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88.古代兵器の中で情報収集!!

改稿しました(2021年12月6日)

 ソル達と完全に別行動になった私は、古代兵器と思われる施設の中を捜索していた。今は、さっき通って来た道を引き返しているところだ。


「さてと、まずは、この扉の中から見てみようかな」


 私は開かなかった扉の一つの前に来た。あの広い部屋から一番近い部屋だ。最初に見つけた扉の時に見つけた開閉ボタンのような場所に手を当てる。すると、最初の時と同じように、手のひらを読み込んだ。そして、今度は赤ではなく青に光り、鍵が外れた。


「やった!」


 私は、黒闇天を手に警戒しながら中に入る。さっきのような機械人形がいる可能性があると思っての行動だったけど、杞憂に終わった。だけど、警戒を緩めることはしない。


「ここは……職員の部屋かな」


 中にあったのは、机と椅子、ベッド、棚などの私生活をするためのものばかりだった。人が住むための部屋だったのか結構狭い。ただ、一つ通常の部屋と違うのは、沢山の書類が散乱している事だった。それらは、机の上だけでなく床にも散らばっている。


「慌てて逃げ出した?」


 床に散らばっている紙の何カ所かに足跡のようなものが付いていた。それは、私が入ってきた扉の方に向かっている。


「何が書かれているんだろう?」


 床に落ちた紙の一枚を拾い上げて、読んでみる。


「草原言語……これなら読める」


 私が拾い上げたものは、日記のようだった。


『×月○日

 今日の実験は失敗だ。このままじゃ、地形操作なんて夢のまた夢だ。これが出来なければ、組織に殺されてしまう。何か、何か、いい考えはないものか。


 ×月×日

 ようやく少し操作することが出来た。だが、代償として、周りの命を奪ってしまった。ここら辺は、美しい緑に覆われていたのだが、少しずつ枯れ始めている。引きこもっていて気が付かなかったが、他の職員によると、この土地に移動集落が出来ているようだ。我々の研究の影響を受けなければいいが


 ×月△日

 また、失敗だ。今度は、命を奪いすぎた。不毛の大地が広がってしまった。まだ、山の上だから大丈夫だと思うが、平原まで広がるとまずい。システムの細かい調整はかなり難しい。いや、調整の問題では無いのかもしれない。部品の組み合わせなども見直す必要がありそうだ』


 拾い上げた紙には、そこまでしか書かれていなかった。日付自体も飛ばし飛ばしになっている。気が向いたときに書いているのかもしれない。


「続きを読めば、もっと詳しく分かるかも。でも、地形操作の古代兵器か……何が目的だったんだろう? それに、組織? このテクノロジーから考えて、ディストピアが関係しているはずだけど、まだ確証はないかな」


 私は、床に散らばっている紙を拾い上げていき、続きの日記を探す。床に散らばっている紙は、ほとんどが何かを書き殴ったものだった。字が汚くて、よく読めない。


「これは……研究のアイデア? 思いついたことのメモかな」


 途切れ途切れに読んで、研究のアイデアなのではと判断する。


「えっと……あった。これだ」


 私は、ようやく続きの日記を発見した。


『○月×日

 やはり、どうやっても周囲の命を奪ってしまう。どうして、このような副次的効果が出てしまうのだろうか。今は、草木の命を奪っている形だが、悪化してしまえば、動物や人の命を奪ってしまいかねない。何か良い方法はないだろうか。


 ○月○日

 職員の一人が、いい部品を作り出してくれた。これが成功すれば、副次的効果を無くすことが出来るはずだ。これだけ大きな装置だ。一つの違いでも大きな変化になる可能性がある。それが、いい方向になることだってあるんだ。大丈夫。大丈夫なはず。


 ○月△日

 多少の改善は出来たはずだ。命を奪う速度は格段に落ちた。だが、無くすまでは出来なかった。何が足りないんだ。いや、何かが余計なのか。早く完成させなければ。こんな危ない状態で渡せるわけがない。あいつらの思惑通りにさせてたまるものか』


