206.南東部探索報告と充電!!
探索を終えた私達は、また噴水広場に集まった。
「何かあった?」
「大量の服くらい。ガーディも怪しい場所は見つけられなかったから、私達が探した場所には、あまり怪しいところはなさそう」
「私達のところも服があったくらいにゃ。怪しい感じはなかったにゃ」
「私のところも同じだから、ここには何も無しか。完全に無駄足っぽいね。残りは、南西か」
順々に巡ってきたアガルタも残すは、南西の大きな建物が並んだ場所のみとなった。そこに何かしらの手掛かりがなければ、お手上げだ。
「それじゃあ、また来週にして今日は解散」
私達はそれぞれログアウトしていく。今日は、ソルとメレもすぐにログアウトした。
そして、夕食と入浴を済ませた私は、久しぶりにスノーフィリアに転移した。今日まで本を調べたりと、やらないといけない事が多かったので、全然シルヴィアさんに会えなかったのだ。久しぶりのシルヴィアさんという事もあって、うきうき気分だった。
スノーフィリアの屋敷に入ると、仕事終わりらしきシャルと会った。
「シャル、久しぶり」
「ルナ。久しぶり。このところ忙しかったの?」
「まぁね。そっちはどう? 進展はあった?」
私がそう訊くと、シャルは首を横に振った。
「全然。結局地下壕の先には何もなし。シルヴィアは、食料庫か避難所だろうって言ってた。一応、まだ他の地下壕も掘り起こしているけど、空振りに終わりそう」
「そうなんだ」
「何もないのも収穫と言えば収穫だし、そこは良いんだけどね。これが終わって、報告書を書き終えたら、王都に戻れると思う」
「結構長かった?」
多分二ヶ月近くスノーフィリアにいたんじゃないかな。最初は降雪量の違いの調査だったけど、最終的に滅びた街の調査までやっていたし、そのくらいの期間になってもおかしくはない。
「そうかも。まぁ、街の様子を長く見る事が出来たから、私としては満足かな。知ってる? スノーフィリアでは、この寒さで食べるアイスが流行ってるんだって」
「ああ、冬にアイスを食べるって感じのやつだね。私の世界でも同じような事をする人は多いよ。炬燵でアイスとか最高だし」
「炬燵?」
「あ、こっちにはないんだ。なんて言えば、良いんだろう。暖かいテーブルみたいな感じかな。テーブルに暖める装置が付いて、布団を被せるやつ……って、説明が難しいや」
炬燵の説明をどうすれば良いのか分からず、ものすごく曖昧な感じになってしまった。それでも、シャルは若干困惑したくらいで、不快に思っているような感じはない。
「まぁ、暖まるためのものって事は分かったよ」
「う~ん……若干悔しい。どうにかして、炬燵が作れれば……」
実物さえあれば、シャルにも良さを分かって貰えると思うけど、この世界にはないみたいなので、ちょっと歯がゆい。
こんな風に話していると、階段からシルヴィアさんが降りてきた。
「お帰りが遅いと思えば、ルナが来ていたのですね」
「あ、シルヴィア。ごめん。立ち話に花が咲き始めて」
「構いませんが、夏になり始めたとはいえ、まだスノーフィリアは寒いですから、暖かい部屋の中に移動していただければとは思います」
「それもそうか。じゃあ、話の続きを部屋でって言いたいところだけど、ちょっと眠いから、私は寝るよ」
「お疲れ様。ゆっくり休んで」
「うん。ありがとう」
シャルはそう言うと、欠伸をしながら部屋へと戻っていった。シャルを見送った後、私はシルヴィアさんに抱きついた。
「久しぶりです。シルヴィアさん」
「そうですね。お久しぶりです、ルナ。その様子だと、ずっと元気にやっていたようですね」
「はい。風邪も引いてないです。それに、色々な事があったので、話したい事がいっぱいです」
「そうでしたか。私も、ルナの話は聞きたいです。では、部屋に参りましょう」
「はい!」
私達は、シルヴィアさんの部屋に向かった。そこで、アガルタの事や何故来られなかったのかを沢山話した。基本的に一方的に話す形になったけど、シルヴィアさんは優しく笑いながら聞いてくれた。
もしかしたら、シャルはシルヴィアさんとの時間をくれるために、部屋に戻ったのかもしれない。そう考えたら、シャルにも感謝しないとね。
私の話を聞き終わると、シルヴィアさんも話し始める。
「砂漠の下の都市は、私も聞いた事がありませんね」
「じゃあ、本当に知られていない街なんですね。どうにかして、あの街の真実を突き止めたいです」
「あまり背負いすぎないようにしてください」
「はい。分かってます。メアリーさんやアーニャさん、勿論シルヴィアさんも頼りにしてますから」
私はそう言いながら、シルヴィアさんの膝に頭を乗せる。すると、シルヴィアさんは、私の頭を優しく撫でてくれる。
「そういえば、そろそろ王都に戻れそうなんですよね?」
シャルと話した事を思い出して、シルヴィアさんに訊く。
「そうですね。調査も終わりそうなので、近日中には、王都に戻れるかと思います。約束のデートが出来る日も近いですね」
「やった。色々な場所を回りましょうね! すっごく楽しみです!」
「それは良かったです」
シルヴィアさんとの王都デートが出来る日が近づいた事を知り、思わず喜びが溢れてしまった。シルヴィアさんも同じように喜んでいた。まぁ、あまり表情には出てないけど。
その後、シルヴィアさんとたっぷり話して、ログアウトした。




