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87.古代兵器の中!!

改稿しました(2021年12月6日)

 古代兵器と思われるものの中に入った私は、すぐに黒闇天を抜く。壁に背中をくっつけて、左右の敵を確認する。目視でも気配感知でも敵は見当たらない。念のため、聞き耳で遠くの音も拾ってみるけど、得に何も聞こえない。


「今のところ、敵はいないかな」


 ハープーンガンをその場にぶら下げておき、私は探索を始めた。天井から淡い光が下りているので、視界にはあまり困らない。降り立った場所は通路のようで、前後に続いている。私は、降りてきた正面に向かって進んでいく事に決めた。取りあえず、敵の索敵は、聞き耳と気配感知だけで行う。視界では、何か情報になりそうなものがないかを探す。


「それと、マッピングもしないと。適当なノートで良いかな」


 ここの地図を作っておかないと、道に迷う可能性があるので、適当なノートに記していく。初めてやるけど、意外とうまく出来ている気がする。


『『地図作成Lv1』を修得しました』


 スキルを修得することが出来た。おかげで、さっきよりもうまく地図を作る事が出来るようになった。


「これなら順調に進む事が出来そう。次に来た時も迷わないだろうし」


 そうやって、地図を作りながら進んでいくと、気になるものを見つけた。


「あっ、これは……扉?」


 かなりSFチックな通路で、扉なども私が知っているものと違う。ここの扉は、取っ手となる部分がない。


「どうやったら開くんだろう?」


 取りあえず、扉の周囲を適当に触ってみる。すると、扉のすぐ横の壁の一部がピカッと光った。


「ん?」


 光ったところに手を置く。すると、光が私の手を読み込んでいった。指先から手のひらまで全て読み込むと、赤く光った。


「エラーみたいな感じかな。この中に入る資格がないんだ。まずは、その資格を得ないといけないみたい」


 必要そうなものは、ノートの隅にメモをしておく。


「それにしても、どのくらい大きいんだろう? 未だに一本道だけだし。細長い建物なのかな? アトランティスと同じくらいに広いと考えたら、すぐに全部を見て回ることは出来なそうだけど」


 かれこれ十分程歩いているけど、中々行き止まりに辿りつかない。途中途中にいくつもの扉があったけど、全部入室することは出来なかった。


「音も気配感知も何にも拾わないし、誰もいないってことで良いのかな?」


 敵がいないことが、逆に私の警戒心を高めていく。それから五分程進むと、T字路に着いた。分かれ道は、正面か右側かだ。


「う~ん、正面を探索してから、戻ってくるのが良いかな。変に方向が変わると分からなくなりそうだし」


 念のため、T字路の壁に黒影で×印を付けておく。硬くて無理かと思ったけど、普通に傷を付ける事が出来た。そのまま真っ直ぐ進んでいくと、大きな扉の前に着いた。


「中心部かな?」


 今までの扉と違い、半開きになっていた。この状態なら、誰でも普通に入れる。慎重に中に入っていく。すると、右側から何かが動く音が聞こえ、同時に剣が突き出されてきた。


「!?」


 即座に黒影を引き抜いて防ぐ。そして、すぐに距離を取った。


「反応はなかったのに……」


 気配感知には、今も反応がない。その理由は、目の前にあった。


「機械人形……」


 アトランティスで、ソルが倒した巨大な機械人形の小型版がそこにいた。機械人形には、気配というものがないみたい。索敵出来ない敵がいるというのは、本当に厄介だね。

 それに、これである事が決まった。今までの街にはない圧倒的なテクノロジー、そして、重要な機関を護るように存在する機械人形。この施設は、古代兵器もしくは、それを内包しているものだ。


「取りあえず、この機械人形を倒さないと」


 機械人形は、こっちを警戒しながら距離を少しずつ詰めてきている。私は、相手の間合いに入る前に、黒闇天の引き金を引く。機械人形は、素早く横に避けると、一気に距離を詰めてきた。再び敵の間合いに入ってしまった。機械人形は、左側から、剣で薙ぎ払いをしてくる。私は、左手に握った黒影で受け流し、機械人形が振り切った姿勢になったところに、フルメタルジャケット弾を撃ち込む。

