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84.アルカディアについて(2)!!

改稿しました(2021年12月4日)

 国王様とソル達と共に、メアリーさんの執務室に着いた。中に入ると、いつも勉強しているテーブルの周りに、いつもより多くの椅子が置かれていた。そして、それぞれ席に着く。


「ほれ、座ると良い」


 ソル達は、座っていいものかと躊躇っていたが、国王様に促されて席に着いた。


「まずは、自己紹介から始めるとするかのう。儂の名前は、ウィレム・ファラ・ユートピア。この国の王じゃ」


 最初に国王様が自己紹介した。次にメアリーさんが口を開く。


「私は、第一王女のメアリーゼ・ファラ・ユートピア。よろしくね」

「えっと、ソルです」

「シエルです」

「メレです。よろしくお願いします」


 ソル達は、大層な肩書きを持っていないので、名前だけの自己紹介をした。


「じゃあ、今回、皆を呼んだわけを話すね。まず最初は、アルカディアについてだけど」


 ようやくアルカディアについて知る事が出来る。一体どんなことが隠されているんだろう。


「昔の……本当に昔、私や父上が生まれる前のアルカディアには、草原だけで無く、山々が連なっていたらしいの。あそこに行った皆なら、分かると思うけど、今は、だだっ広い草原でしかなかったでしょ?」

「はい。周りには、何も見えませんでした。ずっと平原が続くだけです」


 初めてアルカディアに着いた時に、ソル達も言っていた。周りに何も見当たらないと。実際、集落を見つけるまで地平線が見えるだけで、何も見えなかった。あそこには、山なんてものは存在しない。


「山が消えた理由は分からないんだけど、私達は、古代兵器が影響していると考えているの」

「この前のアトランティスと同様に、環境そのものに影響する古代兵器がある可能性は高いのじゃ。じゃが、古代兵器の情報は、アルカディアにはない。というよりも、調べる事自体が難しいのじゃ」

「あっ……霧の森……」


 ソルが原因を思いついて、口に出す。それに、国王様が頷いた。


「そうじゃ。あの霧の森を突破出来るものが少なすぎて、まともな調査ができんのじゃ。唯一突破出来る戦力は、戦乙女騎士団ともう一つの騎士団くらいのものじゃが、あやつらは、他の任務などで忙しくしておっての。こういった調査には派遣できんのじゃ」


 確かに、リリさん達戦乙女騎士団なら、あの霧の森も難なく突破しそうではある。でも、リリさん達は、どうやってあんな力を手に入れたんだろう? 少し疑問に思ったけど、答えは出ないので、置いておくことにした。


「そこで、皆にお願いがあるの」


 メアリーさんが本題に入った。


「アルカディアの調査をしてほしいの。その内容は、古代兵器の発見。なければないでいいんだけど、もしかしたらって事があるから、くまなく探して欲しいんだ。分かっている子もいると思うけど、古代兵器は、かなり危険なものだから。それこそ、世界を揺るがすようなね」

「無論報酬も払う。これは、我が国にも関係してくることじゃからのう」


 私自身は、引き受けて良いと思っている。色々お世話にもなっているし、協力したいと心から思っているからだ。でも、ソル達がどう考えるかが分からない。私は横目で、皆のことを見る。すると、皆は、覚悟を決めたような顔になっていた。


