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ユートピア・ワールド~幻想的な世界で、私は、私の理想を貫く!~  作者: 月輪林檎
第7章 アヴァロン

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221.メレと海水浴!!

 翌日。少し早めにログインした私は、まず最初に船の確認を始めた。私達がいない間に、何かあったら嫌だからね。取りあえず、船底に穴が空いているとか、誰かが侵入しているとかはなかった。

 その後、船長室で次に行く場所を選定しようとしていると、丁度良くメレがログインしてきた。


「ルナさん、おはようございます」

「おはよう」

「目的地を決めていたんですか?」

「うん。手伝ってくれる?」

「勿論です」


 いつも通りメレと一緒に目的地を決めていく。今までは目的地がほとんど決まっている事が多かったから、こういう事はなかったけど、目的地の定まっていない現状だと、こうして意見を聞けるのは有り難い事だった。


「また諸島に行った方が良いかな?」

「ここと同じような場所がある事を確認したいのであれば、その方が良いかと。もしかすると、同じような石碑があるかもしれません」

「それなら、読めるものも残っている可能性があるか。じゃあ、次の目的地は、比較的近くの諸島にしよう。そうなると、このまま南下か」

「着実に南に来ていますね。今のユートピアが夏だとしたら、段々と気温も下がっていくのでしょうか?」

「どうなんだろう? この星の地軸が曲がっていたら、地球と同じようになっている可能性もあるんだろうけど」


 もしかしたら、このままあまり温度が変わらない可能性もある。こればかりは実際に移動して確かめるしかない。


「メレは、寒くなってきたとかある?」

「いえ、快適で過ごせています。この気候ですと、この姿でいても問題なさそうです。誰かに見られているという訳でもありませんし」

「色々な人に見られる仕事をしていたメレが言う?」

「水着でのグラビアはしていませんから」

「そうなんだ。メレの写真集が出たら、絶対に買う」

「あはは……ありがとうございます」


 メレは苦笑いしながらそう言った。友達に買われるのは、恥ずかしいみたいだ。だけど、絶対に買う。メレと知り合う前は知らなかったけど、知ってしまったら、もうファンの一人になってしまった。楽曲も買ったしね。


「そういえば、船の状態は確かめましたか?」

「ここに来て、最初にやったよ。特に問題はなし。本格的な診断はソルに任せるつもり。皆が来るまでは、まだあるし何しようか?」

「何かありますか?」


 ここは船の上で、近くに街があるわけでもないので、特にやれる事はない。


「特にないなぁ。海で泳ぐ?」

「せっかくの水着ですし、いいと思います」

「じゃあ、これ」


 私は、メレにアイテム欄から取り出したゴーグルを渡す。

「浅いところで泳ぐのでは?」

「ううん。せっかくだから、遠くに流されないくらいには深いところに行こうかなって。魔法弾は、海の中でも使えるから、安全面は大丈夫だよ。ほら、行こう」


 メレの手を引っ張って、船から降りていき、海に入っていく。昨日は、腰まで位で止まった今回は頭まで浸かるところまで行く。


「そういえば、メレは泳げる?」

「えっと、一応人並みに」

「じゃあ、すぐにスキルも手に入るかもね」

「そうだと良いんですけど」


 脚の着かない場所まで来ると、メレが少し緊張しているのが分かった。なので、そっと私の傍に引き寄せる。


「大丈夫。何があっても一緒にいるから」

「はい。ありがとうございます」

「それじゃあ行くよ」


 私の合図で、二人一緒に潜る。海の中は、かなり綺麗だった。様々な魚が泳いでおり、空から降り注ぐ陽光が、光り輝いていた。メレを同じように感じたらしく、目を見開いていた。そして、私にその気持ちを共有しようと思ったのか口を開いて、空気を吐き出していた。そこで自分が海の中にいる事を思い出して、大慌てになっていた。そんなメレを抱えて海面に顔を出す。


