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86.古代兵器発見!?

改稿しました(2021年12月5日)

 移動集落で見つけた古い地図に印されていたチェックマークの場所に向かう道中で、モンスターに襲われる事は無かった。霧の森と違い、ここのモンスターにメレの歌が通用したのが大きい。


「ルナ、そろそろ、そのチェックマークの場所に来た?」


 プティに乗ってまっすぐ前を見ていたシエルが、後ろにいる私に訊いてきた。


「う~ん……確かそうかな。新しい地図に書いてあった地形が、こんな感じだったから」

「何か、一気に荒廃したね」


 ソルの言うとおり、山が合ったと思われる場所に近づいていくと、段々草木が減っていって、今いる場所では、全く生えていない。新しい地図では、緑になっていたはずだけど、荒廃が進んでいる証拠かな。


「ここからは慎重に動こう。メレは、プティの上で歌い続けて」


 メレ以外の私達は、プティから降りて、辺りを見回す。


「得に何の変哲も無い場所じゃない?」

「じゃあ、私の杞憂なのかな?」


 地面を見ても怪しい箇所は見当たらない。態々チェックマークを付けたくらいなんだから、何かしらあっても良いと思うけど……


「ひとまず、進んで行こう。まだ、何も無いと決まったわけじゃないから」


 私達は、ゆっくりとだけど、先に進んで行く。何かおかしい場所がないか、くまなく探すためだ。


「何かあった?」

「今のところはない」

「こっちも見当たらないよ」


 私達は、別々の三方向を見回していた。しかし、何も怪しいものを見つけることはなかった。強いて言えば、この土地そのものが怪しいかな。ここら辺だけ、完全に不毛の土地になっているからだ。この土地に近づくにつれ、草木は減っている。なら、ここの土地に秘密があると考えるのが普通のはず。


「そういえば、他の山の跡地には、マークは付いていなかったの?」

「うん。他にも山の跡はあったけど、マークはこの辺りにだけだったよ」

「じゃあ、やっぱりここが一番怪しいのか……」


 集落で見た地図には、ここだけしかチェックマークが付いていなかった。だから、ここが怪しいと思ったんだけど、ここまで何も無いと、少し不安になってくる。


「ルナちゃん!」


 不安を抱いていると、ソルが叫んだ。すぐにソルのいる方を見る。


「どうしたの?」

「あれ……」


 ソルが指さす方向を見ると、地面に大きな亀裂が走っていた。地面が乾燥してひび割れているというレベルではない。亀裂は、地面の奥深くまで続いていた。


「これが、チェックマークの場所?」

「そうなのかな? お姉さんは、何も無い場所って聞いていたらしいけど」

「この亀裂、すごい深いよ」


 ソルが、そこら辺にあった石を落とす。反響音が来るまでに少し時間が掛かった。でも、この亀裂に底がある事が分かった。


「この感じだと、人一人がギリギリ入るくらいだよね」


 亀裂の大きさは、人が一人入れるくらいの幅だ。とは言っても、一人でギチギチという感じじゃない。私一人なら、身動ぎが出来るくらいは出来る。


「取りあえず、私が、ハープーンガン使って、降りてみるよ。皆は、周りを警戒しておいて」

「気を付けてね」

「うん」


 私は、ハープーンを崖に突き刺して、少しずつ下に降りていく。アトランティスで、塔から飛び降りた経験が少し生きた。落ちていくスピードを極限まで落としつつ、慎重に降りていけるからだ。


「まだ、何も見えないなぁ。どこまで降りれば良いんだろう?」


 大分降りてきたはずだけど、底は何も見えない。このままだと、ハープーンガンの長さが足りるかどうか怪しい。アーニャさんに、少し伸ばしてもらっていて良かった。前までのハープーンガンだったら、絶対に足りない。

 順調に降りていると、上から声が響いてきた。


「ルナちゃ~ん!! だいじょ~ぶ!?」

「大丈夫! まだ、降りられそうだから、降りてみる! そっちは、大丈夫!?」

「異常は無いよ!」

「分かった!」


 取りあえず、ここまで降りて、上も下も何にも起こっていない。近づいたら、何か起こる可能性があったけど、大丈夫みたい。


 十分くらい降りていると、ようやく底に着くことが出来た。


「この地面……金属で出来てる?」


 私が降り立った地面は、金属光沢があった。軽く叩いてみると、見た目通りに金属の音がする。少し響いている感じがするので、中は空洞かもしれない。


「これが、古代兵器?」


 こんなところにある金属の塊なんて、古代兵器以外に考えられ無い。でも、一つ問題が発生した。


「これ、かなりでかいよね。入口は、どこなんだろう?」


 そう。入口がどこにもないのだ。亀裂の中の動ける範囲は、かなり狭い。そして、捜索出来る範囲内に入口はなかった。ただ、所々継ぎ目があるので、破壊は可能だと思う。


「う~ん……破壊するかな」


 入口を探すよりも破壊して中に入る方が早いと判断して、爆弾を精製する。


「威力を上げて、爆風は最小限、範囲は普通で、時間は五分にしよう。後、指向性を持たせるために、上に適当な金属を被せて……」


 爆弾を設置して、すぐにハープーンガンの引き金を引いて上昇する。爆弾が爆破するまでの時間が迫っているので、降りたときよりも速い速度で上がっていく。途中、出っ張った壁などを蹴って加速するのも忘れない。

 予想よりも速く、二分で地上まで上がって来られた。降りたときは、慎重すぎたかもしれない。


「どうだった?」

「古代兵器の天井みたいなの発見した。取りあえず、爆破して開けてみることにしたから」

「え?」


 ソル達の表情が固まる。


「後、二分くらいで爆発するから、少し離れよう」

「う、うん」


 私達は、亀裂から離れていく。


「ねぇ、爆破して大丈夫なの」


 不安そうな顔で、シエルが言う。


「分からない。でも、入口を探す方が無理だったから、これしかないと思ったんだ」

「そんなに広かったの?」

「大きさは、分からない。でも、あそこで動ける範囲では、ずっと同じ天井だったから」

「なら、仕方ないのかな?」


 シエルと話していると、亀裂の中から爆発音が聞こえた。その音に、ソル達は、ビクッと肩を揺らした。


「さて、また降りてみるね。皆は、ここにいて」

「一人で探索するつもりなの?」


 ソルが真剣な顔で、そう訊いてきた。


「一人ずつしか降りれないし、仕方ないよ。私は、ハープーンガンで一気に上ることも出来るから、適任でしょ?」

「それは……そうだけど……」


 今度は、心配そうな顔になる。何があるか分からない場所に、一人を送り出すのは、確かに心苦しいかも。だけど、それが最善策だから、納得してもらわないと。


「大丈夫。そんな無理はしないし」

「約束だよ」

「うん」


 ひとまずソルは納得してくれた。渋々な感じだったけど。


「本当の入口も探せたら探してよ」

「分かってるよ。皆も一緒に入れた方がいいもんね」


 シエルは、心配なんてしていなさそう。メレの方を見ると、両手を握ってファイトっと応援してくれた。今は、沈静の歌を歌っているため、言葉を喋れないからだ。


「じゃあ、またね」


 私は、再び亀裂の中を降下していって、古代兵器と思われるものの近くまで来た。衝撃を下に集中させることに失敗したからか、少しだけ崩れている壁もあった。


「やっぱり、危険だったかな」


 そんな事を言っている内に、金属の天井まで着いた。爆破によって、一部が下に吹き飛んでいる。


「成功はしている。問題は、ここからか」


 私は、深呼吸をしてから、中に入っていった。

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