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89.古代兵器の入口!!

改稿しました(2021年12月7日)

 さっきとは別の方向に向かって進んでいくと、また沢山の部屋があった。それらは、今までと同じ居住用の部屋だった。その中には、情報となるものはない。


「あの二部屋に住んでいた人が上の役職の人だったのかな」


 情報になるようなものがあった二部屋は、日記のようなものから、住人が古代兵器に深く関わっている人だという事が予測出来る。それ以外のところに情報が無いのは、主体として動いている人達では無いからなのかもしれない。


「資料室みたいな場所を早く見つけないと……」


 私は、片っ端から部屋を開けて中を確認していく。その途中で、また分岐に差し掛かった。


「ここどれだけ広いの? 早くちゃんとした地図を見つけたいなぁ」


 マッピングを続けているけど、さすがに、ノートの一面だけでは書き切れなくなりそう。


「今回は、曲がっていこう」


 少し迷ったけど、まっすぐ延びる道ではなく、左に曲がる道を歩いて行くことにした。曲がってからは、得に部屋は無かった。


「ここは、ただの通路って事なのかな?」


 制御室と居住区が一帯となった区画と他の区画で分かれているのかもしれない。そう考えれば、この先に資料室があっても不思議ではない。そのまま歩いていると、前から複数の足音がした。その音は、人間のものではない。


「一体だけじゃなかったんだ。まぁ、一体だけって考える方が間違っていたのかもだけど」


 私は、黒闇天を前に向ける。どうせ戦う事になるのなら、先制攻撃をする方がいい。


「銃技『精密射撃』『複数射撃』」


 まだ視認出来ていないから、命中させることが出来るか分からなかったけど、きちんと当たったようで、崩れ落ちる機械人形の音が聞こえてきた。それと同時に、歩く音が走る音に変化する。


「銃技『複数射撃』」


 僅かに見えた機械人形の頭を撃ち抜いていく。撃ち抜かれた機械人形は、どんどん崩れ落ちていく。機械人形の頭に入っている演算装置を壊せば、いくら動力があっても、身体を動かすことなんて出来ない。

 演算装置を失って、動けなくなっている機械人形を放っておいて、そのまま先に進んで行く。


「あっ、今度は十字路か……」


 今まで、T字路ばっかりだったので、十字路となると、どこに行こうか迷ってしまう。


「ここからは、全く知らない場所にしかいかないはずだし、適当に向かおうかな」


 私は、気分的にまっすぐ向かってみることにした。そうして十分程探索していると、機械人形に何度か襲われた。基本的に音で分かるから、先制攻撃出来るけど、一切動いていない機械人形は音を発していないから、逆に先制攻撃を許すことになった。でも、黒影も使ってギリギリで避ける事が出来たので、ダメージを負うことはなかった。シルヴィアさんとの修行で、反射神経を上げる事が出来たのが大きい。


「結局、この道の部屋は空き部屋ばかりだったなぁ」


 まっすぐ進んで行った道の先は、行き止まりだった。そして、その間にあった部屋は、全て空き部屋だった。ただ、その空き部屋の中から、機械人形が現れて来ることもあった。機械人形からの不意打ちも、部屋に入ったら襲われたというかたちがほとんどだ。


「何で急に行き止まりなんて……」


 私は、目の前にある壁をジッと見つめる。


「何か、違和感があるなぁ」


 ただの壁でしかないように見えるけど、何か変な感じがする。ただの直感だけど。私は、目の前の壁をペタペタと触っていった。すると、ある一箇所を触った瞬間、目の前の壁が動き出した。真ん中から割れて、その先の空間をさらけ出した。


「これは……転移ポータル?」


 目の前にあるのは、いつもの噴水広場にあるようなポータルだった。その下には、半径一メートルの魔法陣が敷かれている。


「……虎穴に入らずんば虎子を得ず!」


 私は、覚悟を決めて、ポータルに飛び込んだ。


 ────────────────────────


 白く染まった視界が晴れてきた。転移してきた先は、古代兵器の中と変わらず、薄暗い場所だった。


「ここも古代兵器の中? いや、壁が岩とかになってる。古代兵器の中というよりは、どこかの隠し部屋の中って感じ」


 見回してみると、一箇所だけ光が差し込んでいるのが見えた。


「外に繋がっているのかな? う~ん、手で掘るのは無理そう」


 私はリボルバーを取り出して、爆破弾を装填する。そして、少し離れた位置から、光差す壁に向けて撃ち込んだ。爆音と衝撃が、部屋の中に響き渡る。


「耳が痛い……」


 撃ち出した後に、すぐ耳を塞いだのだけど間に合わなかったようで、耳がキーンとしている。


「でも、外に繋がってた。これが入口って考えていいかも」


 部屋の中から出ると、上り階段がそこにあった。上った先にあったのは、見渡す限りの草原だった。


「アルカディアかな? 見た感じあの亀裂の近くに思えるけど」

「ルナちゃん!?」


 声の聞こえた方を見ると、ソル達がこっちに来ていた。


「ソル、シエル、メレ。じゃあ、やっぱりアルカディアってことだね」

「どうして、ここにいるの? あの亀裂の下に行っていたんじゃないの?」

「ここの下が、転移する場所になっていて、古代兵器と繋がっているんだ。あっ! ハープーンガンを忘れてきちゃった! 取ってくるから、亀裂のところで待ち合わせしよう!」

