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91.皆で探索!!

改稿しました(2021年12月8日)

 次の日、私達は、王都の噴水広場に集まった。


「じゃあ、今日は、古代兵器の中を皆で探索するってことで良いんだよね?」

「うん。早速、移動集落に転移しよう」


 私達が、転移しようとすると、


「ルナ様! お待ちを!!」


 という声が届いた。声のした方向を見ると、王城で話したことがあるメイドさんが走ってきていた。少し待つと、メイドさんが息を切らしながら、私達の元に来る。


「どうしました?」

「あの……陛下から、こちらを渡すようにと」


 メイドさんは、私に一通の手紙を手渡した。私はその場で封を開けて、中身に目を通す。


『戦乙女騎士団が、そっちに向かっている。今日も探索をするというのなら、まずは騎士団と合流して欲しい。探索に人数が必要だろう。ちょうど昨日の夜に帰ってきてな。シルヴィアも一緒に向かってもらっている。近日中に調査が終われるように祈っている』


 渡された手紙にはそう書かれていた。


「昨日の夜帰ってきて、そのまま向こうに行ったんなら、徹夜なんじゃ……」


 リリさん達には、悪い事しちゃったかな。多分、私が古代兵器を見つけたから、国王様も急いで動いてくれたんだと思う。その結果、リリさん達が、すぐに動かないといけなくなったんだ。


「届けてくれてありがとうございました」

「いえ、では、私は失礼しますね。どうか、ご無事で」


 メイドさんは、そう言って王城の方に去って行った。


「よし! 改めて、移動集落に転移しよう。戦乙女騎士団の皆さんも、向かっているみたいだから」

「そうですね」


 私達は、移動集落に転移した。そして、プティに乗って、霧の森方面に進んで行った。すると、霧の森から少し離れた場所に、野営をしている戦乙女騎士団の姿があった。タイミングの良いことに、外に出ているリリさんの姿が見える。


「リリさん!」


 私は、プティの上から、リリさんに呼び掛けた。声に気が付いたリリさんは、私達の方を見る。そして、私達の方に少し歩いてきた。


「お久しぶりです、ルナさん」

「久しぶりです、リリさん。国王様から、お話を聞いていると思うのですが」

「はい。古代兵器を発見されたと。そのために私達が派遣されましたから」

「すぐに古代兵器の場所に行きますか?」


 リリさん達は、移動で疲れているので、一応すぐに向かうかどうかを訊いてみる。


「そうですね。多少、休めましたので、もう動けるかと思います」


 リリさんがアザレアさんに目配せすると、アザレアさんは頷いて、戦乙女騎士団の皆さんに指示をしに向かった。


「シルヴィアさんも来ていると、手紙に書かれていたのですが」

「師匠は、今は寝ています。昨日は、師匠一人で森を突破したと言っても過言では無いほどの活躍でしたので、早々に休んでもらっているんです。そろそろ起きると思いますよ」


 リリさんがそう言った後、テントの一つから、身支度を調えたシルヴィアさんが出てきた。寝起きにもかかわらず、シルヴィアさんの佇まいに、隙は一切ない。


「ルナ様、もうお越しになられたのですね。ということは、それなりに時間が経ったということですか」

「おはようございます、シルヴィアさん。今は、お昼前です」

「おはようございます、ルナ様。リリウム、もう動けますか?」

「今、アザレアが指示を出しているところです。十分程で、移動が可能になるでしょう」

「分かりました。その間に、ルナ様達からお話を訊きましょう」


 シルヴィアさんはそう言うと、私達を手招きする。そして、一枚の地図を開いた。


「王城にあったものを、拝借して参りました。この辺りの地図です。少し古いものですが」


 シルヴィアさんが広げた地図は、移動集落でお姉さんに見せてもらった地図の一つに似ている。近い時期に書かれたものなのかもしれない。


「大体の位置で構いません。どの位置に古代兵器がありましたか?」

「えっと、古代兵器の本体は、大体ここら辺です。大きな亀裂があって、そこから入れました。そして、本当の入口は……」


 私は、ちらっとソルの方を見る。ソルは、それだけでこっちの意図を察した。


「大体この辺りに、転移する入口があります」


 入口を見つけたのは私だけど、その正確な位置を把握はしていない。どちらかというと、亀裂から移動していたソル達の方が、場所を把握している。だからこそ、入口の位置については、ソルに任せたんだ。


「なるほど。転移する入口となると、本体がそこまで伸びているわけでは無いのかもしれませんね」

「一応、私が、中に入って作った地図です」


 昨日作った地図を、シルヴィアさん達に見せる。


「師匠の言う通りみたいですね。書かれていないところは、まだ探索していない場所ということですね?」

「はい。全体の地図と古代兵器の操り方を知りたいので、資料室のような場所を探しています。この古代兵器の中で開発をしていたようなので、その資料を置く場所があると思うんです」

