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83.アルカディアについて(1)!!

改稿しました(2021年12月4日)

 メアリーさんの執務室に来ると、何故かシルヴィアさんが一緒にいた。


「シルヴィアさん?」

「ルナ様、こんばんは」

「こんばんは。どうして、メアリーさんの執務室にいらっしゃるんですか?」


 シルヴィアは、普段シャルのところにいるので、メアリーのところにいるのは、意外と珍しい。


「姫様とメアリーゼ様で、共通して関わっている事柄についての報告です」

「へぇ~、そういうのもあるんですね」

「そうですね。分野が正反対なので、あまりないことではあります」

「シャルは行動派。私は理論派だからね」


 本当に珍しい事だったみたい。シャルとメアリーさんで、やっている事が大きく違うから、それも当たり前なのかな。シャルの場合、色々と動き回るもんね。


「では、私は、失礼します」

「うん。ありがとう」


 シルヴィアさんは、メアリーさんの執務室を出て行った。シルヴィアさんを見送ったメアリーさんは、シルヴィアさんにもらった書類を机に置いて、腰を上げた。


「じゃあ、今日も古代言語の勉強を始めようか」

「あっ、その前に、訊きたいことがあるんです」

「訊きたいこと?」

「はい。アルカディアについてご存じですか?」


 私がそう言うと、メアリーさんは、少し驚いた顔をした。


「何故、アルカディアの名前を知ってるの?」

「さっきまで、アルカディアにいたので」

「じゃあ、あの霧の森を抜けたの!?」

「死にそうになりましたけど、皆で協力して抜けましたよ」


 メアリーさんは、本当に驚いていた。そして、すぐに真面目な顔になった。


「今、王国の騎士団が手を焼いている森なのに、少人数で抜けたの?」

「はい」

「異常なまでにモンスターがいるはずだよ?」

「なので、死にかけました」


 メアリーさんは、一つ一つ確認を取るように訊いてくる。


「じゃあ、本当にアルカディアに着いたみたいだね」

「はい」

「…………」


 メアリーさんは、何か考え込んでいる。私には、何を考えているのか分からないけど、多分何か重要な事なんだと思う。


「ルナちゃん達にお願いがあるんだけど、霧の森を抜けたお友達と一緒に、一度ここに来てくれる?」

「は、はい。分かりました」


 ソル達も一緒に来ないといけないみたい。今は、何も言わないって事は、その時に教えてくれるって事のはず。


「じゃあ、古代言語の勉強に移るよ。アルカディアに着いたっていうから、予定変更で、草原言語を勉強するよ。魔界言語よりは簡単だから、少し早く習得出来るはず」

「分かりました」


 私は草原言語を習得するために、勉強を始めた。メアリーさんの言うとおり、魔界言語よりもややこしくないので、さくさくと進めることが出来た。やっぱり、最初に習得した海洋言語は、本当に分かりやすい部類なんだと再認識することも出来た。

