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第41話 覗き見

 ギルドを出て、すぐに『探索』スキルを使用してルカがどこにいるのかを調べる。

 さっきは若干取り乱したものの、別にルカの恋路を邪魔する気はない。馬に蹴られて死ぬ気は毛頭ない。


 とはいえ、軽い人間不信になっているルカが、私以外の人と一緒にいる、という時点で色々と心配なため、様子だけはうかがっておこうかと思っての行動である。

 もちろん心配なのは相手の男の方ね。


 ルカの今の実力なら、貞操の危機に陥っても、簡単に返り討ちにできるだろうから何も心配はないのだが、純粋な好意でルカを誘った男の立場としては、ちょっと盛っただけで、命が奪われるとは夢にも思うまい……


 そんなくだらない事で命を失うナンパ男も、人を殺してしまうルカも、どちらも後悔しか残らないだろう。


 早く見つけて、二人を救わなくては!!

 うん!決して、二人の行為を出歯亀したいわけではない!


 探索の結果、ルカの反応は、この町の外れの方にあった。

 ううむ……人気の無い場所とは……ますます怪しいな。


 実際は、特に急ぐような案件ではないものの、若干小走りで、ルカの反応があった町の外れへと急ぐ。


 そこは倉庫街となっており、大・中・小、様々な規模の倉庫が多く建ち並んでいた。

 王国管理の倉庫から、貴族の私物倉庫や商人所有の倉庫。

 あまりに数が多いため、既に使われていない倉庫もいくつか存在しているようだった。


 そして、ルカの反応があったのは、そんな使われていないと思われる倉庫だった。


 誰も来る事のない使われていない倉庫に、若い男女が二人っきりって……

 随分とお盛んです事ねぇ……でも、もうちょっと雰囲気は大事にした方がいいんじゃないかな?そこまで金が無いわけじゃないんだろうから、こう……少しは衛生面も考慮した方がいいんじゃないかと私は思うんだけどなぁ……


「失礼しまぁ~す……別にアレな行為を覗き見したくて来たわけではないですよぉ~……ルカが心配で様子見に来ただけですので、そこは間違えないでくださいねルカ……」


 別に誰が聞いているわけではないのだけれど、うっかり見つかってしまった時の事を考えて、小声で言い訳じみた事をつぶやきながら、ルカがいるであろう倉庫の扉をコソコソと開けて中の様子を除き見る。


 倉庫の中は、外からの光がほとんど入ってこないため薄暗くなっていた。

 予想通りの空き倉庫で、中に物が入っている事はなく、ただただ広い空間が広がっていた。


 そんな倉庫内の中心で、膝をつき、うずくまりながら、過呼吸気味に泣き声を上げているルカと、すぐ近くに、元人間と思われる、黒焦げになった焼死体が一つ転がっている。


 ……あ、コレ……ガチであかんやつだ……


 いや、それにしても、ちょっと強姦されそうになったからって、身元不明遺体にするのはさすがにやりすぎじゃないかな?

 そもそも、そんな男にホイホイ付いていったのはルカでしょ?これはちょっと擁護できないレベルでルカの過剰防衛でしょ?


 え?私がルカと同じ立場だったら?

 そりゃあ完膚ないくらいに、襲って来た男殺すに決まってる。過剰防衛?だから何?って感じかな。


「……ルカ」


 泣いているルカの背後まで歩いていき、そっと声をかける。

 驚いたような表情をして振り返ったルカと目が合う。


「えっとねルカ……襲われそうになったからって、さすがにコレはやりすぎだと思いますよ……ほら、せめてチ〇コもぎ取るくらいにとどめておくべきですよ」


 私の言葉を聞いても、ルカの驚いたような表情は変わらずに、ただ黙って私の顔を見つめているだけだった。

 それだけショックだったのだろうか?だったら変な男になんて付いていかなきゃよかったのに……


「ああ……えぇ~と……あ!もぎ取るためにはチ〇コに触れなくてはなりませんもんね……嫌だったんですね!」


 ううぅ……せめて何か反応してよルカ……

 「チ〇コチ〇コ」連呼してるのにツッコミ無しだと、さすがの私でも恥じらいという物が出てきてしまう……少しだけど。


「ルーナ……なの?本当にルーナ?」


 混乱しているのか、ルカはわかりきった事を質問してくる。


「ええ。正真正銘ルーナ・ルイスですよ……それがどうしましたか?」


「ルーナ……死んだんじゃ?」


 ちょっと待って!!?それどこ情報!?

 何をどう間違えたら、今の私が死ぬの!?


「私のステータスを考えれば、そう簡単に死なないのはルカはよくわかってると思うのですが……」


 そう言いつつ、ルカをよく見てみると、うずくまりながらも大事そうに抱えている布が見えた。

 それは、私が普段愛用しているフード付きマントにソックリであり、そのソックリマントにはびっちゃりと血痕のようなものが付着していた。


 ああ……もしかして、そのソックリマントが私の物だと思って勘違いしてたパターンのやつかな?


 そして、本物の私のフード付きマントは、今も小綺麗な状態で、しっかりと私に装着されている。


「う……うん、そうなんだけど……石井君が……」


 『石井君』?ってもしかして、元クラスメイトの石井 卓(いしいたく)


 って事は、ひょっとして、そこで黒焦げになってる焼死体って……


 いや、待って!?何がどうなってるの?

 私がいない間に、いったい何やってたのルカ!!?


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― 新着の感想 ―
[良い点] ストーリーがいい 主人公の思い切りがいい [一言] めっちゃ面白いです
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