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ユートピア・ワールド~幻想的な世界で、私は、私の理想を貫く!~  作者: 月輪林檎
第7章 アヴァロン

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217.初航海!!

 海に出た私達の船は、どんどんとアトランティス港から離れていった。離れたところで、帆を張る。自動で出来る事だが、人力でも出来るため、最初はやり方を学ぶために自分達でやってみる。


「意外と大変……」


 マストが二つあり、私達が総出で一つのマストを張る必要もあったため、全員ヘトヘトになった。ちなみに、メレが全く戦力にならなかったため、二つ目のマストからは、プティに変わって貰った。そして、その方が遙かに早かった。メレは少しショックを受けていたけど、こればかりは仕方のないことだ。

 帆の準備をして、羅針盤で進路の確認をした後は、ソルも操舵から手を放していた。ある程度でれば、操舵を放していても良いらしい。でも、すぐに握れるように、傍には控えていた。


「前に乗った客船とは違う感じ」

「甲板が何もないからじゃない? あっちは、客室が沢山だったし」

「ああ、なるほどね」


 シエルの言うとおり、向こうには客室が沢山あった。でも、私達の船には、それが下にしかなく見通しが良い。それが、違う感じに思えた理由だろう。


「そういえば、私達の現在位置ってどうやって確認するの?」

「あ、えっと……」


 ソルは、説明書を読む。


「さっきの海図で確認出来るんだって。海図が映ってるテーブルの底面にボタンがあるからそれで確認してみて」

「おぉ……ハイテク?」

「因みに、精度は七十パーセントだって」

「……」


 高いのか低いのか判別が付かず、何も言えなかった。取りあえず、本当に分かるのかを確認するために、船長室に向かう。そして、海図が映っているテーブルの底面を見てみると、本当にボタンがあった。それを押すと、海図に黄色い点が出て来る。それは、アトランティス港から南にあった。


「……合ってるのかな?」

「何がですか?」


 メレが、私の後ろから海図を覗いていた。私が船長室に行ったのを見て、付いてきたみたい。


「ソルの話だと、この黄色い点が私達の現在地らしいんだ。でも、精度が七十パーセントくらいらしくてね。これが本当に合ってるのかなって」

「そうですね。恐らく、現実での航海術は、こっちはでは通用しないと思いますから、これを信じるしかないと思います」

「ああ、物理法則は一緒でも、星座とかも違うしね」

「はい。後、気を付けた方が良いのは水深の深さです。深い方が凶暴なモンスターが住んでいるという事は、なるべく避けて通った方が良いと思うんです」


 メレにそう言われて、私も少し考える。確かに、何がモンスターを刺激するか分からないので、下手に通って出てこられると危ないかもしれない。


「でも、深海魚がいきなり浮上したら、浮き袋とかのせいで身動きが取れないとかないかな?」

「なるほど……その点は失念していました。ただ、一つだけ訂正すると、深海魚は、必ずしも浮き袋を持っている訳ではありません。ルナさんが考えているのは、鯛などだと思いますが、さらに深海に行くと、そもそも浮き袋を持っていなかったり、浮き袋の中に油などが入っていたりします」

「へぇ~、あれ? でも、目玉とかは飛び出すよね?」

「そうですね。あれは、水圧によって体液に溶け込んだ二酸化炭素などが、水温の上昇と水圧の低下によって、飛び出したと聞きます。なので、この世界の深海に住むモンスターも、同じような条件下にいるかもしれません。なので、ルナさんの言う通り、身動きが取れなくなるかもですね。私の杞憂でした」


 メレは少し申し訳なさそうにそう言った。


「全然杞憂でも良いよ。マイルズさんの話でも、深海のモンスターが浮上してくる事はあまりないって捉えられるけど、こういう旅だったら、大胆すぎるよりも慎重な方が良いから。寧ろ、そういう所に気が付いてくれる方が助かるしね」

「ありがとうございます」


 そう言うと、メレは少し嬉しそうに笑った。


「てか、あの時見たリヴァイアサンって、深海魚なのかな?」

「あの凄そうなモンスターですね。どうなんでしょうか。あの巨体で浅瀬と言われると、違和感がありますね」

「ね。動く度に津波が起こりそうだし。それに、戦闘になる確率も上がっちゃうし」

「そうですね。見る分には良いですけど、戦闘にはなりたくないですね」


 ひとしきりメレと笑った後は、少し真剣な話をする。


「今はただ南に向かっているだけだけど、ここからどう行くのが良いかな?」

「そうですね。せっかく自由に動けるわけですから、小さな島々をまわっていくのが良いと思います。恐らく、定期船などが出来ても、こういった場所に行く機会はあまりないと思いますので」

「なるほどね。それじゃあ、今がここにいるから、南東にある島に行く事にしよう」


 私とメレは、ソルに進路変更を頼むため、船長室から出る。すると、扉の前でソル、シエル、ネロ、ミザリーが立っていた。全員慌てた様子だった事から、一つの事が推測出来る。


「覗いてたんなら入れば良いのに」


 私がそう言うと、全員が一斉にぎくりとしていた。


「だって……何か真剣な話をしてたんだもん」


 ソルは頬を膨らましてそう言う。


「別に皆に関係のない事を話してたわけじゃないよ。これからの動きについて話し合ってたんだから。ソル、南東に小さな島に向かうから、進路変更をお願い。停泊出来るような船着き場があるとは思えないから、近づいたところ止まる感じ」

「了解」


 ソルは笑顔で頷いて、操舵を握る。さっきまで頬を膨らましていたのに、相変わらず切り替えが早い事だ。


「島巡りにゃ?」

「うん。メレが、自由に動けるなら、そういうところを巡るのも良いと思うって。私も同意見だから、その方針で行こうと思ってね」

「にゃ。じゃあ、ルナが船長にゃ」

「へ?」


 突然の話に、少し驚いた。そして、周りにいる皆を見たら、こっちを見て頷いた。操舵を握っているソルも同じだ。メレ以外は、さっき覗いていた時に決めた事みたいだ。メレは、それを受けて反対はしなかったというところだろう。


「ルナが指揮する事がほとんどなんだし、ルナが船長で良いでしょ」

「ルナさんなら、的確な判断が出来ると思うしね」

「ルナちゃんならお似合いだよ」


 何がお似合いなのかよく分からないけど、軍服みたいなのを着てるからかな。


「まぁ、全員が同意してくれたなら、引き受けるよ」


 これで、船長室は私の部屋となった。でも、海図とかが置いてあるから、一番人が集まるし、私専用ってわけじゃないけど。

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