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190.最後のピラミッド!!

 翌日。アアルの噴水広場に集まった私達は、まっすぐピラミッドへと向かった。昨日の内に、次のピラミッドへの道は確認しておいたので、まっすぐ向かう事が出来る。

 ピラミッドの攻略は、ソルの鳴神、ネロの白虎、シエルのムート、私の天照、メレの聖歌を中心にやっていく事になった。まず、ソルとネロで道中の敵を蹴散らしていく。前まではシエルも着せ替え人形を使って、手伝っていたけど、今回は魔力温存でいく。ソルとネロの負担が上がるけど、二人とも難なくやり遂げてくれた。

 そして、ボス部屋まで来たら、シエルがムートを起こす。ムートの炎で部屋を埋め尽くしているミイラを焼き払う。その間に、私がファラオの頭を撃ち抜く。一度目の攻撃は、確実に弾かれるので、確実に仕留めるために、ここは技を使った。


「銃技『連続射撃・二連』」


 最初の一発目は弾かれて、後に続いたもう一発でファラオの頭を吹き飛ばす事に成功した。唯一の誤算は、肩に掛かる天照の反動二発分が、思いのほか重く、肩が外れ掛かった事だ。でも、ミザリーがすぐに回復をしてくれたから、問題は無かった。この感じだと、一斉射撃を使ったら、肩が吹き飛ぶんじゃないだろうか。使う時は、少し考えてから使うようにしよう。

 ファラオを倒せば、ミイラの出現も止まるので、後はムートが蹂躙してくれる。それが終わったら、後はネロの感覚を頼りに隠し部屋を探し、鍵を手に入れて、攻略終了だ。


「最後は、あの三つが連なっている場所か。あそこも変わらないダンジョンなんだよね?」


 一応、ソルに確認しておく。


「うん。掲示板に書かれていた情報通りだったらね」

「なら、大丈夫かな」


 私達は、最後のダンジョンである三つの連なったピラミッドに向かった。三つのピラミッドは、五メートル程離れて建てられている。


「これまでのダンジョン的に、入口は端っこにあると思うから、それを探すために一度周りをぐるっと回ろう」

「分かった」


 シエルがプティに指示を出す。私は、それに並走して、ピラミッドの周りを回っていく。すると、全部のピラミッドに入口を発見する。


「ソル、どういう事?」

「う~ん……地下で繋がっているって事なのかも。どこから入っても同じボス部屋に着くんじゃないかな?」

「ミイラの掃討に時間が掛かりそう。でも、まぁ、取りあえず、攻略法は変えないでいこう。ミザリーは、地図の製作をお願い」

「うん。分かった」

「それじゃあ、端っこのピラミッドから中に入ろう」


 私達は、端のピラミッドに向かい、いつも通りの方法でピラミッドを上がり、中に入っていった。中に入ってすぐにミイラが出て来るので、予定通りソルとネロが倒して進んで行く。

 その後を続いている私達は、周囲の様子を確認していた。


「見た感じ、他のダンジョンと変わりないように見えるけど」

「単純に大きさが違うとかじゃない? あれ? そういえばさ、砂漠のダンジョンって誰も攻略していないって話じゃなかったっけ?」


 シエルが、そんな事を訊いてくる。


「ソルが掲示板で見た情報だとね」

「ボスの情報もなかったわけだけど、どうやってこの三つのピラミッドが繋がっているって分かったの?」

「…………」


 シエルの言葉に、私とミザリーとメレは、思わず視線を合わせる。


「ルナちゃん!」


 ソルの声が聞こえ、すぐに黒闇天を引き抜き、前を見る。すると、ソルとネロの攻撃から逃れたミイラがこっちに来ていた。ミイラの頭を黒闇天で撃ち抜いて倒していく。

 突然、ソルとネロが対応出来なくなったわけは、通路の横にある分かれ道にあった。今までは、ただの分かれ道でその先は行き止まりになっており、ミイラが現れる事はなかった。だけど、今回はその分かれ道からミイラが溢れてきていた。


「シエル!」

「分かってる! 『着せ替え人形・狼』! プティ、メリー『起きて』!」


 シエルは、ガーディを纏い、ソル達と合流する。プティは、分かれ道の方に向かって、ミイラ達を倒していた。メリーは、メレを守るように控えている。


「ミザリー、メリー、メレの事を頼んだよ。私は、プティを援護してくる」

「分かった。任せて」


 ミザリーは、ぶら下げていたメイスを手に取って、頷いた。それを見てから、私は分かれ道の方に移動する。ここでは黒闇天では無く、須佐之男を使う。多分、遠距離で倒せればいいけど、多分そこまでの余裕はないだろう。私は押し寄せてくるミイラの頭を次々に吹き飛ばしていく。プティの一回の攻撃で多くのミイラを倒せているけど、それでも、その隙間を抜けてくるミイラは止まらない。


