表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ユートピア・ワールド~幻想的な世界で、私は、私の理想を貫く!~  作者: 月輪林檎
第7章 アヴァロン

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

220/253

218.バカンス気分!!

 甲板の上で海の景色を見ていると、ソルから声を掛けられた。


「あ、ルナちゃん。島が見えてきたよ」


 比較的近いところの島を目的地にしたので、結構早く着きそうだ。私は、船首の方に移動して見えてきた島をよく見てからソルの元に戻る。


「見た感じ、無人島かな。桟橋とかもないから、少し離れた場所に停泊させて」

「了解」


 ソルは上手く船を操作して、無人島の近くまで着けた。そして、錨が降ろされて、船が泊まる。


「これって、これで動かなくなったの?」


 シエルは、自分達が無人島に行っている間に、船が流されないか心配のようだ。確かに、現実でもそこまで船に乗る機会はなかったから、本当に錨だけで停泊したままになるのか心配にはなる。


「うん。大丈夫だよ。今から小舟を降ろすから手伝って」


 ソルはそう言って、船の脇に移動する一緒について行くと、小さなクレーンのようなものに小舟が吊されていた。船長室の隣にあったので、あまり目立っていなかった。


「これって、上に人がいなくても上げられるの?」

「ううん。それは無理。船に戻ってくる時は、先に誰かが梯子で上に上がって、操作する必要があるんだ。その時は、私がやるから安心して」


 この船の事はソルが隅々まで把握してくれている。だから、基本的にソルに質問すれば答えが返ってくる。


「それじゃあ、無人島に行ってみよう」


 私達は小舟に乗り、ソルが操舵でボタンを押してクレーンを下げる。それを確認したソルは、船の上から降りている最中の小舟に飛び乗った。小舟だから、私達五人だけでも、結構狭いのにそこに飛び乗ってくるので、ソルの入る隙間をすぐには空けられない。なので、私が立ち上がって受け止めた。


「ちょっと、危ないでしょ?」

「ルナちゃんなら、受け止めてくれるって分かってたもん。ありがとう」

「はいはい。どういたしまして」


 皆がソルの分の隙間を空けてくれたので、そこにソルを降ろす。クレーンは小舟が海に着いたところで止まった。


「そこのフックを外したら、動かせるよ。この小舟にはエンジンは積んでないから、ネロちゃんとルナちゃんの足元にあるオールで漕いでね」

「にゃ」

「オッケー」


 皆でフックを外し、私とネロでオールを漕いでいく。最初は上手く焦げなかったけど、すぐにコツを掴んで無人島に到着させる事が出来た。小舟は、砂浜に上げておく。


「さてと、何が起こるか分からないし、皆で固まって移動しよう。メレは、いつでも聖歌を歌えるように準備しておいて」

「分かりました」


 私達はまとまって無人島を歩いていく。無人島は、基本的に平原だけで木は所々にしか生えていなかった。


「見た感じ、ただの島って感じだね。やっぱり無人島だから何もないのかな?」


 ミザリーは、周囲を見回しながらそう言った。確かに、本当に何もない。ここにはモンスターもいないみたいだから、平和に歩けていた。


「こういう場所って、どこかしらに宝物が埋まっているっていうのがセオリーだよね」

「何の手掛かりも無しに調べるには、広いよ」

「それはそうだけどさ。夢見たって良いじゃん」


 ソルはそう言いながら、私の腕に抱きついてくる。ソルなりの訴えだ。


「ソルの感じだとやってみたいって言いそうだったから」

「さすがに、そこまでは言わないよ!?」

「いや、ソルなら言いかねない」

「どちらかと言ったら、ルナちゃんでしょ?」

「私は……確かに言いそうかも……」

「ほらぁ!」

「ああ、うるさいうるさい」


 そんな幼馴染みらしい会話をしつつ、進んで行くと、島を一周してしまった。


「全然何もない。ネロは、何か感じた?」

「何も感じないにゃ。この島には、モンスターはいないにゃ」

「さすがに、アガルタにあったような地下があるとも思えないし、船に帰ろうか」

「にゃ」


 小舟を海に戻して、船へと戻る。ソルに言われた通り、クレーンから垂れているフックを小舟に引っかける。それを確認したソルは、何故か梯子を使わず、船の壁を蹴りながら船に上がっていった。そして、そのすぐ後に、小舟が上がっていく。途中まで行くと、ネロ、ミザリー、シエルが船に飛び移った。


「皆、せっかち過ぎでしょ。メレは飛び移れる?」

「えっと、さすがに、もう少し上がってからでないと」

「まぁ、そうだよね」


 私は、メレが飛び移る時にサポートするために、小舟に残っていた。小舟に乗った時は、小舟の方が低い位置にあったので、飛び乗りやすかったが、今は違うのでメレが躊躇うのも仕方ない。

 大体甲板と同じくらいの高さになったところで、メレが飛び移った。一瞬海に落ちるかと思ったけど、ギリギリ大丈夫だった。その後に、私も飛び移る。


「提案!」


 私が飛び移ったところで、ソルがいきなり大声を出した。私達は、皆一斉にソルの方を向く。


「どうしたの?」


 代表して、私が先を促した。すると、ソルは、腰に手を当てて胸を張る。


「せっかくの海の旅なんだし、皆で水着にならない?」

「別に海に入るわけじゃないんだけど」

「海にいるのは変わらないじゃん。日差しも良い感じなのに、全然焼ける感じもしないし、水着でいても問題無いと思うんだ。それに、ルナちゃんの服、暑そうだし」


 ソルはそう言って、ジッと私の事を見る。それにつられたのか、皆も私の事を見てきた。確かに、夜烏と黒羽織は、色が黒という事もあって、かなり暑そうに見えると思う。それこそ、砂漠じゃなくて、こういった海のような場所で見れば尚更だ。