 二時間程勉強した後、私はログアウトした。そして、次の日、私は学校で、皆に、メアリーさんから頼まれた事を話した。


「えっ、私達も王城に行くの?」


 大空が目を丸くしてそう言った。いきなり王城に来てって言ったら、驚くのは当然だよね。正直、気楽に行き来している私がおかしい。


「そうだよ。メアリーさんが、皆も一緒に話を聞いて欲しいみたい」

「何なんだろう? 私達が行った平原の話をしたら、そう言ったんでしょ?」

「うん」

「では、草原絡みの事になるんでしょうか?」

「何か問題があるって事?」


 舞歌と日向も、そう言って考え込んでいる。


「そうだと思うよ。集落のお姉さんも困っているって言ってたし」

「どういうこと?」


 私は、昨日、解散した後に集落を回った結果、お姉さんから聞けた話を話した。


「山が消えるなんてあり得るの?」


 日向の疑問は最もだった。私も聞いたときに、混乱したから。


「地殻変動とかなのかな?」


 私は考えられる中で、最も現実的な答えを出してみた。普通に考えたら、これしか答えは出ないし。


「地殻変動で、山が消えるってやばくない? それだと、アトランティスの海面上昇と同じような感じに思えるけど」

「古代兵器って事?」


 確かに、あの世界であれば、ただの地殻変動よりも古代兵器と言われた方が納得できる気がする。


「うん。もしかしたらね。それも含めて、話を聞きに行かないといけないね」

「そうだね。皆、いつ頃なら空いてる?」

「明日は休みだから、一日中空いてるよ」

「私も、部活は無いから大丈夫」

「私も、大丈夫です」


 全員明日が空いているみたい。私も空いているから丁度いい。まぁ、部活も習い事もしていない時点で、いつでも暇ではあるんだけど……


「じゃあ、明日にしようか。今日もメアリーさんのところに行くから、伝えておく」

「ありがとう、さくちゃん」


 学校が終わった後、私は、家に帰って一通りの家事を終わらせる。その後に、ユートピア・ワールドにログインして、シルヴィアさんとの修行を行った。多少強くなっていると思っていたんだけど、この日も気絶している事の方が多かった。

 シルヴィアさんとの修行が終わった後、メアリーさんの元に向かって、明日話を聞きに来るという話をした。メアリーさんからも許可をもらったので、翌日、メアリーさんの元を尋ねることになる。


 ────────────────────────


 当日、王都の噴水広場でお昼に集まった私達は、王城を目指して歩き始めた。


「王城か……」


 ソルの口から小さく零れる。


「緊張する?」

「さすがに、緊張するよ。王様がいる場所だもん。ルナちゃんは、いつもお姫様とかと話しているから慣れているのかもだけど、私達は、そんな事ないんだから」


 普通の人は、やっぱりそうなるよね。見てみると、ソル以外の二人も緊張しているのが分かった。

 そんな風に話している間に、王城の前まで着いた。私以外の三人が、さらに緊張していった。


「こんにちは」


 門番の人に挨拶をする。


「おや、ルナ殿。今日も勉強会ですか?」

「いえ、別件で、メアリーさんに呼ばれているんです。後ろの皆も同じくメアリーさんに呼ばれています」

「それはそれは、では、毎度申し訳ありませんが持ち物確認をさせて頂きます」

「はい。お願いします」


 女性の門番さんが、私達の身体検査を簡単に行う。ソルの刀は、前もってアイテム欄に入れていたので、引っかかる事はなかった。全員問題なく王城内に入れた。


「ルナちゃん、門番さんと顔馴染みなの?」

「そりゃ、何度も通っているからね」

「間違いなく、このゲームの中で、一番人脈に恵まれているのは、ルナだよね」

「確かに、ゲーム内でルナさんに勝てる人脈を持つ人はいないでしょうね。王族との繋がりなんて、普通には手に入れられないですし」


 シエルやメレの言うとおり、人脈に関しては、王族の三人の他にも、アーニャさんやリリさん、ミリア、シズクさん、アキラさんといっぱいある気がする。まぁ、NPCの人達との人脈だけど。


「このままメアリーさんのところまで直行するから、遅れないでついてきてね」


 王城という名前だけあって、中の構造は、少し複雑な部分がある。なので、私から離れると迷子になる可能性が高い。私も、何度か迷いかけた。その度に、メイドさんや執事さん、官僚の人達に案内して貰った。


「むっ、ルナか。久しぶりじゃのう」

「国王様、お久しぶりです」


 メアリーさんの元に向かう前に、国王様と鉢合わせた。最近会う機会がなかったから、本当に久しぶりだ。


「今日は、メアリーのところに行くのじゃろう?」

「はい。ご存じだったのですか?」

「儂も、その話し合いに参加するからのう」


 後ろで三人が、さらに緊張するのが分かった。


「そうなんですか? 国王様も話に参加するということは、かなり重要な話ということですか?」

「うむ。緊急性はないのじゃが、なるべくなら早く解決しておきたいものじゃ」


 国王様まで、こんな事を言うなんて、本当に重要なことみたい。

 アルカディアに、どんな謎が隠されてるんだろうか。緊張もするけど、少し楽しみに思っている自分がいる。少しでもこのゲームの秘密が分かると良いな。

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