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第35話 北の村到着

 この世界で、レベルを上げる人・上げない人、理由は様々あるが、大きく分けると3つである。


 1つは、王族・貴族・大商人など、レベルの有無に関係なく、安定した生活ができる人達。こういった人達はレベル上げはほぼやらない。というよりも、生きていく上でまったく必要性がない、といった感じである。


 2つめは、平民や中・小規模の商人等、毎日の生活や仕事がメインとなり、レベル上げをする余裕のない人達。まぁ「休日の趣味はレベル上げです」とかいう考えの人以外はまずレベル上げをしない。稀に村の近くにやってきた魔物を退治する事もあったりするため、少しはレベルが上がっている人もいるが、基本は低レベルだ。


 3つめ、安定した収入や生活もなく、いつ死んでもおかしくないハンター職の人達。レベル上げをするのは、この連中だけである。

 生きるため仕方なくやっている連中もいれば、一発逆転を狙ってる奴等もいるため、このハンター職は意外と多かったりする。……成功する確率は半々くらいだろうか?


 まぁ何をもって成功といえるかは人それぞれだろうが、一般的には「国に兵士として雇用される事」といわれている。

 しかし、兵士になるためには色々と資格があり、中級職である事が必須なのと、基本『守る』事を主要とするためナイト・プリースト系の職しか雇用されない。

 雇用されれば、後の生活は安泰なため、レベル上げをしなくなるため、国の兵士はほぼ中級職のレベル1桁である。

 というか、雇用される事により、国に束縛されて自由時間が減るため、レベル上げをするような時間がなくなるから、って理由の方が正解かもしれない。


 そして、ナイト・プリースト系以外の職でも、中級職にもなれば、貴族や大商人の私兵やボディーガードとしての就職口は用意されていたりもする。

 もちろん、国の兵士と同じように、就職後のレベル上げはほぼない。

 また、貴族・大商人の私兵レベルだと、気に入られた下級職の連中も採用されたりする。いや、むしろソッチの方が多いかもしれない。まぁ中級職の連中を抱えるより低賃金で済むしね……高卒か大卒かの違いくらいだろうけど。


 ともかく、こいうった就職口にありつけた連中を『成功した』という部類に入れてもいいのかもしれない。


 もちろん、ウチのギルマスのように『誰かの下につくのが嫌だ』とか『行動を束縛されるのは勘弁』とか考えてる自由人は、中級職になってもそのままハンターを続けている。


 そして……『誰かの下につくのが嫌だ』『行動を束縛されるのは勘弁』という考えの連中でハンターをやめる奴等もいる。

 「これだけの強さを手に入れたのだから、好き勝手自由に生きながら、必要な物は他人から奪えばいいんだ!」という思考にいきついた、自分勝手な連中。

 それが野盗集団である。


 そんな野盗集団を討伐する依頼を受けた私は、依頼主である村へとやってきた。


 とりあえず、依頼を受けてやって来た旨の報告と、村を荒らしている野盗集団の情報を得るため、村長とかの家に行きたいのだが、どこがそうなのかまったくもってわからないため、辺りを探索しながら村の様子を伺ってみる。


 村の感じとしては、本当に『村』って感じの集落であり、いくつかの家の一部が壊されたり燃やされたりした痕があり、野盗被害の証拠がこれでもかと残っていた。


「あ、ソコの方。私、ハンターギルドから依頼を受けてやってきたのですが、代表者の方がどちらにいるか教えていただいてよろしいでしょうか?」


 いつまでもブラブラしていても仕方ないので、私はその辺を歩いていた親子連れに声をかける。


 それを聞いた大人の方は、一瞬だが何とも嫌そうな表情を浮かべる。

 たぶん、案内が嫌なのではなく、ハンターギルドに対して「何でこんな小娘を送りつけてくるんだよ!?」という不信感からの顔だろう。

 この世界では、年齢を重ねてレベルを上げた人ほど強い。

 そんな『年齢=強さ』が常識の中、前回来たベテランでもダメだったのに何で?といった感じなのだろう。


「お姉ちゃん強いの?」


 そんな常識など知らずか、子供の方は何とも純粋な瞳で私へと質問してくる。


「ふふ……どの程度のレベルの方を『強い』とするかはわかりませんが、そのあたりを差し置いても私は超強いと思いますので安心してください」


「悪い事は言わない……お嬢さん、今からでもいいから依頼は断った方がいい。ここにやってきている野盗の頭はそうとう強い……はした金のために命を落としたら元も子の無いぞ」


 私と子供の会話を聞いて、親が割り込んくる。


「依頼主の方がそうおっしゃるのでしたら仕方ないのかもしれませんが、生憎ハンターギルドの規則では、依頼の途中放棄は信頼に関わるので御法度になっているのですよ……とりあえずは代表者の方に話を伺ってからそのあたりは判断させてください」


 適当な事を言って、案内を急かしておく。

 何なのハンターギルドの規則って?そんなのあるの?まぁあったとしても、少なくとも私は把握していない。


 そんなこんなで案内されたのは、この村で一番大きな家だった。

 マンガやゲームじゃないんだから、村長の家が一番大きな家とか、そんなテンプレ守らなくても……ってゲームの世界だった!?

 この村は私が設定したわけじゃなくて、ゲームが現実化したせいで現れた村だから、こんな基本に忠実設定は私がやったわけではない。


 まぁともかく……その家の一室へと私は案内される。

 そこでは、数人の男達が集まっており、何やら会議をしているようだった。


「アランか?どうしたんだ急に……野盗にやられたケガはもう大丈夫なのか?」


 どうやら私を案内してくれた人はアランという名前らしい。

 そして、この言葉から察するに、野盗にやられてケガをしていたのだろう。

 だからさっき私に「野盗はそうとう強い」とか言って警告してきたのかな?


「ああ、だいぶよくなってきたんで、今日はリハビリを兼ねて村のなかを散歩してたんだが、途中で、ギルドの依頼を受けたってハンターが来たんで案内してきたんだ」


 そう言って私を、その場にいる全員に紹介する。


 そうやって紹介された私を見た一同の顔が絶望に歪む。

 皆、私を見た第一印象は、このアランさんと同じって事かな?人を見かけだけで判断するなよ。


 しかしただ一人、一番年寄りで一番偉そうな人だけは、周りの連中とは少し違った表情を浮かべていた。

 嫌悪感を表すような、それでいて少し驚愕したような……そんなよくわからない表情だ。


「…………『銀髪の堕天使』、か?」


 あ、なるほど。

 私の顔に見覚えがある人だったのね。

 まぁ私って『この顔にピンっときたら110番』的なポスター作られてる立場だもんね。


 でもおじいちゃん……

 本気で恥ずかしくなるから、開口一番で『銀髪の堕天使』はやめて……


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