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6 最低姫、国の危機を語る

カイルの存在自体が少し謎なのよね•••


と、そこまで考え、思考が別の方向にいこうとしてるのを必死に止めた。


「あら、私の変装は完璧よ、

誰も私のことを王女なんて思わないわ」

と言ってみる。




カイルは、少し得意げに頬を染めて、小首を傾けているアーシャに言った。


「まあ、よほど普段から姫さまに接している人でなければ気付かれないだろうな。大分印象も変わったし•••ただ、何分顔立ちが、、騎士にしては少し人目を引きすぎる。」


「えっ?」



いえいえ、あなたの方がよほど私より、人目をひきましてよ、、と心の中で言い返しながらも、ここはカイルの言う通りにする。




カイルは私の準備が整ったと見るや、有無を言わさず説明を促す。


「ではアーシャ姫、ご説明くださいますね。」





私は覚悟を決め、伝えられることは全て伝えた。


第一王子エドゥアルトが、お忍びで今わが国に来ているだろうこと、

彼は王である私のお父さまに同盟を願い出て、第二王子の派閥が計画する戦を止めたがっているつもりであること


けれどこのままだと、彼は罠に嵌められスパイ容疑で、両国に戦が起こってしまうこと、などを話した。



「王子は噂で聞く『最低姫』の私のことは全く信用していないわ。何としても王に直接会おうとするはず。でもそれでは遅いの。

それに、姫とバレると彼を罠に嵌めようとしている第二王子の派閥に、私自身も狙われ、余計ややこしいことになるわ」




「では、騎士団に言って王子を連れてきてもらうのは?」


「あなたも分かってるはずよ。今の確信のない状態で騎士たちに言っても、エドゥアルト王子は結局、密入国で捕らえられる•••

けれど最低でも『騎士』の身分でなければ、王への取り次ぎはできないのよ。

それに、騎士の姿の方が動きやすいもの。」



本当は、王女である私自身を信頼してくれるのが1番いいけれど•••『最低姫』の悪評は隣国にまで知れ渡っていて、エドゥアルト王子は会ったこともない私に良い印象は持っていないはずだ。


「まあ、確かに、城下でただの貴族が馬を乗り回すより、騎士の方が目立たないだろうが••••では、代わりにオレが行くことは?これでもある程度の剣の嗜みくらいは身に付けてますが。」


カイルはどうしても私を行かせたくないようだ。自らの腰に刺している金の装飾に彩られた小刀に視線をやる。


「でもカイルは絵姿でしか王子を知らないでしょう。あの人は変装してるからきっと私にしか分からない」



「それはあんたも同じだろう?そもそもこれらのことを一体どうやって知ったんだ?」



核心を突いた質問が来た。

答えは既に考えてある。 

前世やゲームのことは話せない。


「それは石の色が変わったのを見た時、国の危機に関する予知のようなものを見たのよ。

青の石に直接関係しているかはわからないけれど、国の危機が近づく時青の石はその色を失い、不思議な力を発揮すると言われてるわ。もしかしたらこの力も••••」


少し苦しい言い訳だが、青の石にそうした伝説があるのは事実だ。


カイルは少し考えるようにその長い睫毛を伏せた。


「青の石•••••なるほど••••青の石は王族の血筋と強い縁を持つと言われているから、ないとは言い切れないな。そう言えば、大昔の戦の時に色が変わった時にも、当時の王が予知のような不思議な力で国の危機を脱したと聞いたことがある。」



そう。

だからこそ、青の石はわが国では守り石として大切にされてるのだ。


当時の王ももしかしたら私のように、、、



いや、まさか!


それよりも今のことを考えよう。


「カイル、行きましょう。もう時間がないわ」


窓に駆け寄ろうと振り向いた時、カイルが突然私の手を引いた。


その拍子にバランスを崩し、私の身体を、カイルの厚い胸板が受け止めた。

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