表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
現実世界でチートだった男が異世界に行ってもほぼチートだった件  作者: 松本隼龍


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

12/25

実演と実践

ポガポガのソースカツサンドを食べた翌日、イセに魔法を習うため、俺とチャルは再び神官の館にやってくることになった。広い中庭に通され、そこにはイセが大きめの黒板を用意して待っていた。

「今回は私を頼りにしていただき誠にありがとうございますカナリ様!誠心誠意魔法をお教えさせて頂きます!」

よろしく頼みますとこちらも礼をして青空授業が始まった。

「少人数ですしその都度質問を受け付けますので楽しくやって参りましょう。まずは魔法学校で習う魔法の種類と大系について勉強して頂きますね。」


魔法学校。魔人族との軋轢を軽減するために人間族の各国が合同で設立した機関だと昨晩チャルに話を聞いた。この世界には7つの国があり、北方に魔人族の国クオカーフ、ガサ、キサガナルの 3カ国、南方に人間族の国ミヤーザ、オタイオ、ゴシマ、クマポンの 4カ国がある。現在いるここはミヤーザ国に属している。魔法学校は各国に存在し、イセはミヤーザ国の魔法学校の主席、つまりこの国最高レベルの魔法使いという事だ。


「魔法の種類は攻撃、防御、回復、補助、そして人間族では例が無いのですが召喚があります。大抵はこのどれか得意なものか必要だからかで選び、そこから学ぶのですがカナリ様はどの種類から学びたいとお考えでしょう?」

「ちょっと考えさせて貰えますか?」

はいもちろんです。と、にこやかにイセは考慮時間をくれた。

攻撃に関しては具現化でなんとかなる部分が多いからそこまで緊急性はない、防御は鳥獣害活動で必要性がある、回復はこれも昨晩判明した事だが、チャルは元々が回復魔法が得意なヒーラーであるとのことで優先順位は下がる、補助は肉体に補助がかかるという感覚がいまいち理解が及ばない所があるが必要性は防御と同じぐらいあると考える。さてどうしたものか。

「決めかねるので一度見せてもらう事は可能かな?」

やはり実際に見たもの聞いたもので判断するべきと俺の中の自衛隊の偵察隊の矜持が囁いた。

「カナリ様ならそうおっしゃると思ってこの場所を選びました。では順に説明しながらご覧になって頂きますわ!ハルエ!」

そう言った瞬間彼女の周りの気配が変わる。指示を受けて意外と中庭の遠くにいたハルエさんが大きめの人形を用意している。

「魔法の種類は先程示しましたがその中に属性というものがあります。即ち火、水、風、地、光、闇の6属性です。」

そう説明すると同時に彼女の周りに6種の光球が出現する。

「ラシオ!!」

一斉に6つの光球が放たれハルエさんが設置した人形に飛んで行った。当たる寸前となった所で、

「ブローカ!」

この一言で人形の前に障壁が出来、6つ全ての光球が弾かれ花火の様に霧散した。当然のように人形は無傷だ。

「今のが防御。全属性防御となると一瞬の障壁となってしまいますが今の光球程度なら全て弾けますわ。」

正直凄いの一言だ。簡単に言っているが彼女は攻撃と防御合わせて12の属性の魔法をほぼ同時に放ったことになるのだ。そしてランフォーの討伐の時にはこの障壁を家屋に張り続けていたという事でもあり、とんでもない技量と魔力量だと分かる。

「回復は現在皆様怪我をなされていませんのでお見せ出来ませんね。これはまたの機会に。次は補助ですね。実は魔力消費は攻撃よりは少ないのですが少し扱いは多岐に渡るため詠唱が長くなり複雑になっております。それと大きく分類して肉体補助と空間補助の2つに分けられますわ。」

