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現実世界でチートだった男が異世界に行ってもほぼチートだった件  作者: 松本隼龍


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試食とハルエ

今回もお料理回 次の回以降の単位や魔法の名前を募集中です。

ズラリと並んだ異世界料理第一号「ポガポガのソースカツサンド」の試食が始まる。匂いに釣られて迷い込んできたパーティ6名も含めここにいるのは、俺、チャル、イセ、ハルエ、ギルドマスターのトウ・ジンボウの11人。15人前拵えているから数は大丈夫だろうが最初の1個目の試食に手がなかなか伸びない。ポガポガは食べられているという事だったから安心していたのだがやはり未知な食べ方の物に手は伸びづらいという事か。

「じゃあ俺が一つ目を頂きます。」

ソースの味は知っているから最初は誰か他の人に食べて貰いたかったが仕方ない。

1つカツサンドを取り、頬張る。肉汁が口いっぱいに溢れる揚げたてのあの感覚。

「うん。大丈夫。みんな食べてみてよ。」

その声を待ってましたと言わんばかりにみんな手を伸ばしソースカツサンドを口に放り込み始めた。


「美味しいーーーーー!!!!」


そう真っ先に声を上げたのはイセだ。目を輝かせながらもぐもぐしている。その姿はとても可愛らしく、こちらとしては嬉しい限りだ。

「あのポガポガがこの様な旨みのある肉であるとはな。」

ギルドマスターのトウが感想を述べる。

「あーそういえば子供のポガポガしか市井に出回らないんでしたっけ。やはり成獣の脂身や完成された肉の旨みは子供よりも遥かに差があるという事でしょう。」

子豚よりも断然大人豚の方が美味い。特に今回はポガポガの油で揚げているからより強くその旨みを感じるのだろう。

「こんな美味しい物、自分達も‥頂いて良かったので?」

宿泊パーティの1人の男が恐る恐る聞いてくる。

「試食ですし、お気になさらず。代わりと言ってはなんですが、ご感想というか、直感で思った事、例えばこれとならこれを一緒に食べたい飲みたい、値段を付けるなら幾らかといった意見が欲しいのです。」

「そういう事なら!味は美味い!の一言です!衣に染み込んだソースが心地よい味わいをしてました!」

どうやらカツのソースへの漬け込みタイミングは妥当だったようだ。

「私も美味しいと思いますがこれの後には少し爽やかな物を食べたいと感じましたね。」

宿泊パーティの髪の毛の編み込みが多い女性からの一言だ。

「本来なら少し野菜を挟んで食べるのですがポガポガの味を感じて頂くために野菜のソースのみとしました。しかしやはり清涼感も必須の様ですね。ご意見ありがとうございます。」

値段についてはいかがでしょう?と問い出してみたら、イセから意見が飛んできた。

「私としては10000ベレと言いたい所ですが、これは軽食なんですわよね?気軽に手に取って頂かないといけないことを考えると価格は1000‥いえ500を切らねば市井の方々には手が伸びにくいかと思います。」

お嬢様というのに民衆のお財布事情まで考慮が行き届くのは優秀だな。元の世界でもコンビニで400円前後の値段になっている。やはりそのくらいが妥当か。

「肉の安定供給があると仮定するなら300ベレぐらいで行けそうかな。冒険者の方々はどうでしょう?それぐらいなら手が伸びそうですか?」

「それぐらいでこの味が食べられるのなら有り難い限りです。きちんと包めば携帯食にもなりそうですし。」

「火を通してあるとはいえ早めに食べては頂きたいのですが、街を出てその日の昼食にというぐらいなら旅路でも問題ないかと思います。」

そこでチャルがそろそろと手を挙げる。

「でも現状作れるのはご主人だけ、肉も安定して獲れるわけじゃないっすよね?労力を考えるとそれだと安く感じちゃうっす。」

そこなんだよなぁ。

「それを踏まえると人を雇って作るにしても現状700ベレを超えることになっちゃうだろうね。この街の平均の晩ごはんの料金が600ベレを超えるか超えないかぐらいだからそれを越える軽食では味は良くても腹が物足りない人の方が多くなりそうだ。」

