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ユートピア・ワールド~幻想的な世界で、私は、私の理想を貫く!~  作者: 月輪林檎
第6章第2部 アガルタ

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214.頼もしい援軍!!

 やってきた援軍は、真後ろから私に突撃してきた。


「うっ!?」

「にゃ。大丈夫にゃ?」

「大丈夫だよ。来てくれてありがとう」

「にゃ」


 ネロともパーティー設定をする。そして、ネロはエラの方を向く。


「あれ? エラとネロは初対面だっけ?」

「違うにゃ。でも、話した事はないにゃ。私はネロにゃ」

「私はエラ。よろしくね。ところで、その猫耳と尻尾は装備?」

「自前にゃ」

「へぇ~、そういうスキルって事か」


 キャラメイクで猫耳などを着けられないことを知っているエラは、すぐにスキルという結論に到った。

 そんな自己紹介の直後に、ジークが私達の元まで下がってくる。そして、ちらっとネロを見た。


「援軍か。有り難いな。さすがに、あの人数を相手取るのは、骨が折れる」

「まぁ、あの人数に今の今まで一人で耐えていた事自体がおかしいけどね。ネロ、力は温存で」

「にゃ」


 ネロの白虎は強力だけど、魔力の消費が激しいので、メレのいない現状では多用しない方が良い。

 この会話の間に、敵集団がこっちに向かってきていたが、氷壁に差し掛かったあたりから、移動速度が落ちているように見える。


「あれもエラの力?」

「そう。といっても、これは副効果だけどね」

「副効果?」


 エラは、こっちウィンクしてから、手をまっすぐ伸ばした。


「『領域に踏み込んだ哀れな者共よ・その罪過を支払い・その身を氷に閉ざせ』」


 エラの詠唱が終わると、先行していた敵集団が、次々に足元から凍っていった。


「な、何だ!?」

「あ、足が!?」

「ひぃぃ……!!」


 氷像が次々に出来上がっていく。その姿を見た敵は、またしても二の足を踏んで、エラの魔法の範囲内に近づけないでいた。


「えぐ……」

「コキュートス。氷系の魔法の中だったら、一番エグい魔法かな。相手の動きを封じて、継続的に体力を削っていくって魔法。ただ、それをさらにエグくしているのが、この杖」


 エラはそう言って、私に杖を見せてくる。その杖は、前まで持っていたものとは違う杖だった。


「イベントの報酬で貰った杖でね。名前はスノードロップって言うの。氷系統の技の威力を倍加するって効力があるんだ」

「へぇ~。可愛い名前」

「現実に花の名前としてあるしね。花言葉は、希望とか慰めとか。ただ、あなたの死を望みますっていう怖い意味もあるみたいだね」

「怖……」


 名前の花言葉とかはともかく、氷系統の技の威力を倍加するって、かなり強力な武器だと思う。ソルが鳴神なんていう馬鹿強い武器を手に入れているから、それほど驚きはない。

 それと私とエラが話している間に、ジークとネロが自己紹介していた。


「どのくらい保つ?」

「後五分くらい」

「それまでは、休憩時間か。ネロ、相手の動きを感知しておいて」

「にゃ」


 ネロは目を瞑って集中する。これで、あっちの動きがよく分かるはずだ。


「街の方から援軍が来るにゃ」

「それって倒した敵?」

「違うにゃ。その他に追加で来るにゃ。恐らく、ずっと待っていた別部隊だと思うにゃ」

「ゾンビアタックで、包囲して本命で叩くつもりだったと。まぁ、それでも、このパーティーなら勝てると思うけど」

「だな。また正面は俺に任せてくれ。エラはいつも通りサポートをしてくれ。ルナとネロは遊撃を頼む。平原のままだったらともかく、今はエラの壁もあるからな」


 ジークにそう言われて、私も気が付いた。エラの氷で私の姿を遮る事が出来る。つまり、私の本領を発揮出来る。


「なら、私も氷結弾で、さらに混乱させようかな」


 私は黒闇天のマガジンを氷結弾に入れ替える。もう片方は須佐之男のままにしておく。


「それじゃあ、あいつらに私を狙った事を後悔させよう」

「にゃ!」

「だね!」

「おう!」


 まずは、エラがさらに氷壁を生み出す。同時に、私とネロ、ジークが駆け出す。ジークは真っ正面に走って、氷壁と氷像の間を抜けてきた敵を聖剣で叩き斬った。ジーク自体が目立つので、敵の視線が集中する。おかげで私達には誰も注目しない。