「う、うん。分かった」


 私は、元来た道を戻って、ハープーンガンを取りに戻った。途中に機械人形と戦う事はなかった。私が倒した機械人形もそのまま残っている。


「復活しないって事で良いのかな。回収も面倒くさいからいいや」


 自分で作った地図もあるから、問題なく戻ってくる事が出来た。


「あったあった」


 ハープーンガンを使って地上に戻る。すると、ソル達も既に戻ってきていた。


「ただいま」

「おかえり。それじゃあ、ルナが探索した結果と私達が探索した結果を話し合おう」

「そうだね。落ち着いて話せる場所に移動しよう」


 私達は、移動集落に移動してから王都に転移した。そして、何故か個室が用意されているカフェの中に入った。このカフェは、シルヴィアさんと一緒に観光しているときに教えてもらった場所だ。


「じゃあ、私から喋るね。まず、あそこだけど、古代兵器の中で間違いないみたい。名称は分からないけど、機能は地形操作。それだけなら良いんだけど、副次的効果で、命を奪うって効果もあるらしいの」

「命を奪う!?」


 これには、皆も驚いていた。命を奪うなんて聞かされたら、誰でも一緒だと思う。


「うん。地形操作で山を消した結果、周囲の命を奪っているって状態みたい。継続して動いているって感じは無かったんだけど、今も奪っていると考えれば、荒れ果てた大地になっているのにも納得出来ると思う」

「止めることは出来なかったんですか?」

「うん。草原言語だけだったら、大丈夫なんだけど、操作段階に移ったら、天界言語が流れてきちゃって、操作出来なかったんだ」

「また、天界言語?」

「作っている人が天界言語を使っていたから、あれが作られた時代は、天界言語を使える人が多かったのかもしれないよ」


 何か重要な事が関わると、いつも天界言語が関わってくる。こんなに使われているところがある言語が、誰も覚えていないということが、少し不思議に思えた。でも、


「後、これが、中の地図ね。まだ、途中までしか出来ていないけど、かなり広い場所だよ」


 私は、マッピングしたノートを皆に見せる。


「中にモンスターはいなかったの?」

「いたよ。私達の身長くらいの機械人形だった」

「じゃあ、探索中に警戒する必要はあるってことだね」

「でも、気配感知に引っかからないから、音とかで判断するしかないんだ。そこだけは気を付けて」


 皆が顔を顰める。気配感知という便利なスキルを手に入れてしまったために、それに反応しない敵というのは、厄介な相手極まりないんだ。


「そっちは、どうだった?」


 今度は、ソル達の方の成果を聞く。


「念のため亀裂があった場所よりも奥に行ってみたんだ。奥に行けば行く程、何も無くなっていっていたよ」

「ルナの話を聞いて納得したけど、あれが命を奪った結果ということだよね」


 多分だけど、ソル達が行った場所は山の跡地の中央ら辺なんだと思う。一番最初に地形操作の影響を受けたから、命が奪われ尽くしていたんだ。


「それで、そのまま少し進んで行ったら、ルナちゃんと遭遇したってわけ」

「じゃあ、あの亀裂の向こうに転移ポータルがあるってことだね?」

「はい。プティさんに乗っていったので、少し離れた場所になると思いますが」


 古代兵器の入口は、思っていたよりも亀裂から離れた場所にあるみたい。


「今度からは、そこに皆で行って探索しよう。あの施設にあるかもしれない資料室に行きたいんだよね」

「操作の仕方を知るために?」

「うん。研究もしていたみたいだから、その成果を置く場所があるはず」

「じゃあ、明日は、私達も中に入っての探索って事だね」


 明日は、全員で中に入って探索を進めることになった。これなら、戦乙女騎士団が来る前に、解決することが出来るかもしれない。

 その後、少し談笑してから、解散した。私はそのままの足で王城に行き、メアリーさんと国王様に、この事を報告した。アポを取っていないにもかかわらず、すんなりと謁見することが出来た。国王様からの依頼だったって事もあるかもしれない。


「ふむ、その調子で調べてくれるかのう。こっちでも、急いで戦乙女騎士団を派遣出来るようにしよう」

「ありがとうございます。それと、メアリーさんには、これを渡しておきます」


 私は、ベッドに挟まっていた紙束をメアリーさんに渡す。


「これは……天界言語だね」

「はい。あの古代兵器には、天界言語が関わっているようなので、少しでも解読の手助けになってくれればと」

「ごめんね。まだ、全然解読が出来なくて」

「いえ、未知の言語を一から解読しようとしているのですから、難しいのは当たり前です。それを責めるなんて事しませんよ」

「ありがとう」


 今日は、報告だけで終わり、王城を出た。そのままログアウトしても良かったんだけど、ちょっと気になる事があるので、リリさんの家に向かった。

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