂点に達し、立ち上がって車内の天井に頭をぶつけてしまった。
「うぅ‥痛い‥。」
「その痛さも心の内もお察ししますが、どうか落ち着いて。カナリ様が目覚めてしまいます。」
イセの頭を優しく撫でながらハルエは落ち着かせる。
「お怒りはごもっともっす。実際棺の前でなんで俺に相談するのを遠慮した!と叫び、その人の父親に謝りながら号泣してたっす。様子がおかしいことに気づき、同窓生で集まる会を開く段取りを伝える矢先の出来事っす。悔しさと流行病が蔓延する中、自衛隊の偵察隊の技量を駆使し、その死に関わった街の住人731人を割り出し、髪の毛が円形脱毛症で抜けるまでなったっすが、何か報復措置をすれば弟さんに犯罪者の弟という風評が勝手につき、迷惑が掛かる。亡くなった同級生も喜ばない。学生時代のイジメに報復しなかった状態と同じ状況下に今度は街単位でされたんす。それでも耐えてそれを再発させない為に働いていたのに、図星を突かれまくってた奴らが民の投票で決まる選挙という仕組みで暗躍し、あろう事か実の兄が個人演説の際に妨害行為。その場にいた母親はその幇助。色々頼りになるから大丈夫だろうと支援者にも思われたのも重なって、票は伸びず落選したってわけっす。」
チャルにとってもキツイ部分なのだろう。一気に言ってしまう所から見てもその苦しみが伝わってくる。
「落選後に同じく落選した2人の内1人が飲み屋で問題を起こし、政治的内容の広報誌にあたかもその落選した3人が起こしたかのように書かれ、完全なる存在の否定を受けたんす。もちろん支援者からは謝罪やそんな街からは出ろとか色んな支援の声も頂いてたっすけど、もう、この世に俺はお役御免なんだなと、ボクとの最後の思い出の場所近くの、自身で作っていた鍛錬場で死を選ぼうとした所‥ベルレ神様がこっちの世界に引き取ったんす。」
こうして長かったチャルの説明は終わる。
「ひどい‥あまりにも‥ひどいですわ‥。」
イセはついに両手で顔を覆い、涙を流し始めた。お嬢様‥と寄り添うハルエも左目からは涙が流れている。
「話せる理由は話したっす。ボクが全力で支えたい理由、分かって貰えたっすね?」
イセはしばらく涙と嗚咽に耐えながら、落ち着く為の深呼吸をした後、口を開く。
「っひっく‥ここまで話していただいて理解できぬ方がおかしいでしょう。私は今回護衛される立場でありますが ヒック! 全力でカナリ様を支援し、街に帰り、今後も力を尽くす事を誓いますわ!」
誓いを新たに色々と覚悟が決まったのか、ハルエに借りたハンカチで一気に涙と洟を拭き、気合いを入れるイセ。ここまでの話をされると普通の10代なら耐えられなくなってもおかしくないのだが、カナリもだがこのお嬢様もどこか芯の強い人だ。そうチャルもハルエも考えていた。
(だからこそ、支えたい(んっすよね)。)
ここでイセに1つ疑問が思い浮かぶ。
「チャル様?教えられない事があるといった割には随分と教えてくれたように思います。簡単で構いません。教えられない部分とはどんなものですの?」
「1つはボクとの出来事なのは分かって貰えたと思うっす。」
「一番最初に思い出させたくないと言っていた事ですわね。」
「もう一つは‥。」
チャルは先ほどまでの暗い様子から打って変わって明るい表情に変わって話出した。
「ご主人の好きな女性の趣味と性癖についてっす♪」
「んなぁ?!」 ガツン!!
そのまま先程と同じく立ち上がり頭をぶつけるイセ。そちらの方も最重要事項ですわ!!
「ニャハハ!それを自分で探って見つけられるぐらいご主人を見てくれる人じゃなきゃ到底任せられないっすー!頑張る事っすねーー♪」
挑発的に人差し指を立てて指を振るチャル。顔を真っ赤にして先程とは違った涙を溜めてイセは叫んだ。
「上等ですわーーーーーー!!!!」




