表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ユートピア・ワールド~幻想的な世界で、私は、私の理想を貫く!~  作者: 月輪林檎
第7章 アヴァロン

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

224/253

222.鮫と鯨!!

 南に向かって移動している途中、甲板で丸くなっていたネロをジッと見ていると、耳と尻尾がピクッと揺れた。


「敵?」

「にゃ。二体がまっすぐ向かってくるにゃ。この前の鰺よりもずっとでかいにゃ」

「鮪だったら、嬉しいんだけど」

「解体出来るの?」


 私のぼやきを聞いたシエルが、そんな事を訊いてくる。


「解体術あるし、いける!」

「そう。ところで、鮪の背びれって、あんな感じ?」


 そう言われて、モンスターが向かってくる方向を見てみると、立派な背びれが水面を割っていた。そして、背びれの向こうに、小さく尾びれも見えている。名前は、スターヴ・シャークという。


「サメだ! ……美味しいの?」

「フカヒレしか聞いた事ないけど」

「まぁ、いいや。シエルとミザリーはバリスタで攻撃して!」


 シエルとミザリーがバリスタで向かってくるスターヴ・シャークを攻撃する。極太の矢が、スターヴ・シャーク一匹の鼻先手前に落ちる。さすがに、スキル無しだといきなり当てる事は難しいみたいだ。私は、ミザリーがいるという事で、天照を取りだして、スターヴ・シャークの一体の身体を撃ち抜く。スターヴ・シャークの身体が千切れた。

 その血の匂いに反応したのか、もう一体のスターヴ・シャークの動きが乱れる。そこに、シエルとミザリーが撃ち出した極太の矢が身体に二本刺さり、水面に浮かぶ。


「……取りあえず、回収だけしよう」


 素材になるかもしれないので、忘れずにハープーンガンで回収だけしておく。


「食べないにゃ?」


 引き寄せられるスターヴ・シャークを見ながら、ネロが訊いてくる。


「調理の仕方が分からないからね。さすがに、サメ料理はやった事がないから。それに、時間を置くとアンモニア臭が凄いとも聞くし」

「あんもにあ?」


 ネロは首を傾げながら聞き返してきた。


「うん。まだ習ってない?」

「どこかで聞いた気はするにゃ。多分、ちょっとだけやったにゃ」

「まぁ、小学生範囲の化学だと、あまり詳しくはやらないよね。簡単に言えば、臭い物質の事だよ。鼻の奥にツンと来る匂いで、直接は嗅がない方が良いものかな。もしかしたら、日常の中で嗅いだ事があるかもしれないね」

「にゃ……聞く限り、嗅ぎたくないにゃ」

「だよね。取りあえず、厨房で解体だけしちゃうから、しばらく近寄らないようにね」

「にゃ」


 死んだ直後だし、匂う事はないと思うけど、念のためネロに忠告だけして厨房で解体する。いつもはアキラさんから教わりながら解体していたから、無駄なく解体出来ていたけど、スキルの感覚だけで解体すると、ちょっと雑になってしまった。若干のコツは掴んだので、次からは活かしたい。

 甲板に上がると、皆が大騒ぎだった。


「どうしたの?」


 ちょうど近くに来たシエルに訊く。


「ルナ! 丁度良かった。鯨が迫って来てるの。明確な敵意があるみたい」

「シエルとミザリーは、バリスタで撃ち続けて! ネロ! 大砲の弾を持ってきて! メレは聖歌をお願い! ソルは、いざという時、鳴神を使って! 敵が近くに来たら、シエルもムートを使って!」


 全員に指示を出して、私は大砲の準備をする。砲弾を詰めて、その後ろの火薬を置き、蓋を閉める。そして大砲の上部に付いている点火機構に紐を付ける。それと同時に、ネロがこっちに来たので、手振りで耳を塞ぐように指示する。それを見たネロはすぐに手で耳を塞いだ。何故か目も一緒に瞑っている。可愛い。

 鯨はこっちに迫ってきている。フロシャス・ホエールという名前のそのモンスターは、既にバリスタによる攻撃を十発ほど受けているにも関わらず、まっすぐ向かってきている。私は、大砲の照準をフロシャス・ホエールに合わせて、少し離れてから紐を引く。今まで撃ったどんな銃よりもお腹に響く音がなり、フロシャス・ホエールの頭を大きく削った。


「ネロ!」

「にゃ!」


 ネロが渡してくれる弾と火薬を再び詰めて、もう一度撃つ。再び頭を大きく削られたフロシャス・ホエールは、そのまま沈み始める。多分、その内浮かんでくるけど、ここで解体するのは、難しいので諦める。