そう、目標はいずれはこの料理は定着し、街で販売されること。出来れば定番になるほどにと考えている。他の人にも調理を見せているのもその為だ。

「そこで、トウさん。提案があるのですが。」

「ここで私に提案?」

トウさんは面食らったように残りのカツサンドを食べるのを止める。

「肉の安定供給の目的でポガポガの討伐依頼に肉の買い取りを加えてくれないでしょうか?あとまずはギルド限定でこのカツサンドの販売をさせていただけないですかね?」

「うんいいぞー。(パクっ)」

「早ぁああ!?」

そのあまりの回答の早さに今度はこっちが面食らってしまった。

メニューを外にまで広めるのなら街を渡る冒険者を相手にしているギルドからが良いだろう。限定販売ならそれに連られてここに来る者もあるだろうし、供給もある程度制限しても大丈夫なはずだ。と打算的な事を考え巡らせる前に即答だった。何?神官のガルツさんといい、ここの世界のこの世代はみんな思い切りの良さでも競ってんの?!そんな大会ある?

「ただし価格は400とさせてくれ。理由は先程あんたが言った理由と、うちは食堂ではないので他より高い飯を売りたくないという事でだ。」

「大丈夫です。ありがとうございます。他の事業もある為、納品は不定期となりますが、作り方も今見たような物ですので素材さえあれば如何様にも引き継げるかと。」

これで一つ、元の世界で言うところのジビエのメニューが出来たわけだ。これから名物となっていって貰いたいものだ。 詳細はギルド内で決めて後に通達という事になった。では一仕事終えたところで後片付けだ。バットを水場に持っていき、洗い物を始める。そこに近づいてきたのはハルエさんだった。

「あらハルエさん食べ終わったので?何か感想でも?」

「はい。私は少々感心致しました。次の作業の合間に他の作業をする手際の良さ。材料の取り扱い。メイドという立場から見てもその能力が高い御仁なのだと思いました。これらはお話に聞く、『前の世界』で鍛えられたのでしょうか?」

前の世界では自衛隊という所にいたという事はこれまでの話の端々を聞いて知っていたようだ。

「私は最前線に出る隊の中での食事を担っていた事がありまして、災害などが起きた時にはその能力を被災者に充てる事もありました。そこで身に付いた動きが今回は発揮出来たかな?というところですが、あくまで作った事のある調理でしかこの動きにならないでしょうね。不器用なもんで。」

ご謙遜を。とハルエさんは言うが実際に俺は不器用であるのだ。よく緊張し実力を半減させ、上官にドヤされる事も多く、イメージ力と練習量でカバーして他の隊員の能力に付いていく、それで精一杯だった。最初の1年半はパワハラでたらい回しにあってどの部署もこなした結果、行軍中に体調を崩し、免許の機会は見送られ雑魚呼ばわりされる毎日だった。

「その怪訝そうなお顔を見る限りあまり良い思い出ではなさそうですね。失礼をご容赦下さい。」

「あらら!顔に出てました?!こちらこそ失礼しました。」

慌てて顔を手で押さえる。

「クスッ 可愛い。」

と、俺はそこでずっと綾◯レイ並に無表情だったハルエさんの笑顔を見た。その笑顔こそ可愛らしい。ナハハハ‥と笑い合っていると、

「ハーールーーエーーーーーー?」

こちらも猜疑心丸出しのご主人の登場だ。

「私の将来の旦那様とちょーーっと近すぎる気がするのだけどーーー??」

「しっ失礼しました。」ハルエさんは慌てて主人の後ろに下がる。

「まったく、カナリ様に魅力があるのも困ったものですわね?」「別に誘惑したわけでも魅力があるとも思ってないけどね。まぁ片付けの続きをやってしまうよ。」

洗い物に戻り、片付けを再開する。具現化したものを元に戻す度に魔力が消費され、一気に疲労感が襲ってきた。まだまだレベルが足りていないと再確認する。 その魔力という単語で思い出した。

「イセさん。一つ頼みがあるんですが?」

「まぁ!!カナリ様から頼み事なんて!一体なんですの!?」

目を輝かせながらイセは迫ってくる。息遣いも荒い。本当にお嬢様?


「魔法を教えてくれますか?」

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