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異世界でタロと一緒に冒険者生活を始めました  作者: ももがぶ
第一章 旅立ち
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第九話 設定で死にそうになった

「ここだ」

「へ~ここか~」

『ワフ~』


ハンスさんの案内で目的の冒険者ギルドへとやってきた。冒険者ギルドはハンスさんが言っていたように街門を入って直ぐの角地に建っていた。見た目は木造三階建てで周辺の建物よりは大きい造りだ。裏には解体倉庫があり、地下には訓練場があるらしい。


「看板は剣に盾か。まんまテンプレだな」

「なんだ、そのてんぷれってのは?」

「あ、すみません。気にしないで下さい。じゃあ、早速行きましょう!」

「あ、ああ。おいおい押さなくても行くから」


俺は誤魔化しも含めてハンスさんの背中を押しながら、冒険者ギルドの中へと入ると思わず「臭っ!」と言ってしまい、周りの冒険者らしい人達に睨まれてしまうが、ハンスさんに制されてなんとか堪えているようだ。


「ったくよ。気が短い連中ばかりなんだから、口には気を付けろよな」

すびばせん(すみません)

「まあ、気持ちは分からないでもないが、早いとこ慣れてくれとしか言えない」

まかりまひた(わかりました)

「……」


俺が口呼吸で対応したものだから、ハンスさんは少し呆れ気味に受付カウンターへと進むので俺も離れないようにタロと一緒に着いていく。


「登録を頼む」

「ハンスさん、お久しぶりですね。今日は新人さんですか?」

「いや、ウチの客人だ。おい!」

「はい、コータです。冒険者登録と従魔登録をお願いします」

「あら、随分若いのね。ハンスさんのお子さんって言われても納得しそうだわ」

「おいおい、俺の歳を知ってて言ってるのか」

「あら、そうだったわね。じゃあ、登録手続きと説明もあるから、ちょっと別室へ移動しましょうか。いいわよね、ハンスさん」

「ああ、助かる」

「うふふ、じゃあこちらへどうぞ」


対応してくれた受付のお姉さんはハンスさんを軽く揶揄うとカウンターの奥から出て来て、俺達を別室へと案内してくれる。


カウンターに座っている時には分からなかったが、お姉さんは意外と背が高く百八十センチメートルはありそうだ。髪は金髪のショートヘアだが、頭の上にはピョコッと三角の耳らしき物が着いている。そして、均整の取れたプロポーションで短めのタイトスカートからはふさふさのシッポがお姉さんが歩く度にゆらゆらと揺れている。


どうなっているんだろうなと思いソッとお姉さんのシッポに手を伸ばすとハンスさんに痛いくらいにその腕を掴まれる。


「コータ、知ってようが知るまいが、獣人の耳と尻尾を触るのは求婚(プロポーズ)と同義だと覚えておけ。ちなみに既婚者に対しての行為は不貞とみなされるからな。分かったら、覚悟してから触るんだな」

「え……」

「あら、残念……うふふ」

「おいおい、亭主の前でそれはないだろ」

「え?」


ハンスさんは説明が終わると俺の腕を離してくれたが、痛いくらいに掴んだのはそういうことだったのかと納得していると、受付のお姉さんはイタズラが成功したようにクスッと笑っている。


「こちらへどうぞ」

「あ、はい」


冒険者ギルドの奥にある部屋に案内され中に入ると、受付のお姉さんにソファに座るように促され、ハンスさん、俺が座り、タロは俺の横の床に座ると、受付のお姉さんは向かいのソファに座る。


「では、改めまして。ようこそ、冒険者ギルド キンバリー支部へ」

「あ、はい」

『ワフ!』

「あ、紹介が遅れましたね。私はここのギルドで受付をしています。名前はノエルと言います。ちなみに既婚者なので耳や尻尾は旦那様専用です。ね、ハンス……うふふ」

「まあ、そういう訳だ。だから、お前も『触りたい』『触ってみたい』と思ったら、まずは深呼吸することを勧める。いいな、深呼吸だぞ」

「もう、ハンスってば……あんなに熱烈に「おい、子供の前だぞ!」……じゃ、続きはお家でね」

「あ、ああ。コータ、ここでのことは……」

「分かってます。分かっているつもりですよ」

「そ、そうか。すまない。助かる」

「じゃあ、説明しますよ。いいですか?」

「『はい!』」

「ん? まあいいかな。では、始めますね。いいですか、まず冒険者のランクですが……」


受付のお姉さんはお姉さんではなくハンスさんの奥さんだったことが分かった。だけど、ハンスさんが深呼吸を執拗なくらいに言っていたのは自分への戒めだったのだろうか。


そんなことを考えている内にノエルさんの説明は進む。冒険者のランクはGから始まりAまであるらしい。最上位にはSランクもあるらしいが、現時点ではこの世界で五人しかいないらしい。Cランクまでは依頼達成などの冒険者ギルドへの貢献度でギルドマスターの権限でランクアップすることが出来るが、Bランクに上がるには冒険者ギルドが用意する試験に合格する必要がある。その上のAランクにはギルドマスター三人の推薦が必要になると言うのがランクに対する説明だった。


依頼に関しては自分の冒険者ランクから二ランク上までは依頼を受けられるが、Bランク以上の依頼はCランクであっても受けられない。それに依頼に失敗した場合は違約金が発生するので自分の力量とよく相談してから受けるようにとのことだった。


ちなみにだが、冒険者ランク毎にある程度の期間が決められていて、その期間内に依頼を受けていなかった場合は冒険者ランクを下げられたり冒険者ギルドから追放される場合があるから、注意するようにと言われた。


「低ランクほど期間が短いので注意していないとダメだぞ!」

「はい……」


そんな風にノエルさんからの冒険者活動に関する説明を締めくくられてから、用意された羊皮紙に名前や出身地に得意なこととか記入欄が分かれており、記入可能な項目だけ埋めればいいからとペンを渡された。


言葉は分かるけど、文字はどうなんだろうと試しに頭で『コータ』と考えながら手を動かすと羊皮紙の名前の欄には文字なのかなと見た目分からない文字で記入されたが、俺の『全言語理解スキル』が仕事してくれて『コータ』と読めた。


これなら大丈夫かなと出身地は分からないから空白で、特技には『魔法』と書き従属の欄には『タロ』と記載した。


「はい、記入しました」

「は~い、確認しますね。え~と、名前に……出身地はナシ、特技は魔法に従属がタロ……」

「これで登録出来ますか?」

「うん、いいわよ。でも、出身地が不明ってあるけど聞いてもいい?」

「えっとですね……」


俺が考えていた設定をノエルさんに話し終えるとノエルさんは、ブワッと涙を流しながら対面に座る俺を抱きしめると「甘えていいのよ」と叫んだ。


「おい、ノエル! くそっ……力が強ぇよ! おい、コータが死んじまうから!」

「え? あ、ごめんなさい……大丈夫……かな?」

「ゴホッゴホッ……ふぅ~一瞬お花畑が見えました……」

「おい、大丈夫か。まったく相変わらずだな」

「ごめんなさい……つい」

「悪いな、コータ。コイツには悪気はなかったんだ。本当に済まない」

「ごめんなさい」

「いえ、大丈夫ですから! ノエルさんが悪くないのは十分に分かってますから! だから、ハンスさんもノエルさんも顔を上げて下さいよ」


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