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第46話 対最古の魔獣

 私が動いたのを見てか、最古の魔獣も私へと一歩を踏み出す。

 大きさがデカいだけあって、その一歩で私との距離が一気に縮まる。

 だが、そのおかげで、最古の魔獣が私の魔法の射程範囲に入ってくる。


 とりあえず先手必勝!


「エクストリーム・ロックボム!!」


 私はセットしておいた魔法を発動する。


 最古の魔獣の下の地面が盛り上がり、土の柱が、無防備な状態の最古の魔獣の腹に命中する。

 しかし、エクストリーム・ロックボムの効果はそこで終わりではない、最古の魔獣に命中した土の柱は、その場で爆発四散し、弾けた土や石の塊は、最古の魔獣の体全体を攻める。


「グオオオオォォーーー!!」


 痛みからなのか、最古の魔獣が叫び声を上げる……いや、違うな……


 嫌な予感がして咄嗟に身をひねる。

 さっきまで私がいた場所めがけて、炎のブレスが放たれる。


 凄まじい威力だ。地面に生えていた草がこんがりと焼かれている。

 というか……


「あっつ!!?」


 どうやら完全に避けきれてはいなかったようで、私の靴が燃えていた。


 足で地面をバンバンと踏みつけるようにして消火しようとしたが、火はなかなか消えてくれない。


「ウォーターボール!」


 仕方ないので水魔法で消火する。

 くっそ!無駄な時間をとらせやがってぇ!


 私は最古の魔獣をにらみつける。

 しかし目に入ったのは、次の攻撃動作に移り、再度ブレスを吐こうとしている最古の魔獣の姿だった。


 ……ですよねぇ。私スキだらけでしたもんねぇ……


 再度ブレスをかわす動作をとろうとしたが、考えを変える。


 遠距離での攻撃合戦では、ブレス持ちの最古の魔獣の方に分がある。

 何より、直接攻撃しなくては、せっかく仕込んだ麻痺付与効果だってまったく意味がない。


 私は手を前で交差させ、頭を守るような体勢で最古の魔獣の方へと走り出す。

 そんな私に向けて、無慈悲に放たれるブレス攻撃。


 痛い!痛いっ!ってか寒っ!!?


 どうやら、今回のブレスは氷のブレスだったようだ。


 ダメージを受けてでも突っ込んだかいがあり、ブレスを抜けると、そこには最古の魔獣の巨体があった。

 私は全力で最古の魔獣を斬りつける。


「グオオオオォォ!?」


 馬鹿め!この距離ではブレスは使えまい!


 私はここぞとばかりに、もう一撃斬りつける。ついでだ!もう一発!

 さすがに最古の魔獣も3撃目は許さなかったようで、前足の爪で私を攻撃してくる。


 私は右手に持った大剣の腹に左腕を添えるように、盾のようにして爪の一撃を防御する。

 最古の魔獣の攻撃は強力で、ダメージ自体は軽症で済んだのだが、ノックバック効果で再び最古の魔獣との距離がひらいてしまった。

 そして再度ブレスを吐く動作に入る最古の魔獣。


「……ほんと、我ながら厄介なボスキャラ設定したものですね……」


 私はもう一度、ダメージ覚悟で最古の魔獣へと駆け出す。

 しかし、覚悟したはずのブレスがくる事なく、最古の魔獣の目の前にたどり着く。


「……鑑定」


最古の魔獣 LV1 モンスター(麻痺)


総合戦闘力……243100


 麻痺入ってたぁ!!?よっしゃー!今がチャンス!


「ハイ・ロックスラッシュ!」


 ただでさえ攻撃に土属性が付与されているのだが、ダメ押し、タメの大きい土属性スキルで上乗せさせて最古の魔獣を斬りつける。


「グオオオオォォ!!!?」


 たまらず叫び声をあげる最古の魔獣。


「まだまだ!チャンスは最大限活かしますよ!!ハイ・ロックスラ……うぐっ!!?」


 さらにもう一撃加えようと、武器を大きく振りかざしたところで、まさかの反撃をくらう。

 ちょっと調子にのって油断していた。

 無防備な状態でまともに攻撃を受け、吹っ飛ばされ思わず武器を取り落とす。


 急ぎ武器を拾おうとしたところで、違和感に気が付く。


「……これ、右手……骨折れてますね……」


 利き腕である右手首が、曲がってはいけない方向に曲がっていた。


 気分がハイになっていたせいで、咄嗟には気付けなったのだが、気付いてしまったらもうダメだった。

 痛みで大量の冷や汗が出てくる。

 手首を抑えてうずくまる。


 恐れていた事だった。

 ずっと懸念していた。

 ゲーム上では存在していたHP表示が、何故現実世界になる事で見れなくなっていたのか……


 おそらく答えはコレだ。


 今の私は、死ぬようなダメージはおっていない。

 つまりは、こんな状態だが、仮にHPが表示されてたら、たぶんまだ半分も減っていない。

 それなのに、現実では武器も握れずに、戦う事ができなくなっている。


 ゲーム世界では、HPが残り1でも、普通に動き回れるし、普通に戦う事ができる。

 ……ちょっとつつくだけで息絶えるような、瀕死の状態なのに、である。

 そんな状態でも平気で大剣とかぶん回せるのだ。

 というか、今私武器を落としているけど、ゲーム上では戦闘中に武器を落とすなんて事は絶対にない。


 そういった非現実的すぎる事象を排除した結果、HP表記がなくなったのだろう。


 そして……

 私が、最古の魔獣を倒せると考えていたのは、あくまでもHP1になっても普通に動ける事を前提としての事だ。

 HPが半分も減っていないのにまともに動けなくなるってのは計算に入れていない。


 まさかこんなところでゲーム脳が仇になるとは思ってもみなかった。


「……ハイヒール」


 とりあえず回復魔法をかける。

 チャージタイムの長い、大回復魔法を使っている暇はないため、中回復魔法でお茶を濁しておく。

 せめて、武器が握れる程度には回復しなくては……


 というか……

 コレちょっとマズくない?


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