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第5話 なんか、角が生えたんだが?

 無事に帰宅。

 ただいまと、玄関を開ける。するとキッチンから母の声が。


「いつきー、探索者組合に行ってきてくれたー?」

「行った。ついでに、ダンジョン潜ってきたわ」


  リビングに入ると、弟の春樹がソファに寝っ転がってゲームをしていた。


「お、兄ちゃん、お帰りー。対戦しないー?」

「しねえ」


 視線はゲームに釘付けのまま誘ってきたが、即断る。こっちは探索帰りで疲れてるんだ。


「ねえ、イツキ……頭、どうしたの?」


 キッチンにいる母が、不思議そうに俺を見ながら言った。


「は?」


 頭を触ってみれば――


「うわ、なんか生えてる……」


 手のひらから伝わるのは、硬い質感。

 朝、こぶがあったはずの場所から、真っ直ぐな二本の角が生えている。


「ははは、兄ちゃんがコスプレとか、似合わねーな! お兄ちゃんならぬ、鬼いちゃんとか、ぶはっ」


 弟は呑気に爆笑してるが、俺はそれどころじゃない。慌てて、洗面所に向かう。


 そこで鏡に映ったのは、見慣れた俺の顔。そして、見慣れない二本の角だ。


「ハハッ、マジかよ……意味分かんねえ」


 呆然としたままリビングに戻ると、母が夕食を並べていた。


「とりあえず、ご飯にしましょう」


 腹が満たされると、細かいことは割とどうでもよくなってくる。


「まあ、角が生えてたところで困ることはあんま無いか」


 それに、ごく稀に獣耳や鱗が生えるギフトだってあるのだ。多分、俺の角も似たような感じなのだろう。


「テレビに出てる、誰だったかしら? 有名な探索者も狼人間だったわよね」

「あー、名前は忘れたけどA級探索者だったか」


 ダンジョン関連の番組に割と呼ばれているから、覚えている。確か、狼の耳を生やしているおっさんだ。

 キャラが立った探索者なのでテレビ映えするのだろう。


「見た目に影響の出るギフトは大体一万人に一人とかだっけ」


 探索者人口は日本だと人口の十分の一と言われている。探索者一千万人のうち、俺と同じようなのが千人か。


 ……そう考えれば、別に大したことでもないか。


 明日は学校があるし、今日も探索で疲れた。

 さっさと風呂に入って寝るか。



 ――翌日、学校にて。


「ねえねえ、なんで木塚君の頭に角がついてるのか分かる?」

「えー、分かんない。教室入ったら、もうアレだったけど」


 コソコソ、チラチラ。誰も彼も、俺に聞かずに噂話に精を出している。

 あとな、小声で話してるようだが、全部聞こえてるんだわ。


 つーか、もう担任入ってきたぞ。


「よーし、ホームルームはじめるぞ。ほら、席に着け」


 結局、何も聞かれずに朝のホームルームが始まった。


「うん? 木塚、その角どうした。アクセサリーは校則違反だぞ」


 担任の問いかけと同時に、クラスメイト全員の視線が俺を突き刺す。


 興味津々だなぁ、オマエら。


「昨日、ダンジョン潜ってたら生えてきたんすよ」

「あー、ギフト的なあれか? なら、まあいいか」


 担任は軽く流して、いつも通り出席を取り始めた。


「じゃ、これでホームルーム終わりな」


 挨拶が済むと共に、周りにクラスメイトが押しかけてきた。


 わちゃわちゃと、質問してくるがどれも聞き取れない。


「俺は聖徳太子じゃねえ! 質問は一つずつしろや。まず、お前な」


 適当にゆびを指すと、そいつはおずおずと聞いてきた。


「その角、触っていい?」


 そ、そう来るか……


「まあ、いいぞ」


 そうして、次の質問が来ることはなく授業が始まるまで俺はクラスメイト達に角を触わりまくられたのだった。


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