表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
193/253

191.宝物庫へ!!

 街の西側に着いた私達は、まっすぐ地下水路に入っていった。地下水路の入口から扉までの道のりは、既にマッピング済みなので、迷う事なく進む事が出来る。


「地図を作っておいて正解でしたね」

「本当にね。ルナさんが、ちゃんと地図を繋げてくれたしね」


 この前の探索でバラバラになって探索した地図を事前に繋げておいた。だから、より見やすい地図になっている。扉の前まで着いて、すぐに鍵を取りだした。一つ一つ鍵穴に入れて回らないかどうかを確かめる。すると、二つ鍵が合った。


「よし、回った。ソル押してくれる?」

「うん、分かった」


 取っ手がないので、押し戸だと思い、一番力があるソルに押して貰う事にした。でも、ウンともスンとも言わない。


「プティで押そうか?」

「お願い」


 ソルよりもさらに力があるプティに押して貰ったが、それでもびくともしない。


「引き戸なのかな?」

「それか扉が固まっているとかかな。ずっと使われてなかったみたいだし」

「そうなると、宝物庫も開かない可能性があるんじゃない?」

「確かに。ここが開かない事も分かったし、宮殿の方に行こうか。皆はどうする?」


 宮殿の中には、シャルの指輪を持っている私しか入れない。なので、皆はここで解散でも良いのだ。


「取りあえず、宮殿の外で待ってるよ。どうなったのか気になるし」

「分かった」


 私達は、地下水路を出るために扉から離れる。


「そういえば、あの破損箇所は直ったでしょうか?」

「どうなんだろう? 見に行ってみようか」

「はい」


 メレが気になっているようなので、一応破損箇所に寄ってみる事になった。前にネロが匂いに気が付いた場所まで辿り着いた。でも、ネロが匂いに反応する事は無かった。


「ネロが反応しないって事は、もう直っているのかもね。皆は、ここにいて、まだ壊れていたら凄い匂いだから」

「うん。分かった」


 皆を待たせる訳にもいかないので、全力疾走で壁が壊れていた箇所まで走る。そこまで来ても全く匂いはしない。壁を調べて見ても、破損していた場所はなくなっていた。


「おぉ……どうやって直したんだろう?」


 一旦壊した様子もないので、このまま補修をしたって事だと思う。魔法でも使ったのかな。とにかく壁の確認も終わったので、皆の元まで戻っていく。


「直ってた。もう繋がってないよ」

「それは良かったです。この街の人達の生活に関わってきますから、すぐに取りかかったのですね」

「だろうね。それじゃあ、宮殿に行こう」

「はい」


 メレの心配も取り除けたので、改めて宮殿へと向かう。門番さんに指輪を見せると、すんなりと中に入れてくれた。ちゃんと話を通してくれたみたいだ

 私は、まっすぐ宝物庫へと向かう。


「さてと、四つの鍵で開けてみよう」


 また一つ一つどれがどの鍵なのかを調べて、宝物庫の鍵を開ける。


「よし。後は、ちゃんと開くかどうかだけど」


 地下水路の扉のように固まっていない事を祈って、力を込めて扉を押す。すると、ゆっくりではあるけど、扉が開いていった。ただ、私がギリギリ入れるくらいの幅までしか開かなかった。


「よいっしょっと」


 その隙間を通って、宝物庫の中に入る。こういうときは、平らな身体で良かったと思う。こういうときだけは。


「かなり埃っぽい……取りあえず、天秤、天秤」


 天秤を探して、宝物庫の中を調べて行く。中にあるのは、金貨や銀貨だけでなく、何やら高価そうな箱や剣、槍なども置いてあった。これなら、天秤があってもなんらおかしくない。


「う~ん……天秤……見当たらないな……」


 一応箱の中とかも調べておいたのだけど、どこにも天秤はない。二十分くらい掛けて、宝物庫を隅々まで調べ尽くした。それでも天秤が見付かる事は無かった。てっきりここにあるものと思っていたけど、私の早とちりだったみたい。


「天秤がないのなら、仕方ない。もう一つの気になる部分を調べて見よう」


 宝物庫を調べていると、片隅に下へと下りるハシゴを見つけた。私は、そこを下りていく。下りた先には、通路があって扉があった。それは、地下水路で見つけた扉とそっくりだった。


「やっぱり宝物庫に繋がっていたんだ。でも、全く使われた形跡がないな」


 扉には取っ手が付いているので、こっち側に開く事は確定だ。でも、床にこれを開いた形跡のようなものはない。つまり、そこまで使われた事がないという事だろう。特に開ける理由もないので、そのままにしておく。

