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97.アルカディア崩壊!!

改稿しました(2022年1月21日)

 幽霊のおじいさんと話していると、アルカディアの崩壊が始まってしまった。話している間に、出力が危険域まで下がったんだ。


「やばっ!」


 逃げないといけないので、顔を上げると、既に幽霊のおじいさんはいなくなっていた。


「あれ? 何で? いや、今はどうでもいいや。早く、あの穴から出……」


 私が穴に向かって走ると、同時に穴の部分から土砂が落ちてきた。


「……埋まった」


 目の前には土砂の山。それは、穴の中にまで続いている。


「幽霊のおじいさんのせいで、逃げそびれた!」


 私は、すぐに別の穴を作るため、黒闇天を引き抜く。


「銃技『連続射撃・十連』!」


 時間差で発射された爆破弾が、土砂を吹き飛ばしていく。土砂が落ちてきているということは、全部吹き飛ばせば、穴が復活すると考えたからだ。そして、予想通り、外への穴が復活した。


「よし、これで外に……」


 私が穴に入ろうとした瞬間、またアルカディアが大きく揺れる。その結果、この動力室が割れてしまった。断層になるが如く、目の前の穴が高く上がっていく。私のいる場所が下にずれていったんだ。


「やばい。このままだと、生き埋めに……」


 目の前に聳え立つ崖を、ロッククライミングの要領で登っていく。登山のスキルがあってよかった。


「急がないと!」


 どんどん登っていき、ようやく穴の真下まで来た。


「ここなら、ハープーンガンで上がれるはず!」


 ハープーンガンを穴の縁に向かって撃ち出す。そのタイミングで、またアルカディアが大きく揺れる。


「毎回毎回、なんでこんな変なタイミングで揺れるの!?」


 ハープーンは穴の縁を外れ、空に向かっていってしまう。すぐに巻き戻して、再び撃ち出そうとすると、揺れが加速してしまい、狙いが付けられなくなった。


「もう!」


 素早く登るのを諦め、穴の中に跳び上がった。壁を蹴って、三角跳びの要領で上がっていく。三分の一程上がったところで、穴に大きな亀裂が入る。蹴るべき壁が消え去ってしまう。


「ああ! もう!」


 踏んだり蹴ったりの状況に嫌気が差す。この状況を打開するために、私は足元に手を向ける。そして、威力を最小、爆風を極大、規模を中規模の爆発を即時起こす。亀裂が入っているとはいえ、狭い空間内で爆発を起こしているので、爆風は上下に限定される。つまり、私を押し上げる形で、爆風が吹き荒れるんだ。


「うっ……」


 いきなりの加速に、少し身体が軋む。ものすごい勢いで、空に向かって打ち上げられた。


「よし、抜けられた。でも」


 私は、アルカディアから抜け出す事が出来た。だけど、爆風を極大にしたせいで、かなり高く上がってしまった。それに、戦車型機械人形と最後の機械人形にも極大の爆発を使ったので、魔力がかなり少なくなっているみたい。少しだけ、目の前が黒くなりかける。


「着地はどうしよう……」


 ほとんど真上に打ち上がっているので、ハープーンを使っての着地だと、地面に叩きつけられてしまう。上手く別方向に勢いを変えられるものがないといけない。でも、ここは平原なので木が見当たらない。まぁ、木があっても、これだけ高く舞い上がってしまえば、そんな小細工も通用しない可能性が高いけど……


