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異世界でタロと一緒に冒険者生活を始めました  作者: ももがぶ
第一章 旅立ち
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第二十四話 出会いは突然に

 街門を出てから川を目指し南下して歩くこと数十分、ようやく川が見えて来た。


「よし、じゃあここから湖の方に向かえばいいんだから、ここからは上流に向かえばいいんだよな」

『肯定します』


 川の流れを見ながら遠足気分で歩く。タロも久々の散歩だからか嬉しそうに尻尾をブンブン振っている。


「タロ、まだ先は長いんだぞ。疲れても俺はお前を負ぶって歩くことは出来ないんだからな」

『大丈夫だよ~』

「ホントかな~」

『ホントホント!』

「ま、いっか」


 川面を見れば透明度が高く汚れている感じが全く見えない。手で掬ってそのまま飲めそうなくらいだ。

『肯定します』


「そう言われてもな、一応鑑定して見ればいいか。どうかな?」


 川を鑑定したら『飲水可能』と表示されていた。でも、今は大丈夫だからと飲むことはしない。だって、リザードマンが住んでいるってことは……やっぱアレも垂れ流しだよねと考えなくてもいいことが頭に浮かぶ。


 そんな風に川辺を歩いているとだんだんと周囲が暗くなってきた。


「そろそろ、どこかで休むか」

『そうだね。ボクもお腹が空いたよ』

「そう言われればそうだな。じゃあ、魚でも捕まえるか」

『いいね。でも、どうやって?』

「どうやってって、その辺を泳いでいるじゃない」

『でも、ボクは捕まえることは出来ないよ』

「だから、それは俺に任せとけって。えい!」

『あっ……』


 俺は川面を目掛けて雷撃を放つと『バチッ』と音がしたと思えば、プカ~と魚が浮いてきた。


「タロ、流されない内に拾うよ」

『うん、ご飯だもんね』


 浮いてきた魚をタロと一緒に拾い集めるとだいたい二十数匹くらいだろうか。その中から今晩のおかずを十匹だけ選り分けると残りはアイテムボックスへと収納する。


『ねえ、どうやって食べるの?』

「ん~鍋もフライパンもないし、ここは串焼きだね」

『分かったよ。じゃあ早くしてね』

「あ? タロ、お前は手伝ってくれないのか?」

『だってボクはこんな手……っていうか足だよ。魚を掴むことも出来ないよ』

「そうだよな~しょうがないか」


 タロの言うことも尤もだと俺は串焼きに適した枝とたき火に使う小枝を拾い集める。


「こんなもんかな」


 集めた枯れ枝に魔法で火を着けるとエラや腸を取り除き串に刺した魚をたき火の周りに並べる。


『ねえ、まだかな?』

「今、火にかけたところだよ。生は怖いから、待ってて」

『は~い。早く焼けないかな~』


 俺も早く焼けないかと火加減が気にはなるが、正直初めての野宿と野外調理なので不安しかない。だから、魚の焼き加減なんて分かるわけがない。でも、俺には鑑定があるじゃないかと魚がいい焼き加減になるまで一匹ずつ鑑定し続ける。


『それはそろそろじゃないのか?』

「え? あ、そうだね。ありがとう……って、誰?」

『あ、すまん。美味そうな匂いがするもんだから、ついな。ほら、早くどかせないと』

「あ、そうだった……って、だからそうじゃないでしょ! ってかヒトでもないじゃん!」

『お! 分かるか』

「いやいや、そりゃ分かるでしょ!」

『そうか? そんなに見た目は変わらないと思うがな』

「い~や、絶対に違う!」

『でも、こうやって俺と話せているじゃないか。何も違わないだろ?』

「あれ? そういやなんでだ?」

『なんだ、今頃気付いたのか?』


 そう俺の隣で魚の焼き加減に注文を付けていたのは全身緑色の憎いアイツ……じゃなくて慌てて鑑定してみると『リザードマン(雄)』と表示されていた。


「あれ? 確かリザードマンとは話が出来ないって聞いてたけど?」

『出来てるな』

「うん、そうだね。じゃなくてヒトと対立しているって聞いているけど?」

『あ~それも違うな。それはそっちが勝手に勘違いしているだけの話だな』

「え? それはどういうこと?」

『まあまあ、そういう話は後だ後! 今は魚を食おうじゃないか。他のもいい感じだぞ』

「あ、そうだね……タロ、はい」

『あ~やっとだよ。ありがとう』

『珍しい従魔を連れていると思ったが、とんでもないな』


 いつの間にか隣にいたリザードマンは持っていた槍を地面に置き串焼きの魚を手に取り腹の部分に囓りつくと『美味い!』と嬉しそうにしている。


『おう、そう言えば自己紹介がまだだったな、俺の名はキュリだ。お前は?』

「俺はコータ、そっちはタロ」

『よろしく!』

『コータにタロな。よし、覚えた』


 その後もキュリと雑談をしながら気付けば捕まえた魚を全部食べ尽くしていて陽もすっかり落ち辺りは真っ暗だ。


『暗くなっちまったな。お前達はどうするんだ?』

「うん、そろそろお風呂に入ってから寝るよ」

『そうか、家に帰るのか。じゃあ暗いから気を付けるんだぞ』

「え? 違うよ」

『は? じゃあどうするんだ?』

「こうするの『小屋建築(ビルドハウス)』」

「は?」


 俺は川辺に土壁で囲われた小屋を建てると、中を検分する。初めて使ったにしてはまあまあ、上等な部類かなと単に土壁で四方を囲まれただけの小屋の出来に満足しているとキュリがあんぐりとしている。


 屋根も土で覆われているけど雨が降ってきそうにはないし、十分だと思う。窓や入口は穴が開けられているだけの開放された空間で広さとしては十畳ほどあり、十分だろう。


『お前、こんなところで寝るつもりか?』

「うん、そうだよ」

『魔物が来たらどうするんだ?』

「タロがいるから大丈夫」

『うん、任せて』


 俺達がこのまま川原で寝ると答えるとキュリ不安そうにしている。タロの強さは十分だろうから俺も安心出来るって言うのにね。


「そんなことよりもさ、さっき言ってた俺達が勘違いしているだけってのはどういうこと?」

『ああ、それな。いや、実はさ……』


 キュリが言うにはリザードマン達は別に川を占領している訳ではないと言う。俺はそれに対し「ヒトを排除している」と聞いているけどと言えば、それも勘違いだと。ヒトを見かけた時にちょっとお話をと声を掛けようとすると走って逃げる。ちょっと待ってと少し追い掛ければ更に走る速度を上げて逃げてしまうから、どうしようもないらしい。


 中には川で用を足している人やゴミを捨てる人に強い口調で注意したのが襲われていると思われているんじゃないかということだった。


 そういうことなら話は簡単かなと俺が考えていることをキュリに話せば、それは俺一人じゃ判断出来ないということになり、リザードマン達の里長に話を聞いてもらうことになった。


『じゃあ、そういうことで俺もここに泊めてもらうな』

「いいけどさ、カピカピに乾かない?」

『……多分、大丈夫だろう』

「多分なんだ」

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