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201.屋敷探索報告!!

 二時間程の探索を続けて、私達は屋敷の玄関前に集まった。


「本邸は、本以外何も無し。本に関しては、情報がないか後で調べてみる。他は?」

「別邸も何もなし。家具くらいしか置いてなかったよ」

「庭の方は、石碑と枯れた池を見つけたよ。それと、ネロさんが何かを感じているみたい」


 ミザリーの報告を聞いて、ネロを見る。すると、ネロは頷いた。


「にゃ。庭中から変な感じがするにゃ。それが、別邸にある墓場で一番強かったにゃ。それと、そこで変な音を聞いたにゃ。とても、耳に響く感じだったにゃ」


 ネロの言葉を聞いた瞬間、ソルとメレが顔を見合わせたのを見逃さなかった。


「二人とも心当たりがあるの?」

「あ、えっと……その音の発生源は、私です……」


 メレが怖ず怖ずと手を上げた。音の正体は、まさかのメレだった。


「メレちゃんの攻撃方法を考えている時に、超音波とかで何か出来ないかなって話になったんだ。それで、試しにやってみて貰ったの。多分、その音がネロちゃんに聞こえちゃったんじゃないかな?」

「超音波? えっ、ミザリーは、聞こえなかったって事?」

「うん。私は聞こえなかったよ」

「じゃあ、本当に超音波が出るんだ。凄いね」


 人の喉から超音波が出るとは思わなかったから、素直に褒めると、メレは嬉しそうに笑った。超音波が出る事を褒められて嬉しいというのもどうなんだろうか。


「でも、嫌な音だったにゃ……」

「ご、ごめんなさい!」


 メレがネロに頭を下げる。


「まぁ、使わないなら良いニャ」

「使い道がないので、ご安心ください」

「にゃ」


 超音波が出ない事に安堵しているネロの頭を撫でてあげる。


「良かったね。超音波の使い道か……獣除けと虫除けかな。でも、ネロは超音波が嫌だから、使えないか」

「にゃ」


 正直、超音波には詳しくないから、使い道がほとんど思いつかなかった。


「後は、エコーロケーションとか?」

「ああ、それはもう試したよ。超音波は、メレちゃんにも聞こえないみたいで、超音波を使ってのエコーロケーションは、そもそも無理。普通の声でのエコーロケーションは、練習が必要って感じ」

「耳は人のものなんだ。ネロの耳は猫の耳でもあるし、可聴域が違うんだろうね」

「にゃ」


 軽くネロの耳を触っていると、メレがジッと見ていた。


「触る?」

「あ、いえ……」

「触っても良いにゃ」


 ネロは耳をピクピクと動かして、メレに向ける。メレは、ネロのふわふわの耳に抗えず、触っていた。普通の猫を触った時のように、癒やされているのが分かる。何か悩みがあったみたいだけど、これで癒やされてくれたかな。


「それじゃあ、ミザリーとネロが見つけた石碑を見に行こうか」

「オッケー。付いてきて」


 ミザリーの案内で、石碑のある場所まで向かう。


「これは……地底文字だね。う~ん……長々と書いてあるけど、要約すると、『安らかに眠る』って事だね」

「じゃあ、この石碑もお墓?」

「うん。ペットのお墓って事みたい。代々のペットを埋葬しているらしいよ。ここの屋敷は、ペットを沢山飼っていたみたいだよ」


 墓場と一緒のところにしなかったのは、ここがペット達のお気に入りの場所だったかららしい。この屋敷の持ち主は、良い人だったんだと思う。


「それじゃあ、墓場の方に行こうか。ネロは、どこが変な感じが強いか教えてくれる?」

「にゃ!」


 それから墓場で、ネロが気付いた感覚の正体を確かめようとしたけど、結局よく分からなかった。お墓の一つを掘り起こすかと考えたら、何故か考えを読まれて、ソルから止められた。まぁ、墓暴きは、良くないよね。

 その後に、枯れた池も見に行ったけど、特に何も無かった。つまり、この屋敷には、本以外に情報に繋がるようなものはなかった。

 今日の探索は、ここで終了して、私達は解散した。次の探索は、来週の土曜日だ。


────────────────────────


 その日の夜中。私は、ラメリアさんに頼まれていたスワロー・スネークを二匹狩って、アキラさんのところで解体した。夜中なのに、まだ営業していたのはびっくりしたけど、大量の解体依頼が来たため臨時的にやっているだけだった。解体場を使わせて貰う代わりに、その解体を手伝った。