「このまま進んで良いよ」

「分かった」


 再び南に向かって進み始めるのと同時に、ネロが大砲を色々な角度から見ていた。どうやら興味津々のようだ。


「ちょっと撃ってみる?」

「良いのにゃ?」


 ネロはキラキラした目で私を見ていた。そんなネロの頭を優しく撫でてあげる。


「うん。良いよ。でも、さっきみたいに、大きな音がするから、ちゃんと耳を塞いでおくようにね?」

「にゃ!」


 ネロは、嬉しそうに私に抱きついてきた。抱きしめ返してあげてから、大砲の使い方を説明する。砲術を手に入れたからか、大砲の使い方は理解していた。

 私達の現状のスキルは、こんな感じだ。


────────────────────────


 ルナ[暗殺者]:『銃術Lv118(ユ)』『短銃術Lv85(ユ)』『長銃術Lv58(ユ)』『狙撃銃術Lv30』『散弾銃術Lv19』『砲術Lv3』『銃弾精製Lv134(ユ)』『爆破物精製Lv70(ユ)』『リロード術Lv122(ユ)』『体術Lv91』『短剣術Lv76』『捕縄術Lv11』『舞踏術Lv38』『投擲Lv62』『暗視Lv98』『潜伏Lv100』『気配遮断Lv86』『消音Lv93』『消臭Lv80』『隠蔽Lv30』『聞き耳Lv98』『速度上昇Lv98』『防御上昇Lv99』『器用さ上昇Lv93』『防御術Lv100』『回避術Lv112』『軽業Lv108』『急所攻撃Lv99』『防御貫通Lv80』『超集中Lv80』『騎乗Lv76』『見切りLv64』『気配感知Lv103』『弱点察知Lv74』『潜水Lv37』『泳ぎLv40』『登山Lv74』『痛覚耐性Lv120』『気絶耐性Lv57』『環境適応Lv59』『言語学LV105』『地図作成Lv15』『   』


 EXスキル:『解体術Lv78』『採掘Lv30』『古代言語学(海洋言語)Lv45』『古代言語学(地底言語)Lv49』『古代言語(魔界言語)Lv26』『古代言語(草原言語)Lv28』『古代言語(黄金言語)Lv24』『古代言語(氷海言語)Lv13』『精神統一Lv90』『クイックチェンジLv36』『暗殺術Lv30』『狙撃術Lv17』


 職業控え:[冒険者][狩人]


 ソル[侍]:『刀術LV138(ユ)』『抜刀術Lv117(ユ)』『体術Lv68』『受け流しLv80』『防御術Lv88』『回避術Lv109』『軽業Lv99』『暗視Lv99』『聞き耳Lv90』『攻撃上昇Lv93』『速度上昇Lv108』『器用さ上昇Lv88』『急所攻撃Lv66』『防御貫通Lv64』『集中Lv96』『見切りLv92』『気配感知Lv98』『弱点察知Lv89』『疲労耐性Lv89』『痛覚耐性Lv49』『気絶耐性Lv24』『環境適応Lv41』『言語学Lv53』


 EXスキル:『採掘Lv32』


 職業控え:[冒険者][剣士]


 シエル[人形遣い]:『人形術(熊)(狼)(羊)(龍)Lv134(ユ)』『人形合体Lv47(ユ)』『着せ替え人形Lv76(ユ)』『従者強化Lv113』『潜伏Lv84』『暗視Lv79』『聞き耳Lv68』『攻撃上昇Lv59』『速度上昇Lv37』『集中Lv77』『騎乗Lv92』『気配感知Lv86』『疲労耐性Lv33』『環境適応Lv39』『言語学Lv32』

 EXスキル:『採掘Lv18』


 職業控え:[冒険者]


 メレ[歌姫]:『歌姫Lv124(ユ)』『聖歌Lv58(ユ)』『歌唱Lv100』『声量増強Lv50』『効果範囲拡張Lv97』『潜伏Lv28』『暗視Lv50』『速度上昇Lv35』『集中Lv50』『潜水Lv6』『泳ぎLv6』『疲労耐性Lv27』『環境適応Lv62』『言語学Lv20』


 EXスキル:『採掘Lv10』


 職業控え:[冒険者]


 ネロ[獣人]:『猫Lv124(ユ)』『虎Lv63(ユ)』『白虎Lv48(ユ)』『暗視Lv93』『潜伏Lv80』『気配遮断Lv64』『消音Lv39』『消臭Lv54』『聞き耳Lv108』『攻撃上昇Lv75』『速度上昇Lv100』『防御上昇Lv80』『防御術Lv88』『回避術Lv98』『軽業Lv100』『急所攻撃Lv83『防御貫通Lv70』『集中Lv88』『見切りL74』『気配感知Lv120』『弱点察知Lv62』『潜水Lv10』『泳ぎLv11』『登山Lv38』『痛覚耐性Lv55』『環境適応Lv39』『言語学Lv33』


 EXスキル:『採掘Lv9』


 職業控え:[冒険者]


