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第31話 レベル上げ

クロエ・バルト(西野琉花) マジシャン LV8 人種


力……18 防御……18 魔力……150 魔法抵抗……57


ファイアボール、ウォーターボール、サンダーボール


総合戦闘力……207


 無事に古の幻林に着いた私達。

 とりあえず、適当な雑魚を一匹倒してみたところ、レベル1だったルカのレベルが一気に7も上昇した。


 さすがは最終ダンジョンさんッス!経験値パネェっす!


「ねぇルーナ……何で最初に、ほとんど効かないのに私に魔法使わせたの?」


 そう、ルカには接敵した瞬間に、遠距離から一発魔法を打ってもらっていた。


「このゲームの仕様のようなものです。パーティを組んでいても、戦闘に参加していないと経験値が入らないのですよ」


 なので、ほぼ効果はなくても「戦闘に参加した」という事にするために、ルカには一発魔法を使ってもらっていた。

 もちろんその後速攻で、魔物は私がボコボコにするわけである。


 一応は魔物の攻撃がルカにいっても大丈夫なように、『かばう』で物理攻撃が私にくるようにして、魔法攻撃に対しては、魔法を反射させる『リフレクトウォール』をルカに使ってはいるが、『かばう』の効果は3分、『リフレクトウォール』の効果は2分で切れるので、悠長に戦っていると、両スキルのかけ直しする手間が発生するため、可及的速やかに魔物の対処を行わなくてはならない。


「でもすごいね……一匹倒しただけでレベルがいっぱい上がったよ」


 嬉しそうに声をあげるルカ。


「そうですね。こんな感じで一匹ずつ地道に倒していけば今日中には中級職になれそうですね……」


 私はそう言いつつ、一匹で行動している魔物を探すべく『索敵』スキルを使用する


 ……あ、やばい。


「ルカ!すぐに何でもいいので魔法をセットしといてください!」


 『索敵』に引っかかったのは、すぐ近くにいて、こちらに近づいてくる魔物4匹の集団だった。


「え?……ええ!?」


 私のいきなりの指示にうろたえだすルカ。

 その間に私はルカへと『かばう』と『リフレクトウォール』を使用しておく。


 そうこうしているうち、すぐに、霧のかかって視界が悪い木々の隙間から、デーモン4体が出現してくる。


「ルカ!魔法のセットはキャンセルしてください!とりあえず殴りやすい奴からでいいので、一匹ずつ全員殴ってください!!」


「ふええええ~~!!?」


 大混乱なルカ。

 とはいえ私も必死だ。いちいち状況をルカに説明している余裕がない。

 4匹を相手に、ルカをノーダメージで守るには集中力がいる。

 多少レベルが上がったところで、敵の攻撃をルカが一発でも受ければ即死だ。


 ちなみに、魔法をキャンセルさせた理由は、デーモンには魔法攻撃が一切効かないからだ。

 経験値を得るためには、1ダメージ以上を与えなければならないのだが、デーモンへの魔法攻撃は0ダメージになってしまう。


 この古の幻林の1層に出現する魔物は2種類いる。

 1種類はデーモンで、コイツには魔法攻撃は一切通用しない。

 そしてもう1種類はエルダーゴースト。コイツは逆に物理攻撃が一切通用しない仕様にしてある。


 2種類とも攻撃力はさほど高くないのだが、色々と面倒臭い仕様に設定しておいたのが若干仇になった。


 まさか『索敵』に反応した魔物4匹集団が、全員デーモンだという事は咄嗟には予想できなかった。

 4匹いれば、混載部隊だと思うじゃん?確率的に皆そう思うって絶対。私のせいじゃないよコレ!


「ええと……殴りやすい奴から全員……」


 ルカは、私の言った事を復唱しながら行動しだす。


「いたっ!?」


 あ、いや……実際は痛くないけど……でもさ……


「あの……ルカ?何で私を殴ったのです?」


「え!?全員を殴れって……今……」


 いや、確かにそう言ったけど、常識的に考えて『全員』に私は含まれないでしょ!?どんだけ混乱してるんだよルカ!?


「私以外の全員……いえ……今見えている魔物全員を殴ってください」


 『私以外の全員』で指示を出すと、今の混乱したルカだと自分を殴りだしそうなんで、そうならないように指示を出し直す。

 ルカは私に言われた通り、持っていた杖を振り上げて魔物の集団へと走り出す。


 一番近くにいたデーモンに杖を振り下ろそうとしたルカだったが、それよりも早くデーモンのコブシがルカの顔面にヒットする。


 ……痛い。


 『かばう』スキルが効いているおかげで、ルカはノーダメージで済んでいるが、私の顔面は少しヒリヒリと痛んだ。

 さすがに1層とはいえ、最終MAPだけあり、私の防御力をもってしても若干だがダメージが入るようだ。


 コブシを顔面に受けつつも、ダメージを受けていないルカは、そのまま杖でデーモンを殴りつける。

 私はソレを確認して、腰のレイピアを引き抜きつつ、ルカの後を追うようにして、ルカが攻撃したデーモンへと突進しレイピアを突き刺す。

 しかし、一撃ではデーモンのHPを削りきれなかったため、空いている左手で、そのままデーモンの顔面を殴りとばしたところ、そのデーモンは倒れこみ動かなくなった。


「さすがは最終MAP……物理攻撃で倒しきるには2撃必要なんですね……」


 1匹倒して少し余韻に浸りながらつぶやく。

 その間ルカは、次の標的へと向かって動いていた。


 それを見たデーモンの1匹がルカへと魔法攻撃を放ってくる。


 ……あれ?リフレクトウォールの効果まだ切れてないよね?


 ルカに当たった魔法は、そのままデーモンへと跳ね返っていく……まぁ跳ね返った魔法を受けてもデーモンへのダメージは0なんだけどね。

 ともかく……良かったぁ~まだリフレクトウォール消えてなかったよ。


 私は『鑑定』でルカのステータスを確認してみると、リフレクトウォールの持続時間が残り4秒になっていた。

 ……あっぶねぇ!?

 とりあえず急ぎリフレクトウォールをかけ直し、かばうを重ね掛けして持続時間をリセットさせておく。


 魔法攻撃が無意味だと察したのか、残ったデーモン達がルカへと殴りかかる。

 ……何故か執拗にルカの顔面を狙って。


 顔面で攻撃を受けつつも、近づいてきたデーモンを全員殴ったルカは、そのまま回れ右して全力でデーモン集団から逃げ出す。

 そして入れ替わりに私がデーモンへと駆け出す。

 ……かばうスキルで顔面への攻撃を全て肩代わりしたせいで、鼻血を垂らした状態で。


「顔はやめろやコラぁ!!!!」


 恨みを込めた言葉を発しながら、レイピアを投げ捨て、デーモン達の顔面をボコボコにぶん殴った。


 デーモン達を撃破し、無事危機は脱したのだが、なんだか釈然としない気持ちは晴れず、何ともいえない気分のまま息を切らせて立ち尽くす私だった……


 そして、ルカのレベルは一気に23まで上がった。


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