女子会と理由①
次回が重くなるので今回は軽めに。女子トークをお楽しみ下さい。
「生まれ育ったわけでは無い?ということは貴女も異世界人ということですか?」
ハッとした表情でイセは問う。
「具体的には少し違うっす。でもご主人のいた世界に存在していたのは事実っす。」
イセは思考を巡らせる。生まれ育ってはいないけども異世界人ではなく、カナリ様の世界に存在はしていた‥ どういう事でしょう? 1つわかったのは少なくともこの今見ているチャルさんの姿は人間型その物。という事は‥
「以前は人間ではなかった?」
「正解っす。やっぱり頭良いっすね。」
「そしてこの世界に顕現する時にこの姿になったと考えると確かに異世界『人』ではないですわね。そういう事ですか。今とは別の姿でカナリ様とは一緒だったと。」
「そうっす。もうイセ様が生まれる前ぐらいになるっすけどね。」
なんと、そんなに以前からカナリ様を見知っておられると。そうならば私が感じたカナリ様との距離感の近さにも納得が行きます。
「そしてボクがあの世界からいなくなってからご主人がどうなったか、その後どんな頑張りをしてどのような目に遭ったか、ボクは全て知る者っす。だからこそこっちの世界では生き生きとしてて欲しい。あの世界での恩を返すためにも全力で支えるっす。でもご主人には内緒にしといて欲しいっす。」
「‥それは何故?と問いたい所ですがカナリ様の知識量を見るに記憶力が優れていることは明白。」
「そう、あの時の事を思い出させたくないんす。」
その言葉を聞いてお二方にとってどれほど壮絶な別れがあったのか理解した。再会を喜ぶよりも勝る暗い過去が2人にはあるのだ。だが、
「それほどの情愛を持ちながら自分で恋人になろうとは考えないんですの?」
「それでもボクを選んでくれてご主人が幸せになるのなら、もちろん受け入れるっす。当然イセ様や他の方を選んでも全力で支えるっすよ。」
他の方、というのが少し気になったが、これは激励と受け取って差し支えない一言だろう。正直な所、そのある種のあんたより私の方がよく知っているんだよという余裕にぐぬぬと感じる部分がないわけではない。だがそれと同時に『カナリ様を一番良く知る者』が味方につくという言質が取れた事は私にとっては大きな助けを得た事になる。それを活用し、伴侶となれるようこれからもカナリ様に尽くすだけだ。
「その言葉に感謝を。私も頑張りますわ。」
「ご主人は魅力的っすからね。いつどうなるか分からないっすよ。」
「望む所ですわ。」
自分でも会って数日でここまで固まった覚悟が芽生えているのは不思議でしょうがない。これもベルレ神の導きからくる感情なのでしょうか?自発的な事だと自分では信じたい所です。
その自信に満ちたお嬢様の態度にチャルは少し口元をニヤリとさせ、話を続けた。
「正直なところ、ボクもこの身体になったっすからね。あの時出来なかった事をしてあげたい気持ちはあるんすよ?」
あの時出来なかった事、つまり『前の姿』では出来なかった事?
「ご主人も男っすからね。こんな3人の若い女性と長旅するんすから、いつ欲情してもおかしくないっす。その時に『解消』してあげられる身体である事はベルレ神様に感謝っす♪」
こちらに目線をやりながら、猫が寄り添って来るように寝ているカナリに頬ずりし、舌を出しながらドヤ顔を決めてくる。
「欲情‥ 解消‥。(プシュー)」
「おっお嬢様!?」
どうやらお嬢様は頭がヒートアップしてしまった様だ。顔を真っ赤にして頭から湯気が立ち上りそう。言葉では伴侶や御子を孕むと言っていても、所詮15歳の生娘と証明されてしまったのだ。
「ニャハハw その様子じゃまだまだみたいっすね!」
チャルのその笑いに我に帰ったお嬢様は心に誓う。
この方は協力者じゃない‥! ライバルですわ!