 ここに天秤がない事は分かったので、それをソル達と共有すべく宝物庫を出る。当然、宝物庫の扉を閉めて、鍵を掛けるのは忘れない。ここに他のプレイヤー達は入られないとはいえ、開けっぱなしにするのは駄目だ。

 門番さんにお礼を言ってから、ソル達がいるであろう噴水広場に向かった。噴水広場を見回すと、ベンチに皆が集まっているのが見えた。


「お待たせ」

「ルナちゃん、おかえり」


 私が近づいていくと、ベンチに座っているメレとソルが両端に移動して真ん中にスペースを作ったので、有り難く座らせて貰う。


「宝物庫の中を調べたけど、結局天秤はなかったよ」


 私がそう報告すると、皆も少し落胆する。結構面倒くさいダンジョンを回って得られた成果が何もなしってなると、そうなっても仕方ない。


「でも、一つだけ分かった事があるよ。地下水路にある扉は、宝物庫に続いている扉みたい。宝物庫の下に同じ扉があったから」

「それじゃあ、本当に避難路だったんだね。でも、何で開かなかったの?」

「見た感じ、全然使われてないように見えたんだ。だから、もしかしたら、メンテナンスもされてなかったんじゃないかな」

「避難路なのに、メンテナンスも碌にされていないというのは、驚きですね」

「それは同感。でも、宝物庫も少ししか開かなかったし、年月のせいっていうのもあると思うよ」

「まぁ、それはそうだよね。どのくらい前から放置なんだろう? ルナさんは、聞いたことある?」


 ミザリーに訊かれて、聞いた事があったかを思い出す。


「いや、聞いてないかな。でも、ここが一度滅んで、こうしてまた栄えるまでだから、百年単位なんじゃない?」

「そう考えると、宝物庫の扉が開いたのは、運が良かったって事にゃ?」

「そればかりは考えても分からない事だと思うけど。それより、これからどうするの? 目的だった天秤は見付からなかったわけだし、アアルに滞在する必要もないんじゃない? 湖もルナの鬼の力関連の遺跡以外、特に何も無かったわけでしょ?」

「うん。湖には何も無かった。後は、街の南西側と北東側が調べられてないけど、手掛かり無しでしらみつぶしに砂漠を回るのは厳しいし、いっそ南に抜けてみるのも良いかもね」

「それじゃあ、来週は、南に向かうって事だね」


 天秤がここにないとなると、他に調べる場所も思いつかないので、取りあえず川が流れて行っている南側を目指すことにした。


「後は、何か追加の情報がないか、メアリーさんの所に行ってみるよ」

「うん。じゃあ、今日はこれで解散?」

「そうだね。そういえば、皆は、本当にファラオの杖は要らないの?」


 私がそう訊くと、皆は顔を見合わせてから首を横に振った。

 ピラミッドを攻略して手に入れた杖は、光属性の物以外私のアイテム欄に入っている。私達の中で魔法を使うのはミザリーだけなので、正直、誰も要らないのだ。


「なら、私が持ってるね。じゃあ、今日はこれで解散。お疲れ様」


 私達は、ここで解散してログアウトした。私もここでログアウトして、早めの夕飯を食べて、お風呂も済ませてから、またログインして、王都に転移した。メアリーさんに、今日の事を報告するためだ。

 メアリーさんの執務室に向かうと、すぐに中に通された。


「久しぶりね。ここに来たって事は、何か進展があったって事?」

「進展というより、振り出しに戻ったって感じです」

「詳しく聞かせてくれる?」

「はい」


 メアリーさんにアアルと砂漠で分かった事を教える。全部聞いた後、メアリーさんは、難しい顔で唸っていた。


「う~ん……正直、他の情報が全くないのよね。何か情報が入ったら、屋敷に伝令を送るわ」

「分かりました。それと、皆と砂漠の南に行くって話になったんですけど、何があるか知ってますか?」


 ここで聞いちゃうと、先の楽しみがなくなるけど、ちょっと気になったので訊いてみた。すると、メアリーさんは、少し考え込んだ。頭の中で地図を思い出しているんだと思う。


「砂漠の南? 確か、しばらく砂漠が続くはずだけど」

「え?」


 思いもしなかった情報に、少し呆然としてしまった。もう砂漠は終わりだと思っていたけど、しばらく付き合っていく事になりそうだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