「別に、温度調節があるから、暑くはないけど」

「バカンス気分を味わいたいの!」


 ソルは頬を膨らませながらそう言った。ソルは、海という事もあって、もっと楽しくいきたいみたいだ。正直なところ、これから海のモンスターと戦う可能性もあるので、なるべく万全の態勢でいきたいけど、ソルの気持ちも分からなくはない。

 ちらっと全員の顔を見てみると、明らかに反対している雰囲気は出ていなかった。皆もソルの気持ちを分かっているのかもしれない。


「まぁ、良いか。でも、全員防御力が低くなるってのは、ちゃんと理解しておいてね」


 私がそう言うと、ソルが嬉しそうな笑顔になりながら、私に飛びついてきた。


「ありがとう、ルナちゃん!」

「はいはい。でも、私とソルとシエルは、前に買った水着で良いとして、他の皆はどうするの?」

「それなら大丈夫。メレちゃんは、この前に買ったし、ネロちゃんとミザリーちゃんの分も、ちゃんと揃えておいたから」


 ソルは良い笑顔でそう言った。


「わぁ~、用意周到……まぁ、いいや。それぞれの部屋で着替えて、甲板に集合って事で」


 私がそう言うと、皆が甲板の下に向かっていった。さすがに、全員が甲板からいなくなるのはまずいと考え、皆が戻ってくるまでは、甲板に残る事にした。

 ちょっと時間が掛かるだろうなと思っていると、すぐにネロが戻ってきた。ネロの服装は、変わらずゴスロリ系のままだ。


「ネロ? どうしたの?」

「着方が分からないにゃ」


 ネロは、水着を着た事がないみたいだ。病気がちということなので、それも仕方ない。


「私が着せてあげるよりも、ソルとかのところに行った方が早いと思うよ」

「にゃ。メレのところに行って来るにゃ」

「うん」


 ネロは、もう一度甲板の下に戻っていった。どうすれば良いか分からなくなって、一度私のところに来たって感じだと思う。ネロの中で、まずは私に頼るという風に行動のテンプレが出来ているのかもしれない。年下に頼られるというのは、ちょっと嬉しいものだ。

 それからしばらくすると、ソル、シエル、ミザリーが戻ってくる。ソルとシエルは、アトランティス港の砂浜で着た水着と一緒のものだった。

 ミザリーは、フリルの付いた水色のビキニと少し濃いめの青地に白い花柄のパレオを着ていた。


「あれ? ルナさんは着替えなかったの?」

「ううん。誰かしら甲板にはいた方が良いと思って、待ってただけだよ。私もすぐ着替えてくる。あ、そうそう、水着似合ってるよ」

「あ、うん。ありがとう」


 ミザリーは、少し照れながらそう言った。

 ソルとミザリーが甲板にいてくれるので、その間に私も船長室に入って水着に着替える。何かあってなくすといけないので、私の紋章と戦乙女騎士団の紋章が入ったネックレスとシャルの指輪とシルヴィアさんから貰ったストラップをアイテム欄に仕舞っておいた。そうして準備万端となったところで、私も甲板に出て行った。


「暑……」


 今まで夜烏と黒羽織による温度調節を受けていたため、暑さを感じていなかったが、水着になった事で、その暑さを感じるようになってしまった。これは、水着の欠点かもしれない。


「ルナちゃん、やっぱり似合ってるね」

「ありがとう。そっちもね」


 操舵を握るソルとそう言い合った直後、ぱたぱたと音を立てながら、ネロが駆け寄ってきた。


「着れたにゃ」


 メレに着せて貰ったであろうネロは、私の前でくるくると回って、水着姿を見せて付けている。ネロの水着は、ソルと同じワンピースタイプだけど、腰の部分がソルの水着よりも大胆にも開いている。態々そんなデザインの水着を渡した理由は、ネロの猫尻尾を考慮してのことだろう。ソル的には、ネロにビキニはまだ早いと判断したみたいだ。

 そして、そんなくるくる回っているネロを見て、皆が微笑んでいるという事は、他の皆の前でも同じ事をしていたのかもしれない。

 初めての水着でテンションが上がったのかな。


「可愛いよ。ちゃんと尻尾も出るんだね」

「にゃ。快適にゃ」


 ネロはそう言いながら、私に抱きつく。そんなネロの頭を優しく撫でてあげながら、残る一人を見る。

 メレは、白地のハイネックビキニを着ていた。胸は大きな布で全部覆われており、下もスカートタイプで布面積は大きい。でも、ちゃんと水着の上下が分かれているので、腰が露わになっていた。

 あの時から気になっていたメレの腰を直に見る事が出来た。やっぱり私のものよりも、確実に細い。目で見て分かるくらいのくびれがあり、ほどよい筋肉が載ったお腹は、今にも手が吸い込まれそうな程だった。それを誤魔化すために、ネロの頭をまた撫でる。


「メレも似合ってるよ」

「そんなにお腹を凝視されながら言わないでください」


 メレは恥ずかしそうにお腹を隠しながらそう言った。さすがに、こっちの視線には気付いていたみたいだ。後で触らせて貰えないかと思っていると、背筋が寒くなった。


「!?」


 この暑さでこんな悪寒がするなど、どうなっているのかと思い周囲を見回すが、特に何も変化がない。


(まさか、シルヴィアさんの嫉妬が、ここまで!?)


 やっぱり他の人の腰を見るのは良いけど、触るのは許されないのかもしれない。時を見て触る事にしよう。あの細さの秘密を知って、シルヴィアさんに見せつけたいし。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