「分かりました。引き受けます」


 私は、皆を代表して依頼を引き受けた。


『クエスト『アルカディアに潜むもの』を受注しました』


 新しいクエストが発生した。もしかしたら、『アトランティスの巫女』と同じようなクエストなのかもしれない。つまり、本当に古代兵器がある可能性が高まってきた。


「ありがとう。それじゃあ……」


 メアリーさんは、一度、ソル達を見てから意を決したように、口を開いた。


「古代兵器は、本当に危険なものなの。世界を揺るがすって言ったけど、それに留まらず、世界を滅ぼすようなものまであるから」


 そう言われて、メレの顔が強張る。ソルとシエルは、アトランティスの時に、その危険性について知っているので、あまり驚きはない。


「だから、古代兵器を見つけたら……破壊して欲しいの」


 これには、ソルとシエルも驚いた。


「いいんですか? 古代兵器って遺物だから、貴重なものなんじゃ……」


 ソルが、恐る恐るそう訊いた。確かに、現実で考えれば、遺物は保存の対象になる。すぐに破壊すれば、非難囂々だろう。でも、この世界では、別の話だ。


「メアリーゼも言った通り、古代兵器は、かなり危険なものじゃ。それを放置しておくことはできん。ましてや、一国家が所有してよいものでも無いのじゃ。なら、破壊するのが、一番じゃろう」

「なるほど……」


 これには、ソル、シエル、メレも納得したみたい。

 古代兵器を持っていれば、色々な抑止力になる。それは国王様も考えている事だと思う。でも、それが、これから先も続くとは限らない。代が変わっていき、方針が変われば、古代兵器を悪用する人も出てくる可能性がある。そうなれば、本当に世界が終わることになるかもしれない。

 多分だけど、国王様が、古代兵器を破壊しようと考えているのは、自分の退位後、さらに死後の事まで考えているからだろう。


「期間は無期限じゃ。手が空き次第、戦乙女騎士団も派遣するつもりじゃ。この捜索で、アルカディアの謎を解明する。皆も、そのつもりでおってくれ」


 国王様は、私達を含めた戦乙女騎士団の面々で、アルカディアに潜む謎を解明するつもりみたいだ。


「私達は、先にアルカディアで色々と調べて、後日、戦乙女騎士団と合流すればいいってわけですね?」

「うむ。ルナ達であれば、アルカディアの謎を解けると、儂は思っておる。アトランティスを攻略した者達だからのう」

「あまり、プレッシャーを感じないでね。古代兵器が、本当にあるとは限らないから」

「分かりました。じゃあ、早速向かいます」

「うむ。よろしく頼む」


 私達はメアリーさんの執務室を出て、王城の外に向かう。その途中で、シャルとシルヴィアさんに出会った。


「ルナ!」

「シャル、久しぶり!」


 最近はメアリーさんのところに入り浸っていたので、シャルとは、久しぶりの対面だ。


「どうしたの? 何かあった?」

「色々とね。また、少し忙しくなる感じかな。そっちは?」

「私は、逆に暇になった感じかな。色々な書類も片付いたし」


 シャルの書類仕事は、一段落したみたい。前に来たときも、書類と睨めっこしていたので、ようやく楽になってよかった。


「タイミングが悪いね。私は、今から行かないと行けない場所があるから」

「そうなんだ。じゃあ、そっちが落ち着いたら、一緒にどこか行こうよ」

「うん。いいよ。じゃあ、また今度ね。シルヴィアさんも失礼します」

「はい。また今度」


 私達は、シャル達と別れて、王城の外に出た。王城から離れた場所まで来ると、メレが大きく息を吐いた。


「はぁ~~……すごく緊張しました」

「メレ、一言も喋ってないしね」

「それを言ったら、私も喋ってないけど」


 ソルは、国王様に質問をしている時があったが、シエルとメレは、自己紹介後、黙ったままだった。


「国王様もメアリーさんもシャルもいい人達なのに」

「それで、緊張せずに話せるルナがおかしいんだと思うよ」


 シエルからもおかしい判定を受けた。正直、言い返すことは出来ない。でも、仲良くなったら、緊張なんてしなくなるのは当然だよね。私も最初はそれなりに緊張したし。


「まぁ、そんな事は置いておいて、早速、アルカディアに行ってみよう」

「そうだね。皆の武器の状態とか、大丈夫だよね? メレちゃんの喉も」

「昨日のうちに、プティの修復とか終わらせたから大丈夫だよ」

「私も、アーニャさんに見てもらったから大丈夫」

「喉の調子も大丈夫です。叫ばなければ、歌い続けられます」


 全員、調子バッチリみたい。メレの喉が心配だったけど、歌うことが出来るまで回復して良かった。


「よし! 行こう!」


 私達は、移動集落に転移した。

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