「ルナさん!」


 背後でミザリーの声がする。ソル達が進んで、メレ達も分かれ道を通過したという合図だろう。


「プティ、下がるよ」


 プティの主人では無いけど、本当に簡単なお願いなら聞いてくれる。シエルの人形のこういう部分はありがたい。

 プティと一緒にミザリー達を追いながら、私達を追い掛けてくるミイラを撃退していく。


「こっちから来るミイラもキリが無い……いっそ塞いじゃおうか。プティ、一旦ミイラ達を押し返してくれる?」


 私がそう言うと、プティは前脚を広げて、ミイラ達を押し返し、すぐに戻ってくる。その間に韋駄天に入れ替えた私は、氷結弾を装填する。


「銃技『一斉射撃』!」


 三十発の氷結弾がミイラ達を完全に凍らせ、氷の壁を作り出した。後ろにいたミイラ達は、壁を越えようとしているけど、足元も凍っているので、上手くこっちに来られそうにない。ダメ押しとして、さらに氷結弾を撃って、通路を完全に塞いでおく。


「よし。後ろに気を配りながら、進んで行こう」


 私がそう言うと、プティが鼻先で私の腰ら辺を押してきた。


「先に行けって事?」


 そう訊くと、プティはこくりと頷く。一番後ろは任せろって事だろう。多分、あの壁を突破してくる事は無いと思うけど、プティの心意気(?)を無下にする事は出来ないので、先に進む事にした。

 シエルも加わったおかげで、さっきよりもスムーズに前へと進む事が出来た。それ以降、何度か分かれ道からミイラが出て来て、対応が難しくなる事があったけど、分かれ道自体を凍らせて、壁で塞ぐことでどうにか凌ぐ事が出来た。幸い、後ろから追っ手が来るなんて事もなく、ボス部屋まで辿り着こうとしていた。

 ただ、これまでのボス部屋前と違って、ミイラの圧力が異常なまでに強かった。


「これって、三つのダンジョンから出て来るミイラが集まっているって事?」

「だろうね。シエル! プティのタックルで押し込んで、一気に中に入ろう!」


 私の提案にシエルは頷いて答えた。私達は通路の端に寄る。そこをプティが突っ走っていった。


「熊人形術『ベア・タックル』!」


 助走も付けたプティのタックルで、通路に出て来ていたミイラ達をボス部屋まで押し込んだ。その状況を見逃さずボス部屋に入る。でも、完全にボス部屋の中に入るわけではなく、メレは通路と部屋の間に待機して貰う。ミイラに囲まれる事を防ぐためだ。ボス部屋は、他のピラミッドのダンジョンよりも大きく、繋がる道もここだけではなく、他に六本存在した。呼ばれているミイラの数も異常に多い。


「光、火、水、風、土……ってなったら、今度は闇?」

「死霊術と闇で、属性一致だから、出力がアップしたって事か。それなら、この状況にも納得が出来る」


 私は、すぐに天照を構えてファラオに照準を合わせる。


「銃技『連続射撃・二連』」


 その前にミイラ達がファラオの前に立ち壁となる。それでも無駄な事は、最初の戦いで分かっている。これで終わりと思った直後、金属と金属がぶつかり合うような音が二回聞こえた。


「何?」


 音の正体は、ファラオの前にいた。


「鎧を纏ったミイラ!?」

「さすがの貫通力でも若干軌道が逸れたみたいだね。ちょっと手強そう」


 鎧には穴が開いているけど、胴体部分なので、まだミイラは倒れていない。


「ムート『起きて』!」


 シエルが呼び出したムートがミイラ達を焼き払っていく。


「ソル! ネロ!」

「うん!」

「にゃ!」


 ムートが普通のミイラを倒している間に、ソルとネロにファラオを倒して貰う。それを援護するために、鎧ミイラを私が倒しておく。鎧ミイラは、六体。一体一体倒していたんじゃ時間が掛かる。だから、同時に倒す。