 これ以降の日記を探したけど、この先のものはなかった。


「この人が開発に関わっていたのは確実。でも、自分から作ろうとしていたわけじゃなかった? この組織に強制されていた?」


 色々と謎が増えていた。得に、ディストピアに対しての謎が……


「地形操作……でも、なんで命を奪うんだろう? それに、地形操作というわりには、山を平地にするくらいしかしていない。山……山って、プレートがぶつかり合って出来るんだっけ? それと火山みたいに噴火して出来るんだったはず……一定範囲内の時間を戻している? それが、結果的に地形操作になっていた? ……ううん、あまり信憑性がない。もう少し情報を得よう」


 私は、ここで拾ったものをアイテム欄に入れて、もう少し部屋の中を探してみる。机の引き出しや棚などを開けていって、中身を確認した。


「得にめぼしいものはないかな。他に調べていない場所は……ベッドかな?」


 埃を被っているベッドのマットを、慎重に持ち上げて何か挟まっていないかを確認した。


「ん? 何だろうこれ?」


 何もないだろうと思いつつ見てみたけど、何かの紙束が挟まっていた。


「これは……うげっ、読めない……」


 こっちは字が汚いというわけではなく、文字そのものが読めない。


「もしかして、天界言語? 何か見た事ある文字は……あった。やっぱり、天界言語だ。昔の人は、誰でも天界言語を扱えたのかな? いや、古代兵器に関わっている人だけかな? これも後々に調べておきたいなぁ」


 私は、最後に手に入れた紙束もアイテム欄に入れて、次の部屋に向かう。それから、最初に見つけた扉の中まで調べたけど、得に情報になるものは無かった。最初に入った部屋の人は、この古代兵器開発の主任みたいな人だったのかもしれない。


「う~ん、あの分かれ道を曲がって探しに行こうかな」


 唯一あった分かれ道に向かって、今度は右側の道に入る。


「ここからは、少し暗くなってるなぁ。電力が回りきってないのかな?」


 暗視の効果で視界自体は困らないが、光があるのと無いのとじゃ雲泥の差がある。


「部屋はあるかな?」


 分かれ道の突き当たりに左右に伸びる通路があった。左側は、多分さっきの制御室に繋がっているはず。そう判断して、私は左側に曲がった。少し歩くと、向こうと同じ場所に部屋が並んでいた。


「ここは……向こうと同じで、人の部屋になってる。ここら辺は居住区なのかな?」


 制御室の近くに居住区があるというのは、意外と理にかなっているのかもしれない。何かが起きたときにすぐに対応出来るし。


「ここも大した情報はない。次の部屋に向かおう」


 そうして、部屋を巡っていき、さっき沢山の情報を見つけた部屋の反対側の部屋に着いた。


「……こっちもこっちで、酷い状態。偉い人は、整理整頓が苦手なのかな」


 こっちの部屋も同じように書類が散乱している。拾い上げると、向こうの部屋よりも丁寧な字で色々と書かれていた。


『この施設は、とても素晴らしいものだ。これがあれば、山脈などを割って道を作れる。そうすれば、街と街を簡単に繋げることもできる。新しい動線が出来れば、新しい街が出来るかもしれない。世界を一変させるものになる』


 短い文章でそう書かれている。でも、次の紙から一変した。


『間違いだった。こんなもの作らなければ良かった。いや、私の意思で作っているつもりだったけど、違った。作らされていたんだ。騙された。何が世界のためだ。世界を崩壊させかねないものじゃないか。巫山戯た組織だ。こうなったら、意地でも安全なものにしてやる』


 強い筆圧で書かれていた。これを書いたときの、この人の感情が分かる。本当に憤っている。


「古代兵器についての情報は書かれてない。他の紙に書いてあるのは……部品の設計図?」


 書かれているのは、何かの部品の設計図だった。でも、そこには大きく×印が付けられていた。恐らくだけど、没アイデアだと思う。


「この中に重要な部品の設計図とかないかな?」


 設計図があったとしても、どこの部品か分からないから、意味が無いかもしれない。だけど、何かに使えるかもという思いから、探してみた。


「ない……持っていかれた?」


 色々な憶測が飛ぶけど、確かな証拠がない。これらの真実を確かめるためにも、この古代兵器の取扱説明書が必要だ。


「別の場所に書類を仕舞っている部屋があると良いんだけど」


 私は、さっきの分かれ道まで戻り、今とは別の方向に向かった。

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