↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界でタロと一緒に冒険者生活を始めました  作者: ももがぶ
第一章 旅立ち
5/131

第五話 着きました

 馬車の中で姫さんと俺はどうにか打ち解けてキャッキャウフフとはしゃいでいたが、隊長はそんな俺達を見ながら歯ぎしりをしていた。


「着きましたよ」

「ふぅ~やっと着いたのね。降りましょコータ」

「ああ……えっと隊長さん?」

「私に構うな!」


 馬車の扉をクリフさんが開けると姫さんの前に隊長が先に降り、続けて俺が降りる。そして最後にクリフさんがエスコートして姫さんが降りてきた。


 クリフさんの説明によると、ここはこの町の領主の館だそうで、今日はこの館に宿泊予定らしい。


 馬車を降りた屋敷の入口にはこの屋敷の主人である貴族のオジサンとそのご家族らしい人達とメイドさん達使用人がずらりと並んでいた。


「ご苦労様です」

「これはこれはソフィア様。お久しぶりでございます」

「ウェルター様、今日はお世話になります」

「ふはは。この様な狭い屋敷ですがいくらでもご自由にお使い下さいませ」


 馬車から降りた姫さんは、館の主人であるオジサンに綺麗なカーテシーで挨拶をするとオジサンも満更でもなさそうに鷹揚に挨拶を返す。


 後ろに控えるご家族の皆さんも姫さんに対し恭しくお辞儀しているが、俺に気付くと不思議そうな顔になる。それに俺の横にはデッカいタロが座っているのだから尚更だろう。


 オジサンも俺とタロに気付きクリフさんと目を合わせると、クリフさんが俺達のことをオジサンに紹介する。


「こちらの方々はコータ様にタロ様です。こちらに至る道中に魔物の群れに襲われた我々を助けて頂きました。故あって今はソフィア様にご同道願っています。従いまして客人として扱っていただければと思います」

「ウェルター様、お願いします」

「そ、そんなソフィア様まで。お顔をお上げ下さい。ソフィア様の恩人となれば王家の恩人とも言えるでしょう。であれば、我々家族一同も精一杯お持て成しさせて頂きますので」

「はい、ありがとうございます」

「「「……」」」


 クリフさんから俺達のことが説明され、姫さんからも俺達のことをよろしくと言われたオジサン達はそういうことであればという感じで俺達を受け入れてくれるようだ。


 ともあれ、道中お疲れ様でしたということで館の中へ案内されると、俺とタロも一部屋用意するということなのでメイドのお姉さんに案内してもらう。


「こちらのお部屋をお使い下さい。では、何かあれば卓上のベルを鳴らして頂ければお伺いいたしますので」

「はい、ありがとうございます」

『ありがとうね』

「……え? は、はい。では」


 メイドのお姉さんがお辞儀をしながら部屋のドアを閉じたのを確認してからタロに話しかける。


「あのさ、タロ。言いにくいんだけどね」

『うん、なに?』

「俺達以外の人達がいる場所では喋らない方がいいと思うんだ」

『え~どうしてさ。コータと話したいのに!』

「あ~俺もそうだけどさ。普通は話さないみたいだよ。さっきもメイドさんが驚いていただろ?」

『う~ん、そうかもだけど……どうしてもダメ?』

「そうだな。当分は窮屈かもしれないけど我慢して欲しいかな」

『……うん、分かったよ。ボク我慢するよ』


 俺はベッドに腰掛けながらタロの頭を撫でているとドアの隙間が少しだけ開いているのに気付く。


「うん? さっきちゃんと閉めていったハズなのにおかしいな」


 そう思いながらドアに近付くと、その隙間からこちらの様子をジッと見ている視線に気付く。


 その視線の低さから、ここの館の子供だろうと予想しドアを開くと予想通りにこちらをジッと見ていた子供と目が合う。


「えっと「わんわん」……もしかしてタロに会いたいのかな?」

「わんわん、ここなの?」

「困ったな。これじゃ話が出来ないよ。あ、そうだ!」


 俺はメイドさんに言われたことを思い出し、卓上のベルを押すことにした。


「タロ、ベルを鳴らすんだ!」

『は~い! いいよ』

「あ、わんわん!」

「あ……」


 つい、近くにいたタロにベルを鳴らすようにお願いしたら、タロが俺の頼みに返事をしながら『チ~ン』とベルを鳴らす。


「わんわん、しゃべれるの?」

『わふ……』


 子供からの純粋な眼差しに嘘が付けずに困ったタロが俺をジッと見る。

 どうしようかと俺も困っていた所にメイドさんが小走りにやって来てドアの陰から「どうしましたか?」と聞かれたので、中にいる子供を指してどうしたものかと困っていることを伝えるとメイドさんは「申し訳ありません」と俺に断り部屋の中へと入るなりタロにもたれ掛かっている子供を抱きかかえて俺にお辞儀をして部屋から出ようとするが、「わんわん、わんわ~ん!」と泣きながらタロを呼び続ける。


 そんな様子に俺もメイドさんも困ってしまうが、当のタロはと言えば『俺に任せろ』とでも言いたげに胸を張っているようにも見える。なので俺からメイドさんに「もしよければ」と子供とタロを遊ばせてはどうかと提案してみる。


「あの、ご迷惑ではありませんか?」

「いえ、実際に私もこの館の中で暇を持て余していますから、構いませんよ」

「そうなんですね。では、お願いしてもよろしいですか」

「はい、どうぞ。タロも喜びますので」


 子供を抱えたメイドさんが俺に用意された部屋へと入ってくると「わんわ~ん!」と抱かれたままの子供がタロに向かって思いっ切り両腕を伸ばしてくる。


 タロも自分の顔が子供の手に届く位置にまで子供に近寄ると、その手をペロッとなめる。


「きゃっきゃっ、わんわん!」

「タロ様ですよ。アリス様」

「たろ?」

「ええ、タロ様ですよ」

「たろ、たろ!」

『ワフ!』

「きゃ~たろ!」


 子供はメイドさんからタロの名前を教えてもらうと嬉しそうにそのなを連呼する。タロも名前を呼ばれた嬉しさからか返事をするとまた、子供が喜ぶというループに入ったようだ。


「たろ、たろ!」

『ワフ!』


「コータ、遊びに来たわよ……え? もう奥さんに子供がいるの?」

「「『はい?』」」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。