 あの機動力であれば、それなりに装甲を薄くしているはず。なら、フルメタルジャケット弾でも貫通することは出来る。目論見通り、銃弾は機械人形の身体を突き抜けた。機械人形は、それでも動き続けた。上段や下段、様々な方向から剣が振られてくる。私は、その一つ一つを避けて行く。

 ここで、シルヴィアさんとの修行が功を奏した。敵の攻撃がよく見えるし、その避け方もなんとなく分かる。無駄に動かず、最低限の動きで避ける事が出来た。

 そして、敵に出来た大きな隙を見逃さず、密着する。


「体術『衝波』!」


 機械の身体といっても、内部の細かい機関は衝撃に弱いはず。私の打った掌底は、機械人形の身体を突き抜ける。身体が浮いた機械人形に向かって、今度は、マガジンを入れ替えた黒闇天を向ける。


「銃技『一斉射撃』!」


 エクスプローダー弾を撃ち込む。機械人形の身体で、小さな爆発が連鎖する。


「リロード術『クイック・リロード』」


 マガジンを入れ替えて、フルメタルジャケット弾に変える。そして、機械人形の頭と心臓に一発ずつ撃ち込む。その二つのどっちかに重要機関があると踏んだからだ。両方撃ち抜かれた機械人形は、動きを止めて二度と動く事は無かった。


「弱点は、頭と心臓って事かな。次からは、楽に倒せると良いけど」


 私は、念のため、機械人形に近づいて無理矢理分解してみる。


「うわ……何これ……」


 機械人形の中身はすごいの一言だった。見た目通り、中身も金属で出来ていた。そこは良いんだけど、内臓に当たる部分には、いくつもの動力とみられる機関があった。


「心臓の部分が一番大きいから、これが主導力で……消化器官ら辺にあるのは、予備動力かな」


 私の衝波が当たったから、全て壊れてる。重要な機関が揃っているからか、正面の装甲は他の装甲に比べて分厚かった。頭には、演算装置みたいなものが入っていった。だからか、頭の装甲も分厚い。


「これを貫けたんだ。う~ん、銃弾のおかげか、黒闇天が強化されたからなのか……まぁ、それは置いておいて、この人形は回収しておこう」


 この機械人形をもっと詳しく調べれば、ディストピアの技術力が少しでも分かるかもしれない。目視で確認する限り、他の敵はいないので、探索を再開しても大丈夫なはず。


「さてと、この部屋は、何なんだろう?」


 部屋の中央に向けて進んで行く。部屋の中には、大量のコンソールが置いてあった。それは、アトランティスの制御室に似ている。


「これが……ここの中枢? どうにか操作出来ないのかな?」


 コンソールに触れてみると、電源が点く。そして、触れた私の手のひらを読み込むと、草原言語が流れてきた。


「『管理者権限を付与しますか?』か……う~ん、結局、必要になりそうだから、はい!」


 私は、コンソールにある『はい』の文字を触る。すると、手のひらに、鋭い痛みが走った。


「痛っ!」


 思わず手を引っ込めてしまう。痛みが走った手のひらを見てみるけど、何も変化は無い。


「これで、管理者権限を貰えたのかな……?」


 少し不安になる。私は、もう一度コンソールに手を触れてみる。すると、最初の時と違い、全てのコンソールと目の前にあった大きな画面が点いた。


「これで、全体に干渉出来た?」


 この調子で、自壊するように操作出来ないかと思っていると、流れてくる言語が変わった。


「これ……草原言語じゃない。地底でも海洋でも魔界でもない……まさか、天界!?」


 天界言語だとしたら、誰にも解読することは出来ない。今もメアリーさんが解読出来ないかと四苦八苦している最中だからだ。


「そもそも操作の仕方を知らないから、私には無理か。ミリアみたいな巫女がいれば別なんだろうけど」


 私は操作の仕方を調べるために、この部屋をくまなく調べた。しかし、何も発見することは出来なかった。アトランティスの時にあったような、手記があれば良かったんだけど。


「ここに情報はないね。他の部屋を探さないと、皆にもう少し掛かるって連絡しておこ」


 私はアプデで追加されたフレンドの通信機能で、ソルに連絡を取り、調査にもう少し掛かる旨を話す。


『分かった。じゃあ、こっちはこっちで、上を探索してみる。気を付けてね』

「うん」


 ソルとの通信を切って、部屋の外に出る。


「さて、どこの部屋に情報があるかな」


 私は、この施設の情報を求めて歩き出した。

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