 その中でもこっちに気が付き掛けた相手は、氷結弾で凍り付かせる。そして逆方向に駆け出したネロも大暴れしているようで、向こうの方で悲鳴が聞こえる。

 敵の氷像やエラの氷壁で、姿を隠しつつ、自分の隠れ場所を増やしたところで、須佐之男を使う。敵の手や脚を狙って撃つ事で、経戦能力を減らす。倒してもゾンビアタックされるのは、もう分かりきっているから、継続した戦闘を出来なくするのが一番だと判断した。敵の呻き声が聞こえるけど、それは無視する。しつこくやって来た罰だ。


「暗殺術『シャドウ・ダイブ』」


 影から影に転移する暗殺術の技。難点は、転移出来る距離が短い事。距離で言えば、一、二メートルくらいだ。でも、相手から姿を隠して、背後を狙うには持って来いの技だった。

 敵の影から敵の影に移動して、背後から足を吹き飛ばす。どんどんと戦闘出来ない敵を増やしていると、私の方に敵の視線が向いてきた。

 敵の一人が、こっちに向かって剣を振り下ろしてくる。


「舞踏術『幻灯の舞』」


 敵の攻撃は、私の幻影を斬り裂き、私の須佐之男が剣を握っている敵の腕を吹き飛ばす。肘から先がなくなったのを見て、敵は顔を青ざめさせていた。

 そして、私の後ろから攻撃しようとする相手を氷結弾で凍らせて、さらに後ろから出て来て相手に合わせて蹴る。


「体術『円月』」


 弧を描いて振われた足は、相手の顎を蹴り抜く。綺麗に気絶した敵の腕を吹き飛ばすのと同時に、次元装填で黒闇天のマガジンを入れ替えて、また敵を凍らせていく。時折、私の背後に氷槍が飛んでくるところから、エラがしっかりとサポートしてくれているのが分かる。それに、ネロもジークも次々に敵を倒している。

 そんな攻防が十分くらい続いていた。それでも、敵の数は減らなかった。私とエラが行動不能に追い込んでいるのになんでだろうと思っていると、腕を吹き飛ばした敵が、目の前で仲間に倒されていた。リスポーンすれば、五体満足で復活するので、戦闘が可能になるという事だ。何というか、相手も引くに引けなくなっているような感じがする。

 ステータスが低下している状態で、突っ込んでくるので、私達はあまり苦労せずに倒せる。もう死んだことがない敵はいないんじゃないかな。

 敵が何でこんな作戦を立てたのか、私も少し察しが付いた。多分、私の弾切れを狙ったんだと思う。私の得物が銃って事は知られているから、ある意味じゃ正しい作戦なのかもしれない。でも、魔法弾以外の銃弾は、比較的簡単に精製出来るので、私のアイテム欄には千以上の数がある。それにシルヴィアさん直伝の体術や黒影などもあるので、実際には、そんなに甘くはない。


「いつになったら終わるにゃ?」

「さぁ? 何だか、私が一回死んでも終わらない気がする」

「もう既に採算が取れない状態だと思うから、それを取り返そうと逆に必死になっているのかも」

「上が引き際を見極められていないみたいだな。恐らく、この作戦を立てたやつは子供だろうな」


 そんな会話が出来るくらいには、余裕な状況だけど、終わらない戦いというのは、さすがに余裕があってもイライラする。そんな状況を変えたのは、私達でも敵でもなかった。

 不意に私達の耳にホイッスルの音が聞こえてくる。


「戦闘を止めて大人しくしなさい!!」


 聞き覚えのある声が聞こえてくる。特に声の指示に従う理由などないはずなのに、私達は敵も味方も一斉に動きを止めた。そして、声の方向を見る。そこには、馬に乗ったリリさんと戦乙女騎士団の皆さんがいた。


「ふぅ……取りあえず、これで終わりだね」

「味方か?」

「うん。でも、戦闘が再開するかもだから、油断はしないで」

「分かった」


 リリさんが来たからって戦闘が必ず終わるとは限らない。でも、状況の打破には、十分なはずだ。


「今すぐ解散するか、牢に繋がれるか選びなさい!」


 牢に繋がれれば、一ヶ月は繋がれたままになる。脱獄も出来るらしいけど、指名手配されてお尋ね者になってしまうみたい。なので、この場では、大人しくしているのが一番なんだけど、引き際を見失っている敵達はそう考えなかったみたい。

 そのままリリさん達に歯向かっていった。


「げっ! そっちに行くか!? 皆! あいつら倒して!」

「にゃ!」

「オッケー!」

「ああ!」


 ステータスが低下した状態で、この国最強の騎士団に勝てるとは思わないけど、人数が人数なので、万が一がある。なので、私達も倒していった。

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