 こういう時は持ちつ持たれつの関係でいるのが良いからね。

 そして、その翌日は、学校から帰った後、夕飯とお風呂を済ませた後に、約束通りアリスちゃんと遊ぶために、王城に来ていた。このままアリスちゃんの部屋に向かえば良いかと思ったけど、そもそもアリスちゃんの部屋を知らない。適当なところで、メイドさんか執事さんを見つけられたら、良いんだけど。そう思っていると、背後に気配がした。誰だろうと振り返ると、そこには、ミリアがいた。私を見つけて近づいて来ている途中だったみたいだ。急に振り返った私を見て、驚いている。


「びっくりしました。気付いていたんですか?」

「うん。というより、今気付いたって感じだけど。ミリアは、王城に用事?」


 ミリアは、現在アトランティス港の領主になるべく、リリさんの家で勉強に励んでいる。そんなミリアが王城にいたので、私も少し驚いた。


「はい。領主なるべく勉強を。こちらでは、アトランティス港の現状などを教えていただいています」

「ああ、なるほどね。リリさん家での勉強だけじゃ限界が来たって事か。大分、進んできたんだね」

「はい。私が知らなかったアトランティス港の一面も知る事が出来ました。良いことばかりではありませんでしたが、大事な一面だと思っています」

「アトランティス港の一面……」


 私の脳裏に、アトランシア卿との口論が過ぎった。あれも、アトランティス港に植え付けられた負の側面と言うのかもしれない。


「あ、そういえば、ルナさんに伝えておきたいのですが、アトランティス港の住人は、ルナさんの事を敵視していませんので、いつもの格好で歩いても大丈夫ですよ」

「ああ、うん。ありがとう」


 黒ずくめのヤバイやつって思われていないかと心配で、いつも服を着替えていたけど、それを気にしないくても良いと言うのは嬉しい。


「そういえば、リリさんは元気? ここ最近、全然会えてないんだよね」

「えっと……どこかに行っているようで、私も会えていません」

「そうなんだ。まぁ、王国最強の騎士団だし、忙しいんだろうね。色々と話したい事があるのに」

「そうなんですか?」

「うん。ああ、ミリアにも言ってなかったかも。私、シルヴィアさんと付き合うことになったんだ」

「!?」


 ミリアは目を剥いてこっちを見た。そして、すぐに私に詰め寄ってきた。


「ほ……ほ、ほほ……」

「本当だよ」


 ミリアは、百面相をしながら、私に寄りかかってきた。シルヴィアさんのファンだから、色々複雑なんだと思う。アイドルが結婚とかしたらショックを受けるやつだと思う。


「えっと……言わない方が良かったかな?」

「いえ……お友達ですから。ちゃんとお祝いしたいです。おめでとうございます……」


 ミリアは、私の眼を見てお祝いをしてくれた後、また寄りかかって肩に頭を乗せた。私もアイドルとかが好きになっていたら、こんな気持ちになる事があるのかな。いや、舞歌がアイドルに復帰したら、この気持ちを理解出来るようになるかも。舞歌が、誰かと結婚すればだけど……結婚するのかな。想像出来ないや。

 ミリアを抱きしめてあげると、少し肩が跳ねた。ちょっとびっくりさせちゃったかな。ただ、王城の廊下でこんな事をしているから、かなり注目を浴びている。まぁ、私の顔を見て、何故か納得しつつ通り過ぎていく。少しすると、ミリアが身体を離したので、私もミリアを放した。


「すみません」

「気にしないで。気持ちは何となく分かる気がするから」

「え!?」


 ミリアは驚いた顔をした後に、何かに納得したような顔をした。


「どうしたの?」

「いえ、何でもありません。ところで」

「ん?」


 ミリアは、私の背後に視線を向けた。それに釣られて、私は背後を向く。すると、そこには、メイドさんと一緒に走ってくるアリスちゃん姿があった。メイドさんを振り切っていないのは、良いことなのかもだけど、一緒に走ってくるのもどうかと思う。


「今度は、ルナさんのお家に伺わせて貰いますね」

「ああ、うん。来る日とかメイドさんに伝えておいてくれたら、私もいると思う」

「分かりました。事前に手紙を書きます」

「うん。じゃあ、またね」


 ミリアとまた会う約束をして、私は、アリスちゃんの方に向かった。いつもよりも比較的弱めの突撃を受け止めつつ、抱き上げる。

 そして、メイドさんに案内して貰いながら、アリスちゃんの居室へと向かった。そこで、たっぷりと遊び、今日はログアウトした。

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