「ぷはっ……す、すみません」

「ううん。綺麗でびっくりしたよね。私もびっくりした。湖も綺麗だったけど、海も綺麗だなんてね」

「はい。思ったよりも魚が沢山いたのも驚きました。敵対生物ではないというだけで、結構いるものですね」

「確かにね。もう一度潜ってみようか?」

「はい」


 私達は再び海に潜っていった。そして、海底にまだ降りていく。周囲を見回すと、岩に貝が貼り付いているのが見えた。メレに、手振りでそっちに向かう事を伝え、一緒に泳いでいく。

 黒影を取り出し、貝を岩から剥ぎ取り、一度海面に顔を出す。


「見て見て。この貝大きい」

「そうですね。この前の鰺のように、皆で食べられそうです」

「まだ皆も来てないみたいだし、貝を獲っていこうか。はい、これナイフ。気を付けて扱ってね」

「はい」


 メレと一緒に再び潜って、貝を獲っていく。基本的にメレと一メートルも離れないようにしておいた。敵が来た時に、対応出来ないかもしれないからだ。メレと一緒に貝を獲っていき、海面に顔を出すと、大きな声が私達の耳に届いた。


「ああ~!! ルナちゃん達だけ海水浴してズルい!!」


 船の上でソルが怒っていた。別に除け者にしていたわけじゃなくて、皆が来るまでの暇つぶしだったのだけど、ソルからしたら教えてくれもいいじゃんという事みたいだ。


「全く。ソルが拗ねちゃうから、そろそろ戻ろうか」

「そうですね」


 メレに前を行って貰いながら、私達は船へと戻っていく。梯子を使って戻ってくると、ソルは腰に手を当てて頬を膨らませた。


「教えてくれたら、私も早く来たのに!」

「いや、暇つぶしの内容がないから、潜ってただけで、最初から計画していた事じゃないから、教えるとか無理でしょ」

「むぅ……」


 私の言葉に納得出来ない程子供でもないので、それ以上は文句を言わなかったが、私の指を掴むくらいの訴えはしてきた。


「さっき獲った貝を焼いてあげるから」

「……ありがとう」


 ソルは拗ねながらお礼を言った。そんなソルに一回ハグをしてから、下の厨房に行き、桶を獲ってきた。一応厨房の確認をすると、煙は、換気扇のようなものから外に流れる仕組みになっていた。揚げ物の前に、練習出来るのでちょうど良い。これが上手くいったら、今度は鰺フライなどに挑戦したいな。


「まずは下処理。塩水に浸けて塩抜きっと……これ結構時間が掛かるんだよなぁ」


 桶に海水を入れて、貝達を浸けておく。このまま数時間置かないといけないので、すぐに貝を食べる事が出来ない。私がそんな準備をしている間に、他の皆もやって来た。来て早々びしょ濡れの私とメレを見て、シエルがタオルをくれた。


「海のモンスターはどうだった?」

「いや、全く出てこなかった。気配感知でも反応はなかったから、ここの周辺にモンスターはいないみたい」

「そう。じゃあ、ただ海水浴を楽しんでただけか」

「おかげで、貝を拾った。砂抜きとか終わったら、皆で食べられるよ」

「海に来てから食べてしかないじゃん。それなら、海に出ている間に釣りでもしたら?」


 シエルの言葉に、私は目を見開いた。


「それだ! どこかで海賊と出会わないかな。海賊なら釣り竿くらい持ってるよね」

「海賊から略奪しようとしているヤバイ人がいるわ」

「失礼な。奪うのなら奪われるのも覚悟の上でしょ」

「絶対覚悟してないと思う」


 シエルとそんな話をしている間に、ソルが出発の準備を整えていた。既にソルも安全点検を済ませたみたいだ。


「いつでも出発出来るよ!」

「オッケー。今日の目的地は、この諸島の南! ぐるっと回って行く感じだけど、行けそう?」

「任せてよ! もうこの操縦も慣れたから!」

「それじゃあ、出航!」


 次なる目的地に向かって、ソルの操縦で船が動き出した。

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