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現実世界でチートだった男が異世界に行ってもほぼチートだった件  作者: 松本隼龍


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10/11

魔女鍋と一品目

調理が入った為、今回は長めです。キャラクターや作物、魔法の名前は常に募集中ですのでよろしくお願いいたします。

トカゲ車の中でハルエさんに「みだりに婦人の頭を撫でるというのはいかがなものかと。」と注意された。まぁセクハラで訴えられても仕方ないかもだが本人満足そうだし良いんじゃね?と思いながらいたら、「良いのです!」とプンスカとハルエさんに頬を膨らませて怒り始めた。まあメイドの職務上の言としては間違っていないのだからとなんとかその場は収めた。

「(ご主人はたらしっすねぇー)」

なんかチャルの目が傍観者気取りまーすと言っているかの様な顔をしているような‥?

「このままギルドに寄ってランフォーの討伐報告と解体依頼。明日はポガポガを調理してみようと思う。どこか調理出来そうなちょっと広めの場所ってないかな?」

切り分けたとはいえあの大きさと量の肉を調理するにはそれなりの広さが欲しい所だ。

「それならギルドの裏手に冒険者の簡易宿泊用に設けられた広場があります。井戸もありますし、調理台やかまどもあるはずですよ。」

やけに詳しいハルエさん。もしかして元冒険者とかなのかな?まぁ場所を確保出来るのはありがたい。その場所を今から報告するついでに借り受ける事にしよう。

「カナリ様、どんな物を作る予定ですの?」

狭いトカゲ車の中でわざわざ上目遣いでイセが聞いてきた。俺はちょっと驚きながら横に目を逸らし、明日の予定を口にする。

「うーんとりあえず2品考えてるよ。軽食と主食で一品ずつだね。内容は揚げ物と煮物系で行こうと思ってる。」

「揚げ物‥という事は油が大量に要りますわね。」

植物系の油があれば良いけどまだ見つけていないし、あの肉の量を捌くにはかなりの量が必要だろうそこで今回は、

「ポガポガの肉の脂身を剥がしてお湯で煮てそこからラードを取るよ。」

「ラード?」

そうラード。あれだけデカいポガポガだったので解体の時に背脂も大量に取れている。今後の為を思い、確保して置いて損はないだろうという結論だ。今回はなんとかそれで他の料理も作ってみる事にする。

「ラードは背脂が粘りのある液状に不純物も少なく分離した物でそれを集めておいて他の調理に使う油として保存して置けるんだ。」

「そんな事が出来るんすねー。ご主人は物知りっす。」

「そのラード作りをしている間にチャルには買い物を頼みたいんだ。今晩中に大体のリストを作って渡すからそれを買ってきて欲しい。」

「任されましたっす!」

「その役目、私も同行させて下さいまし!」

勢い良くずいっと前に身体を乗り出し、イセが名乗りを上げる。車内は狭いんだからそう迫らないでくれ。胸が‥!

ハルエさんが怪訝そうな顔でこちらの様子を伺っているが俺にどないせーっちゅうねん。そんな中ニコッと笑いながらイセは「よろしいですわね?」と、良いと言うまで退きませんわよと言わんばかりだ。

「はぁ‥じゃあよろしく頼みますよ。」

「はい!任されました!」

ということで当然お付きのハルエさんも同行。明日は車内の俺以外の3人で買い出しに行く事が決定した。本人がそうしたいのなら仕方がないが街の特級階級のお嬢様をこま遣いして良いものか‥。そうこうしている内にギルドに到着し、討伐報告を行う。

昨日の今日のタイミングで討伐してきた為、ギルドマスターのトウさんは驚きを隠せない様子だ。

「こんなに早く‥しかも普段は1匹づつしか討伐出来ていないランフォーを9体も‥。いやはや頼りになるというか怖いというか。」

トウさんはありがた半分、恐怖心半分という感じで解体依頼書にサインを施す。そのタイミングでもう一つの依頼だ。

「明日ここの裏手の簡易宿泊の広場の一角をお貸し願えませんか?ポガポガを調理するにはある程度の広さが必要でして。」

「あぁそういうことならお受けいたしましょう。明日は2組ほど冒険者のパーティが残るのみのはずですのでそれで良ければ。」

「ありがとうございますお借り致します。」

「詳しい事はギルドの受付にお聞き下さい。何を作られるのか今から楽しみですな。」

借りられて一安心。俺たちは解体屋にランフォーを預け、受付へ。

「明日冒険者簡易宿泊の場所をお借りしたいです。ギルドマスターにはお話してあります。出来れば炊事場の近くでお願いしたいのですが。」

受付嬢は手際良く場所の確保と説明をしてくれた。火の元に気を付ける事、井戸の使用等を丁寧に教えてくれる。

「よし、これで明日は調理に集中出来そうだな。みんな今日はお疲れ。また明日よろしくね。」

明日の調理に期待を膨らませながらそれぞれの帰路についた。


そして翌朝。ギルドの一画をお借りしていよいよ調理に入る。買い物リストは野菜などの名前が把握しきれていないので、こんな感じのというニュアンスの物もあるがチャル達に任せれば大丈夫だろう。俺はこちらに集中だ。

「イデア。」

まず具現化したのは自衛隊御用達の「魔女鍋」とそのかまど台だ。桶も生み出して水を汲み、魔女鍋に投入。アイテムBOXからも背脂の塊を取り出して投入し、火にかける。ちょうど良い火加減になった所で一旦放置。その間に肩ロースの部分をこの前見つけて買ってきた出刃包丁で切り分けていく。バットに並べて一旦アイテムBOXへ。他の材料の買い出しが終わってくるまで浮いてきたラードを掬い、ツボに投入を繰り返す。思った通りかなりの量が取れそうだ。この後の調理には大量の油がいるから今後の事も考えるとありがたい限りだ。掬って掬って掬いまくって参ります。

