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第8話 葛ノ葉神社

 シズクの家は地元に根付く、昔からある神社である。名は『葛ノ葉神社』。祀っている神様は宇迦之御魂神と言うらしいが、正直よく分からん。


 まあ、あいつの神社の事情はひとまず置いておくとして。

 シズクの角が生えた原因たるダンジョンはその神社の池に出来たという。池と言っても小さいものだ。


 そして、今。池があったはずの場所は、水が枯れ、地面奥底へ誘う穴が空いていた。




 学校から出たあと、俺たちふたりは分かれ、一旦家へと帰宅した。そして、現地集合とした訳だが――


「お待たせ」

「ああ、そこそこ待ったな」


 俺がこのダンジョンの前に着いてから、三十分。女の用意は時間がかかるってマジなのな。

 全く、体調悪いのに良くやるぜ。


「待ってるならここじゃなくて、家まで来れば良かったのに。ほら、すぐそこよ」


 神社から隠すように生えた木の奥にある家をシズクは指さしをして言った。


「んなこと、出来るかよ。お前ん家があそこだと確証を持ってたわけじゃないしな」

「ふーん。じゃ、行きましょ」


 シズクは話を切り上げると、早速ダンジョンのある穴へと向かっていった。





 少し狭い、穴の中を進んで行くと、大きな空間に出た。

 鍾乳洞の様に白い氷柱に似たものが天井に垂れ下がっている。

 戦闘中は特に上方向に気をつけなければ。ちょっとした、衝撃で落ちてきそうな細さのものも垂れ下がっている。


「これ、なかなか綺麗よね」


 確かに、ちょっとした観光名所になりそうだ。ダンジョンじゃなければな。


「そういや、シズクはここ二回目なんだよな」

「まあね。パパにキャリーしてもらって、五層までは探索済みよ。ま、頼りにしなさい」


 俺の家に出来たダンジョンも、そろそろ難易度を測る偵察隊が探索者組合から派遣されてくる頃だろう。

 さすがに素人が未知のダンジョンに突入する訳にもいかないからな。だから、父親がプロであり、探索済みであるシズクの方に来ているのだ。


「んで、ここにはどんなモンスターが出てくるんだ?」

「大雑把に言うと爬虫類系。ヘビとかトカゲよ」

「まあ、ここも元は池だしな。だとしたらうちの家の裏に出来たダンジョンは何が出てくるんだか」


 そういえば、あの社は一体なにを祀ってたんだ?


 そんなことを考えながらも、ダンジョンを進んでいく。


「来たな」

「そうね」


 すると、前方からにゅるりとヘビ型のモンスターが現れた。体の太さが直径二十センチくらいでかなり太い。全長は多分、三メートル。


「ここは私に任せておきなさい」


 そう言うと、シズクは俺の前方に立ち、頬を膨らませた。


 なにをするんだ?


 ふう、と吐息を吐くと――


「どうよ? なかなかでしょう」


 その吐息は炎を息吹となり、前にいたヘビを火だるまにした。


「それがお前のギフトなのか?」

「いいえ、これはこの角が生えてから出来るようになったわ。貴方が鬼なら、私は龍よ」


 シズクは俺の顔に近づきながら言う。


「それによく見て。私の瞳、ダンジョンみたいな薄暗いところだと、縦長の瞳孔になるの。調べてみたら爬虫類にはそういった生き物もいるらしいわ」


 鼻と鼻が触れそうなくらい近い。


「確かにな。で、分かったから離れろ」

「ふーん、照れてるんだ」


 俺をからかうようににんまりとシズクは笑う。


「それよりも、次は俺だな」


 シズクから離れ、身体についた炎が消えたヘビに向き直った。

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