「では、まずは、その資料室の探索から進めましょう。中に入ってから、手分けをする必要がありますね。私は、一人でも良いとして、リリウムは騎士団の中で班分けをしなさい。ルナ様達は、ルナ様達だけで動けますか?」

「はい、大丈夫です。でも、シルヴィアさんは、一人で動くんですか?」

「そうですね。一人でも動けるというだけですが、ご一緒に来ますか?」

「はい!」


 冗談で言ったであろうシルヴィアさんは、くい気味で返事をした私に、少し面食らっていた。久しぶりに、シルヴィアさんと一緒にいられると思ったら、思わず返事してしまった。やらかしたかも。


「では、一緒に行動しましょうか。私は、ルナ様達と行動しますので、探索出来る範囲は減りますが、安全を優先していくことにしましょう。リリウムも、それでいいですね?」

「はい。どのみち、同じ班分けになるので、私達は構いません」

「団長、支度が整いました」


 アザレアさんが、準備完了の報告をしに来た。


「分かりました。では、出発しましょう。全員騎乗を」


 リリさん達は、馬に乗って移動するみたいだ。


「そちらの熊に皆さんが乗って移動するのは大変でしょう。一人か二人程、誰かと一緒に騎乗しますか?」


 シルヴィアさんが、そう提案した。確かに、私達全員がプティに乗ると、プティの最高速度が落ちる。戦乙女騎士団と足並みを揃えるなら、シルヴィアさんの提案に乗るのが一番だ。


「じゃあ、私とソルが、そちらに騎乗させてもらいます。シエルとメレは、プティに乗っていくでいい?」

「そうだね。それが良いと思う」

「私も慣れてきているプティさんの方が有り難いです」


 こうして移動する際、私はシルヴィアさんの馬に、ソルはリリさんの馬に相乗りすることになった。


「では、出発しましょう。シエルさん、道案内を頼んでも良いですか?」

「はい。プティ」


 シエルが呼び掛けると、プティが走り出した。その後ろを、戦乙女騎士団が追っていく。


 ────────────────────────


 プティや馬に乗ることで、移動速度を上げた私達は、大きな亀裂を越えて、古代兵器の入口に辿りついた。


「ここが、そうですね。五班は、ここで馬と共に待機。他は、中に入り、探索を行います」

「「はっ!」」

「では、行きましょう」


 私達は、再び古代兵器の中に入っていった。


「では、手分けをしましょう。全員、なるべく地図を作りながら来て下さい。最終的に、ルナさんが作ったものと合わせます」


 リリさんから、最後の指示が降り、私達はそれぞれ分かれて、探索を始めた。


「私達の担当はこっちだね。ガーディを先行させるね」

「うん、お願い。機械人形に匂いがあるか分からないけど」

「そこだけは、賭けだね」


 ガーディを先頭にして、私達は、先に進んで行く。現状、この中でマッピングが出来るのは私だけなので、私が地図を作りながら進んで行く。


「皆さんは、探索慣れをしていらっしゃいますね」


 シルヴィアさんは意外そうにそう言った。


「そうですかね? ここに来てから、色々な場所を探索していますから、そのおかげかもしれません」

「それもあるかもしれないけど、向こうのゲームで学んだって方が正しいんじゃない?」


 シエルの言うとおりかも。ゲームで、色々な探索をする時を参考にしている節は多々ある。


「ゲームですか?」


 シルヴィアさんは、首を傾げる。ゲームという言葉は分かっても、それが探索に繋がらないんだと思う。


「私達の世界には、こういう探索をする事を目的とするゲームがあるんです」

「そうなんですか。面白いものがあるのですね。こちらにもあれば、訓練に使えるかもしれません」


 一体どんな訓練になるんだろう。厳しいものにならないと良いけど。ゲームの輸入は、絶対にやめておこう。


「そこに扉がありますね」


 シルヴィアさんがいち早く、扉を見つけた。ジッと扉を見ている。


「でも、取っ手が見付かりませんね」

「あっ! 重要な事を忘れてました!」

「何でしょうか?」

「ここの扉って、権限のある人じゃないと開かないんですよ……」


 探索するなら、まず、制御室で皆に権限を渡すべきだった。昨日はバンバンと扉を開けていたから、完全に失念していた。


「ルナ様は、権限をお持ちなんですね?」

「はい。私は、制御室で権限を自分に付与しました」


 シルヴィアさんが見つけた扉の横に手を置いて、扉を開ける。私達は、一気に警戒を強めた。


「ガーディは反応してないから、大丈夫だと思うよ」

「では、私から中に入ります」


 シルヴィアさんが剣に手を掛けながら中に入っていった。


「入口周辺は大丈夫です。どうぞ、お入り下さい」


 中に入ると、そこは、沢山の本が並んだ部屋だった。


「早速、ルナ様の目的であった資料室に着いたようですね」

「はい。この中にあるといいんですが」


 目的だった資料室に辿りついた。ここに、古代兵器の扱い方を書いたものがあると良いんだけど。

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