 ミザリー[治療師]:『棍術Lv68』『光魔法Lv83』『回復魔法Lv95』「詠唱短縮Lv83」『光属性強化Lv70』『回復量増加Lv90』『暗視Lv70』『潜伏Lv63』『聞き耳Lv63』『魔力上昇Lv90』『速度上昇Lv82』『防御術Lv50』『回避術Lv65』『集中Lv67』『気配感知Lv56』『環境適応Lv56』『言語学Lv30』『地図作成Lv18』


 EXスキル:『並列処理Lv80』『採掘Lv8』


 職業控え:[冒険者]


────────────────────────


 材料集めとかで、戦闘系スキルが少しだけ上がっている。ただ、砲術はユニークスキルなので、他の皆は手に入れられない。なので、大砲の精度が一番良いのは、私という事になる。でも、ただ撃つだけなら、誰でも出来るので、ネロにやって貰っても問題無い。砲弾を詰めて、火薬も詰める。そして、発射のための紐をネロに渡す。


「これを引っ張れば、撃てるよ。多分、ネロの腕力だったら、問題はないと思う」

「にゃ」


 ネロは、片手で紐を握っているからか、上手く耳を塞げないでいた。なので、私が代わりに耳を塞いであげる。すると、ネロがこっちを見て、もう引いて良いか確認してくる。それに対しては、私は頷いて返事をしてあげると、ネロが紐を引いた。

 轟音と共に放たれた砲弾は、海に落ちていく。大砲を撃ったネロは、嬉しさのあまり、私の前でぴょんぴょんと跳ねていた。


「凄いにゃ! お腹ぎゅんとしたにゃ!」

「したね。耳は大丈夫?」

「にゃ! 大丈夫にゃ!」


 興奮冷めやらないネロを落ち着かせるために、取りあえず後ろから抱きしめて、座らせる。


「昔は、こんなの使い続けてたにゃ?」

「今も似たようなものを使ってるけどね。大砲の歴史は、結構長いから」


 ネロの疑問に答えたのは、ちょうど近くにいたミザリーだった。


「そうなのにゃ?」

「私は分からないけど、ミザリーが言うならそうなんじゃないかな。銃の歴史もそこそこ長いわけだし」

「歴史の勉強は、何を覚えたら良いか分からないにゃ」


 ネロのぼやきに、私とミザリーは分かるとばかりに大きく頷いた。実際、私も歴史の授業は退屈って思っちゃうし。テストも基本的に教科書の暗記ばかりだからってのもあるかもしれない。


「まぁ、近代史は知っておいても良いんじゃないかな」

「そうだね。比較的最近の歴史は抑えておいていいと思うよ」

「にゃ~……中学の内容は、難しい内容ばかりで苦戦にゃ……」

「高校になったら、もっと難しい内容ばかりだよ。だから中学の内容をしっかりと覚えて、挑まないといけないよ」


 ミザリーからそんな事を言われて、ネロは口を尖らせた。勉強自体は嫌いじゃないみたいだけど、内容が難しくて理解に時間が掛かるのが嫌みたいだ。


「お母さんの他に教師がいると良いかもね。ネロのお母さんも忙しいだろうから」

「にゃ」

「中学の範囲で良いなら、私が教えようか? 通いは出来るか分からないから、オンラインで教える事になりそうだけど」

「良いのにゃ?」


 ミザリーの提案に、ネロは遠慮がちにそう訊いた。


「うん。夏休みで暇だし、ネロさんのお母さんから許可を得られたらだけどね」


 ミザリーは、色々としっかりしている。勝手に授業をするよりも、きちんと許可を得てやった方がいいに決まってる。


「にゃ。今度訊いてみるにゃ」


 そんなネロの勉強事情を話していると、ネロの耳がピクピクと動く。


「後ろから沢山の敵が来るにゃ。でも、水の中じゃなくて、水面より上から感じるにゃ」

「……海賊か。シエルとミザリーはバリスタで準備! メレは、相手の大砲とかを防いで!」


 私はそう言いつつ、ネロを放して、進行方向後方を見る。そこには、私達の船よりも少し大きい船がいた。


「ソル、上手く立ち回れる?」

「自信はないけど、やるしかないでしょ? 任せて!」


 こういう時のソルは、本当に頼りになる。


「よし! じゃあ、私は海賊船に潜入して、釣り竿を探してくる!」

「あっ、ルナちゃん!」


 ハープーンガンを出して船尾に行こうとすると、ソルから呼び止められた。


「何?」

「服、服。野蛮な人達の中に行くのに、水着は無防備過ぎ! あ、防御力の話じゃないよ? ルナちゃんの肌を見せないでって事!」

「え~……まぁ、この上から着れば良いか」


 パレオを外して、上から夜烏を着る。水着なので、タイツは要らないだろう。


「ネロは、侵入してきた敵の排除をお願いね」

「にゃ! 大砲は使わないにゃ?」

「私も巻き込まれるかもだからね。大丈夫。帰り際に爆弾を爆発させるから」

「ルナちゃんだけは敵に回したくないよね」


 ソルが若干失礼な事を言っている気もするけど、取りあえず、ここは流しておく事にした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