表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/15

第4話 十層

 このダンジョンは十層ごとにボスが出現する。

 実は十層のボスだが、体験済みである。


 その時は、探索者組合で集まった野良のパーティで挑戦したが、難なく突破できた。


「どうする……挑戦するか?」


 時間を確認すれば、現在午後四時。

 ボス部屋は、ボスを倒すことで帰還用の転移ゲートが解放させる。


 だから、ボスに挑戦せず一層まで歩いて帰るよりも、ボスを倒して転移ゲートで帰った方が十中八九、楽だし早い。


「やるか。ダメそうなら逃げりゃいいしな」


 ボス部屋は逃走できない部屋と、できる部屋がある。幸い、次の十層は逃げることができるタイプなので気軽に挑戦できる。


 階段を降りた先には、これまでの木の洞の洞窟から一転して、小さな森が広がっていた。


 木々から伸びた枝は、天井を覆っている。また、まばらに生えている木が、障害物になっており、視界が悪い。


 十層のボスモンスターは、痺れアゲハ。ざっくり言うとアゲハ蝶が大きくなったモンスターだ。

 羽を広げた姿はかなり迫力がある。


 木の影から現れた痺れアゲハは、こちらに気づくと高度を上げ、上から俺を見下ろした。


 「ピュルゥウ」


 ストローみたいな口から笛音を鳴らす。威嚇でもしているのだろうか?


 痺れアゲハが羽ばたく度に、鱗粉が周囲に舞う。それがダンジョンの光に反射している。


「まずは距離を取らないとか」


 あの鱗粉は吸い込むと、体が痺れ段々と動けなくなる。だからこそ、アイツに頭上を取られない位置取りが重要だ。


 そして、一定距離を保って逃げていると――


「シュルル!」


 痺れアゲハは、ストロー状の口をこちらに突き立てるようにして、突進して来た。


 そして、その口が俺の体に突き刺さる直前。


 周囲に生えていた木々が、縄のように痺れアゲハに巻き付いた。


「確保完了。やっぱ、俺のギフトと相性イイな」


 雁字搦めになった目の前のボスを見て、そう思う。


 手に持った棒の先端を<樹術>で尖らせ、痺れアゲハの頭に突き刺した。


 ぴくりと痙攣したあと、動かなくなったソレを見て、拘束を解除する。


 地面に落ちた痺れアゲハはやがて、ドロップアイテムへ変わる。


 出てきたのは野球ボール位の魔石。


「お、運がいいな」


 それと、短剣が一本。刃の鏡面が毒々しい模様と反射光を放っている。短剣はいわゆる、バタフライナイフと呼ばれる形状だ。多分、毒の効果もあるだろう。


 戦利品を拾い上げ、バッグへしまう。


「確か、転移門はこっちだったか」


 前回、ここに訪れた時の記憶を頼りに期間用の転移門を探す。


「コレだな」


 十一層へ進む階段。その奥側の壁に、ボスを倒す前にはなかった通路が開かれていた。


 その通路を進む。


 五分ほど歩いていくと、出口が見えてきた。

 

「もう、夕暮れ時か」


 入ってきた時とは反対側に出口はある。

 俺が通路から出ると、ぐねぐね樹の皮が蠢き出しその通路を塞いだ。


 何度、経験しても不思議なものだ。ただ平坦な一本道を進んできただけで地上に出た。


 ――ダンジョンはこの二十年、未だ謎ばかりだ。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 今後に期待です。 [気になる点] 午後1時、開始 午後2時前、3層着 午後4時、10層ボス部屋着 10層がボス部屋のみとしても、2時間で3~9踏破。 下層の方が早くなる不思議。 標準速度…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