付与された者のスピードや防御を上げるのが肉体補助、物を持ち上げて移動させたり暗闇を明るくしたりするのが空間補助という事らしい。

「肉体補助はこんな感じですわ。ハスティード!」

そう言った瞬間彼女は通常のザ◯の3倍のスピードで人形とハルエさんがいる所まで移動した。そしてすぐに戻ってくる。

「これが肉体強化で素早さを上げたものですわ。次に空間魔法ですが、ゲルメック!」

突如ハルエさんの位置にある人形が浮かび上がり、こちらに飛んできて着地した。そして周りの一部が暗くなる。

「こうやって物を運んだり周りを暗くしたり出来るのが空間魔法です。」

「いやー凄いの一言しか出ないっすー。」

チャルと2人で拍手喝采。素直に凄かった。

「これで一通りお見せしましたが、どれから学ぶかお決めになられましたか?」

「決まりました。」

正直防御と補助の2択だったが今のを見て確定した。

「補助魔法でお願いするよ。」

「あら、先に言っていた通り複雑になりますがよろしいですか?」

「難しいからこそ挑む甲斐があるもんだよ。必要性から見てもこれを一番習いたい。」

「流石ですわ。では補助魔法からやっていきましょう。」

 次は詠唱の説明をしますという事で詠唱には順番があり、対象物、規模、効果時間、発動時の行動の順で唱えるという。外国語の文法の授業のようだった。つまり対象物が『自分』、規模が『自分の身体』、効果時間『30秒』、発動時の行動が『素早さを上げる』、なら、

「カナリ、アルイム、サームセッタ、ハスティード!」

唱えた瞬間身体に力が入り込んだ様な感覚があり、試しに走ってみた結果、先ほどのイセの様なスピードで動ける様になった。魔力の減った疲労感もあるからか足がおぼつかず上手く制御が効かない。なんとか転けない様に踏ん張るのが精一杯だった。

「1発で成功させるなんて素晴らしいですわ!でもまだまだ魔力が足りないご様子ですわね。魔力が上がってからまた挑戦致しましょう。」

そう言われて少し座って休む。


イセが言うにはイメージ力とその把握が明確であれば、先程実演した様な発動時の行動を叫ぶだけで魔法が発動する「詠唱破棄」もこなせる様になるとの事だった。さらに先程の属性も組み合わせていく事で、自分以外の対象物に魔法をかける事が可能になってくる。例えば、回復なら地と光の属性を他人をイメージしながら発動に持っていく事で効果が出るというものだ。その場合自分だけではなく他人というもう一つのイメージを持って行わないといけない事となる。が、この状態でそこまでいくにはまだまだ時間がかかるのは明白だ。魔力を高め、言葉と組み合わせを覚える事、イメージ力を鍛える事の練習あるのみだな。

「まだまだ納得とは行かないでしょう。しかし1発で体現出来たという事はイメージ力は強いという事ですわ。流石具現化の能力を与えられたお方と思いました。よって必要な魔力を備えていないだけですので気を落とさずに。」

俺はまた怪訝そうな顔をしてしまっていたのだろう。イセは労いと応援を込めてそう話してくれた。優しい先生だ。


「ひと段落されたと思われますので失礼致しますがガルツ様がお呼びでございます。カナリ様ご足労願えますか?」

ハルエさんではなく執事のフルイチさんだった。

「ちょっとフルイチ!まだカナリ様はお疲れよ!もう少し待ちなさい!(私とカナリ様の時間を邪魔しないで!)」

お嬢様はお怒りのご様子だがおそらく提出した事業内容の件だろう。返答は早いとこ聞いておきたい。


「今日はありがとうイセ様。またレベルが上がって魔力が増えたら授業をお願いします。」

「‥ええ分かりましたわ。その時も誠心誠意お教えします。」

名残惜しそうにイセは俺とチャルを見送る。

「よろしければ試作ですが軽食を食べてみて下さい。今日の授業料代わりです。」

アイテムBOXから昨晩仕込んでみた『キャベツがない なんちゃってお好み焼き 豚玉』を取り出し、ハルエさんに渡す。

「キャーー!ありがとうございます!いただきますわ!!」

お嬢様のご機嫌も戻った所で話し合いだ。


「ご主人。連日動きっぱなし考えっぱなしっすけど大丈夫っすか?」

「ああ大丈夫。むしろ新しい刺激だらけで楽しいぐらいさ。」

「なら良いっすけど時には休む事もするっすよ?」

「善処するよ。」


魔力の次は頭脳仕事だ。そう頭を切り替え、俺たちはガルツ神官の元に向かった。そして開口一番言われたのは、


「イセを隣の国に送ってやってはくれないでしょうか。」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