「買ってきたっすよー!お待たせしたっすー!」

数時間後、元気の良いチャルの声に合わせてお三方の到着だ。市場はギルドと反対方向にある為、現地集合で事を済ませ、こちらに来る手筈だった。

「カナリ様。こちらは随分と白い液体が溜まってますわね。」

そのワードを女性に言われると男はドキッとしちゃうからね。確かに間違いではないけれど。

「これがラードです。この大きめのツボにここまで溜めることが出来たので次の調理も問題なく行けそうです。」

「それは何よりですわ。」

そのまま買って来てもらったラインナップを確認する。多めの食パン、果実酒、りんごに似たオーリン、玉ねぎに似たギネマ、ニンジンに似たキャル、トマトに似たケチャ、小麦粉のようなバクス粉、こちらの鶏であるモミージの卵、にんにくに似たソム、そして塩と砂糖だ。メイドとしての嗜みなのだろうか、あの表現だけの注文の多いメモで、ほとんどハルエさんが見つけて購入してくれたらしい。有り難い限りだがそれでもローリエの様な香草はあるのだろうが見つからなかったようだ。でも何とかこれで今日のメニューは作れそうだ。

「何か手伝う事はあるっすか?」

チャルが聞いてきたのでじゃあ。とイデアで具現化したのはハンドチョッパー。取手を引っ張って食材を細かくするアレだ。

「これの中にパンを千切って入れて、出来るだけ細かくして欲しいんだ。」

「おー!中で刃がぐるぐる回るっす!面白いっす!」

「私にもやらせて下さいまし!」

「パンは3つ分までな。」

動きが面白いのか何度も引っ張って回す。ぶんぶんゴマに夢中な子供みたいだ。

その作業をやってもらう間に肉を漬け込もう。先ほど切り分けた肉に金物屋でゲットしたおろし金ですりおろしたりんごに似たオーリンとにんにくに似たソムを塗り付け、潰したペッポの実をまぶして馴染ませる。そこに赤ワイン代わりの果実酒、そして塩をまぶして漬け込む。

「さて次は。」

漬け込んでいる間に玉ねぎに似たギネマ、にんじんに似たキャル、トマトに似たケチャ、にんにくに似たソム、りんごに似たオーリンを切り、魔女鍋に残ったポガポガの出汁、砂糖、それら全てを借りたかまどにもう一つ用意した鍋で煮込む。魔女鍋は一旦アイテムBOXに引っ込め、空いたかまどに大きめの丸底フライパンを具現化し、チャル達に細かくして貰ったパンを炒っていく。パンに火が通る香りと煮込まれてる野菜達の香りで辺りは埋め尽くされている。

程なくパン粉の完成。バットに取り分け、残りは麻袋に入れてアイテムBOXへ。ハンドチョッパーは洗って貰う。指切らない様に気をつけてね。

そうしている間に鍋が煮えてきたようだ。ざるを使って中の具材を一旦取り出して濾す。濾した液体を再び鍋で煮込んで行く。取り出した具材は再びチャルとイセのハンドチョッパー部隊へ。ハルエさんには煮込んでいる鍋をとろみが出るまでかき混ぜて貰う。野菜達をピューレ状にペースト出来たら、ハルエさん担当のとろみのついた鍋を交換し、砂糖をもう一度先ほどより少な目で追加し、煮込む。こうしてなんちゃって中濃ソースとウスターソースの完成だ。味見をしたが確かに物足りないものの悪くない出来だった。いずれ材料をさらに吟味し、思い描いた形にしよう。今後使う分を壺へ、今使う分は木のボウルへ

そしてバットを3つ並べていく。1つにはこちらの鶏であるモミージの卵液、2つ目には小麦粉の様なバクス粉、もう一つには先程炒ったパン粉が入っている。更にここに先程付け込んでいた肉の再登場。状態を確認するが程よく浸かってくれたようだ。

イデア!で再び魔女鍋をかまど台へセット。壺から多めのラードを投入し、火にかけて液状に戻す。

さぁ揚げ物開始だ。金物屋で買っていた長めのトングで肉をバクス粉→卵液→パン粉の順で全体にまぶしていく。鍋の油も程よい状態になった所で投入!

ジュワぁぁぁぁァアァァ!と揚がる音が食欲をそそる。

「美味そうだなぁ‥。」

といつの間にやらやってきていたギルドマスターのトウさん。あと見たことがない6人が集まってこちらを覗いていた。おそらく泊まっていた2組のパーティのメンツだろう。皿の上に揚がったカツを乗せていく。結構な数を揚げるつもりだがもしかして足りないかもな。

「ここで更にっと。」

その油を切った揚げたてカツを先程のソースの木のボウルにドボン!

「チャル、まな板にパンを並べてくれないか?」

「これでいいっすか?」

パンの上にソースカツを乗せて並んだパンで上から挟み、四角の対角線上に包丁で切れば、

「ポガポガのソースカツサンドの出来上がりだ!」

「おーー!」とみんなから声が上がる。

油が熱くなりすぎないように大きい魔女鍋で一度に多めに揚げていく→ソースにドボン→挟んでスパッ!を繰り返し、15人前をとりあえず拵えた。みんな凝視して見てる。


「さて、うまく出来たかな?」


異世界料理第一号の試食が始まる。

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