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異世界でタロと一緒に冒険者生活を始めました  作者: ももがぶ
第二章 動き出す何か
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第九話 聞きたくなかった話

 なんでも聞いてくれと言うから、この際だと疑問というか不明なことを全部口に出してみたけど、まだ何も答えてくれていない。


「どうしたんですか?」

「あ~その、どれから答えればいいのかな?」

「じゃあ、時系列で最初からどうぞ」

「最初と言えば……」

「うん、ソフィアのお母さんが王都から追い出されたことだね」

「まあ、そうだな。父さん、話してもいいですか」

「ふん、好きにしろ」


 爺さんからの許可を取ったドレイクさんは、ふぅ~と短く息を吐き少しだけ襟を緩めるとテーブルの上で両手を組んでから話し出す。


「ソフィア様の母……つまりは私の妹になる。名は『ブリジット』と言う。この家から第三王妃として王城に入った。その時、王には第一、第二王妃がおり、それぞれ第一王女、第二王女を産んだのだが跡継ぎとなる王子が産まれていないことから、ならばと私の妹が第三王妃として迎えられたのだ。だが、それが間違いだった……」


 ドレイクさんは更に話を続ける。姫さんの母親は王家に入り、当初の王家の目的通りに第一,第二王子を出産する。だが、ソフィアという第三王女が産まれたことで王が変わる。既に王子が産まれたことで自分の責任を果たしたと思っていたところにソフィアが生まれたのだ。今度は何の制限もなく我が子を可愛がることが出来る。そう思った王のソフィア、それを産んだ母、ブリジットへの寵愛は第一王妃、第二王妃の反感を買うには十分だったのだ。


 それに気付いた王はソフィアの母であるブリジットを実家であるここ、クレイヴ領に保護してもらうことにしたのだが、ソフィアは王城に残された。多分だが王がソフィアまでいなくなることに耐えられなかったのだろう。しかし、その為に王妃達の恨み嫉みなどの嫉妬心はソフィアへと集中される。


 それに耐えきれないとソフィアは王に母の元へ行きたいと懇願し、今回の帰省となったのだが、これを好機と捉えたのが二人の王妃だ。


 ワルダネ領は第一王妃の実家が寄親をしていることもあり、どんなお願いでも反対することはないだろうということ。そして第二王妃の実家は隣国『リンボー』の宰相を務めている。このリンボーという国は小さいながらも『魔物使い』を配していることで有名でもある。


「……で、どうかな」


 ドレイクさんは全てを話し終えたと両手を解き鷹揚に開くと俺に感想を求めてくる。


「そういうことなんだね」

「ああ、今話したのが全てだな」

「それじゃ、質問だけどいいですか」


 ドレイクさんに言うと頷いてくれたので、俺が思っている一番大事なことを聞いてみる。と言うか、これを確認しないことには俺はずっとこのままじゃないだろうかと考えている。


「えっと、ソフィアはここへ避難して来たってことなのかな? もしかしたら、王都に帰ることはないとか?」

「あ~そうなるのかな。今の所は……だけどね」

「へ?」


 俺はどういうことなのかとクリフさんを睨み付けるとクリフさんはサッと俺からの視線を避ける。


「ちょっと待って! 話が違うぞ!」

「ん? どうしたんだい?」

「どうしたって、俺はソフィアが王都に戻って、その時にお礼をしてもらうつもりというか、そういう約束だったハズだよね。クリフさん」

「……はい」


 俺からの質問に消え入りそうなくらいに小さな声で返事をするクリフさんと少しだけバツが悪そうな顔をする姫さんと、俺が困っているのが嬉しそうな隊長だった。


「ねえ、それだと俺はいつまで拘束されることになるの?」

「いえ、ですからそれは王都に戻り次第「戻らないんでしょ?」……ですから、戻ったら「戻るつもりはないって聞こえたけど?」……あ、はい」

「あのね、俺もやりたいことがあるの! 分かる? なのにお礼をやるからって目の前にご褒美をぶら下げているつもりだろうけど、そっちがそういう考えなら俺も好きなようにするだけだから」

「申し訳ありません!」

「だから、そういうのは要らないの」

「ですが、お礼をしない訳にはいかないので……」

「そういうのもいいから。王家の評判なんて俺には関係ない話だし」

「……困りましたね」

「困っているのは俺だって……ハァ~それでご飯はまだ?」

「ああ、そうだったね、頼むよ」

「はい」


 クリフさんに確認しても結果は変わらずだった。姫さんが王都に戻る予定は当分、ないらしい。ってことは俺が姫さんに付いて王都に行き、お礼をもらうと言うのは『絵に描いた餅』で期限が書かれていない約束手形の様なものだろう。


 正直、お礼には少しだけ後ろ髪を引かれるが、金銭以外の爵位や領地とか貰ってもじゃまにしかならない。ならば、ここは貰わないと断るのも一つの手だなと考える。


 まずはご飯を頂いてから、どうするか考えることにしようと運ばれてきた食事に手を伸ばそうとしたところで、『拘束(バインド)』で簀巻きにして転がしていた『夢魔(インキュバス)』を思い出す。


「そうだ、俺はソイツは要らないんだけど、どうする?」

「どうするって、どういうことだ?」

「いや、だから首を撥ねるとかあるでしょ?」

「……」

「あれ? なんで無反応? 爺さんは騙されたんだから、そうするものだと思っていたけど?」

「いや、お前が持っている情報をまだワシ達は聞いてないからな」

「そうだね。コータ君、まだ情報を話す気にはならないのかな?」

「だから、それはそちらの報酬次第と」

「でもね、どんな情報かも分からないのにお金を払うと言うのもね」

「分かりました。じゃあ、こうしましょう」


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