「ギリギリで、遠くの地面にハープーンを撃って、横への動きに変える事は出来ないかな。そうすれば、なんとかなるかもしれない。かなりの賭けだけど……」


 かなり無理のあることだけど、そうするしか無いと思い、ハープーンガンを準備する。すると、私の身体は、いきなり別の浮遊感を感じた。


「大丈夫ですか?」


 いつの間にか、私はシルヴィアさんの腕の中にすっぽりと収まっていた。空中でキャッチされたんだ。


「シルヴィアさん!?」

「驚きましたよ。地面から、ルナ様が打ち上がってくるのですから」

「あははは……まぁ、色々ありまして」

「そうですか。それは、ひとまず置いておきましょう。ソル様達から、話は聞きました。アルカディアを破壊したそうですね」

「一応、崩壊に向かってはいるはずです」


 そこまで話したところで、シルヴィアさんが着地した。そして、すぐに駆け出す。そこで、気が付いたんだけど、地面にすごい亀裂が走っていたり、陥没していたりしている。


「これ……もしかして、失敗しましたかね?」

「どうでしょう? 地中にあった施設が壊れていっているわけですから、こうなるのも仕方ないかと思います」


 確かに、地中にあったものが無くなっているわけだから、ここら辺が陥没したりするのは、仕方ないのかな。


「とにかく、ここから急いで抜け出します。しっかり掴まって下さい」

「は、はい!」


 シルヴィアさんが全力で走ると聞いて、すぐにシルヴィアさんにしがみつく。その瞬間、シルヴィアさんが最高速度で走り抜けていく。ものの数分で、戦乙女騎士団がいる場所に辿りついた。


「ルナさん! 師匠! 大丈夫ですか!?」


 リリさんが駆け寄ってきた。


「はい。大丈夫です。アルカディアを破壊したんですが、その結果、アルカディアがあった場所が、陥没してしまいました」


 私は、シルヴィアさんに降ろして貰いながら、リリさんに報告した。


「そうですか。そのことは、今は大丈夫です。後々に、復興をすることになりそうですが」

「ごめんなさい。穏便に壊せれば良かったんですが、正直、ここまでになるのは予想していませんでした」


 念のため、もう一度謝っておくと、リリさんが頭を撫でてくれた。


「先程も言ったとおり、大丈夫ですよ。こちらは、破壊をお願いした側ですから」

「そうだ。他にも、伝えないといけない事があるんです」

「それは、陛下やメアリーゼ様にですね?」


 シルヴィアさんが確認を取る。


「はい。あの後、動力室で色々とありまして。それと、ソル達は、どこに?」


 ここに来るまで、ソル達の姿を見なかったから、多分、ここに合流しているんだと思うんだけど。


「今は、向こうの天幕で休憩して貰っています。ソルさんの疲れが、酷いみたいでしたので」


 皓月千里を使った反動が抜けきっていないんだ。今の状態のまま、連れて行くよりも、私だけ報告に行った方が良いかな。


「私は、国王様達に報告しに向かいますので、ソル達の事をお願いしても良いですか?」

「そうですね。転移出来るルナ様に、お願いするのが一番でしょう。私も、すぐに王都の方に移動します。リリウム達は、ここの状態を見ておいて下さい。ひとまずは、ここでの観察が仕事になると思います」

「分かりました。お気を付けて」


 シルヴィアさんは、すぐに王都へと駆けていった。私は、ソル達がいる天幕に向かう。中に入ると、ソル達が椅子に座って休憩していた。


「ルナちゃん、無事で良かった」


 いち早く私に気がついたソルがそう言った。それと同時に、シエルとメレもこちらを向いた。


「ルナ、大丈夫だった?」

「うん。問題なく崩壊させられたよ。私は、それの報告をしに王都に向かうから、ここで解散にしよう」

「私達が行く必要はありませんか?」

「うん。大丈夫だよ。皆も疲れているだろうしね」


 メレ達が王都に報告をしに向かわなくても大丈夫だ。多分、緊張するだろうし、解散にした方が良い。


「分かりました。でも、ルナさんも報告を終えたら、休んでくださいね」

「うん。分かってる。後、色々と話したいこともあるから、学校かどこかで話すね」

「オッケー。じゃあ、ルナちゃんも気を付けてね」


 私は、ソル達に手を振って移動集落のポータルに向かう。転移を使う分、シルヴィアさんよりも私の方が早く王都に着く。だから、私から直接国王様に報告しないといけない。ここで起きた事、そして、あの幽霊のおじいさんが言っていたことを。

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