「銃技『複数射撃』!」


 六体の鎧ミイラの頭を同時に吹き飛ばした。同時に、私の肩が折れた。


「ル、ルナさん!?」


 これには、傍にいたミザリーも驚いていた。慌てて私の肩を回復してくれる。


「痛くないの?」

「痛いっちゃ痛いけど、そんな叫んだりする程痛くないよ」

「痛みを感じているだけ、まだマシなのかな?」

「どうなんだろう?」


 ミザリーとそんな会話をしている間にも、戦闘は続いている。六体の護衛を失ったファラオにソルとネロが襲い掛かる。


「『鳴神・一閃』!」

「『白虎十字爪』!」


 ソルとネロの攻撃で、ファラオの身体が粉々になった。後は、ミイラ達の掃討だけだ。これはムートがいるので、その内終わるだろう。こうして、ムートの攻撃を見ていると、アーニャさんが言っていた火炎放射器が欲しくなってくる。

 ミイラの量がこれまでで一番多いので、掃討もかなり時間が掛かった。メレ以外の私達も掃討に加わっても、二十分も掛かった。


「はぁ……本当に多かった……」

「ね。さすがに、ここまでの事は掲示板には書いてなかったよ」

「まぁ、ここまで来られる人自体が少ないみたいだし、仕方ないよ」


 ソルと話しつつ、報酬の杖を回収する。


「それじゃあ、隠し部屋を探そう」

「そうですね。ただ、どこのピラミッドにあるか分かりませんが」

「あっ……そういえばそうか……」


 メレに言われて、ここが三つのダンジョンが連なっている事を思い出す。そのどこに隠し部屋があるか分からない以上、三つとも調べる必要がある。


「仕方ない。地道に調べるしかないか」

「じゃあ、出発にゃ」


 私達が通って来た道から調べに行くことにした。氷の壁は、ミザリーのメイスで砕いて進む事になった。そこには、氷の壁で行く手を塞がれていたミイラ達が残っていたので、しっかりと片付けておく。

 そうしてピラミッドを調べて行くと、最初のピラミッドには隠し部屋はなかった。ミザリーが地図を作ってくれているので、既に調べた場所などはすぐに分かる。このピラミッドから下のボス部屋まで繋がる通路は、全部で三本だった。分かれ道の一つで二番目のピラミッドに繋がっていた。

 私達は、残りの出入口の中から一番近い通路に入っていく。通路を調べ始めると、ネロが耳をぱたぱたとさせながら、キョロキョロと周囲を見回していた。


「何か感じる?」

「にゃ。風の音が聞こえるにゃ。でも、これが隠し部屋の音なのか外に繋がっている出入口の音なのか判別が付かないにゃ。それくらい弱い風にゃ」

「まぁ、取りあえず、ネロの感覚を頼りに進んで行こう」

「にゃ」


 ネロを先頭にして二番目のピラミッドの探索を続ける。結局、ネロが感じた風は、外へ繋がる道だった。ネロは、少し申し訳なさそうにしていたので、頭を撫でて慰めておいた。実際、これで怒るような人は、このパーティーにいないので、気にする必要はない。

 このピラミッドからボス部屋に繋がる通路は一つだけだった。その他にあるのは、最初のピラミッドに繋がる道だけだ。


「何というか、このピラミッドから攻略すれば良かった気がしてくる……」

「結局、最初のピラミッドに繋がっていたから、あまり変わらない気もするけど」

「ああ……まぁ、シエルの言う通りか」


 結局、大量にミイラが出て来るピラミッドと繋がっているので、ここもすぐにミイラで一杯になっただろう。そう考えれば、どこのピラミッドでも一緒と言えるかもしれない。

 ボス部屋に戻った私達は、最後のピラミッドの中に入っていく。ここまで、隠し部屋がなかったので、ここにある事は確実だ。それが分かっているだけ、気が楽だった。

 少し歩いていると、またネロがキョロキョロとし始める。


「また風を感じるにゃ。あっちにゃ」


 ネロが風を感じている方に向かって進んで行く。すると、行き止まりの部屋に辿り着いた。これまでの傾向から、こういう行き止まりに隠し部屋があると考えられる。


「この壁にゃ」


 ネロが指さした壁を触って調べる。すると、シエルが触った箇所が凹んで、隠し部屋へ繋がる階段が現れた。いつも通りそこを下って、棺の中の鍵を回収する。


「これで、鍵が揃った。宝物庫を開けて、天秤を回収しよう」

「うん。それと地下水路の扉だね。でも、どれがどこの鍵か分からないよ?」

「鍵の形が違うから、一つ一つ確かめる必要があるか……じゃあ、最初に地下水路に行って確かめよう」

「そうだね。それじゃあ、地下水路へ行こう」


 私達は、地下水路の扉を開けるべく街の西側へと向かった。


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