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146.第三の遺跡!!

改稿しました(2022年5月30日)

 花見を終えた私達は、第三の遺跡に向かうために、職人街へと向かった。


「この近くに遺跡が二つあるんだよね?」

「うん。キヨミさんが最初に言っていた遺跡と、もう一つの遺跡がね。二個目の遺跡と同じようになっていないと良いけど」


 二つ目の遺跡は、火山の溶岩で塞がってしまっていた。もしかしたら、今回の噴火で、もっと埋まっているかもしれない。あそこの調査はもう無理と考えておいた方が良さそう。今は、調査出来る遺跡だけ調査して、古代兵器の場所を探さないと。


「後は、この職人街も調査しないとだね。刀匠の手掛かりが残っていれば良いんだけど」

「でも、まずは遺跡だね。どこにあるの?」

「ここから北東に進んだ場所と北西に進んだ場所。まずは、北西から行くよ」


 私がそう言うと、皆が頷いた。いつも通りの組み合わせで月読とプティに乗り、北西に進んでいく。まだ、頂上ではないから坂道を進んで行く事になった。


「環境適応のレベルが、メキメキ上がってる」


 自分のスキルを確認していたミザリーがそう言った。


「山を登っていく毎に、空気が薄くなっていくからじゃない?」

「シエルさんの言うとおりかもですね。段々と冷え込んできましたし、このまま登り続ければ、デスゾーンに突入するかもしれません」

「何そのやばい名前は?」


 聞いただけでヤバイと思える名前に、少しだけぞっとする。


「人が生命維持出来ない高度の事です。確か、標高八千メートルくらいからだったと思います。現実だったら、エベレストの山頂が該当するはずです」

「さすがに、そこまでの高さはない……よね?」

「エベレストなんて、テレビか教科書でしか見たことないから、分からないけど。でも、確実に、富士山よりは高い気がする」


 シエルの感覚的に、富士山よりは高いみたい。確かに、月読とプティによる高速移動で、かなり登っているからそんな感じはする。


「それも大事かもだけど、何か段々と寒くなってきてない?」

「ああ、標高が上がるにつれて、気温もぐんぐん下がってるんだ。皆、薄着だから寒く感じるんだね。環境適応で、ある程度マシになっていると思うけどね」


 私は、夜烏に黒羽織を重ねているから、そこまで寒いとは感じない。黒羽織の生地は、結構厚いからね。


「これ、環境適応があれば、砂漠も行けるって事なのかな?」

「確かに、多少はマシかもだけど、結局は装備をどうにかしないと行けなさそうな気がするよ。あの暑さは、ダメージにもなりそうだし」

「それって、この寒さにも言えるんじゃない?」

「……皆、上から羽織るコートとか持ってる?」


 シエルの言うとおりだと思って、皆に訊いてみるけど、首を振るだけだった。私みたいに、色々な服を持っている訳では無いみたい。まぁ、私もシャルに買ってもらっただけだから、そのままプレイしていたら、夜烏と黒羽織しか着ていないと思うけど。


「取りあえず、これを着ておいて」


 私は、持っている服の中で、なるべく厚めのものを選んで皆に渡していく。本当に、シャルに服を買ってもらって良かった。

 若干マシになった寒さの中、私達は遺跡に向かって進んで行く。進んで行くにつれて、段々と雪が降り始めた。寒さの象徴みたいなものなので、余計に寒く感じてくる。


「ギリギリ耐えられるけど、まだ、遺跡には着かないのかな?」


 ミザリーは、プティの上で周りを見ながらそう言った。


「もうそろそろのはずだけど……あっ! あった!」


 私達の正面に、斜面に建てられた遺跡が現れた。今回は、入口が塞がっておらず中に入ることが出来そうだ。私達は遺跡の前で止まる。


「今回は、皆で一緒に調査しよう。最悪凍死する可能性もあるし……」

「それもそうですね」


 私達は、一緒に行動する事にした。二人一組とかにして、二人とも凍死されたら困る。皆で行動すれば、凍死の前にどうにか対策を打てるかもしれない。それに、人が集まっておけば少しは暖を取れるしね。


「まずは、柱の調査から……」

「うん。柱はどこ?」


 一つ目の遺跡で手掛かりが書いてあった柱が、ここにもあると踏んできたんだけど、その柱は全く存在しなかった。柱がありそうな場所の雪をどかしてみると、柱が立っていた痕跡のようなものがある。


「折れて、転がっていったってところかな」

「こっち側の斜面は傾斜がキツいにゃ。こっちに転がっていったのなら、どこかで壊れているかもしれないにゃ」

「ここから、柱を探しながら降りるのは厳しそうですね。遺跡の中に期待しましょう」

「そうだね。じゃあ、中に入ろう。寒さが和らいでいると良いね」


 私達は遺跡の中へと入っていく。キョロキョロと見回しながら進んで行く。中は、最初に入った遺跡と全く同じだった。それは、ネロが見つけた空洞も同じということだ。


「……壊そうか」

「えっ!? 良いの!?」


 ミザリーは驚いて、私を見る。最初の遺跡では、壊すのを躊躇ったからだと思う。


「うん。最初の遺跡とまるっきり同じなら、ここが壊れてもまだ向こうがあるし」

「本当にまるっきり一緒ならね。どの方法で壊すの?」

「取りあえず、衝撃かな」


 私はそう言って、ミザリーの方を見た。皆も釣られてミザリーの方を向く。急に注目されたミザリーは、戸惑っていた。


「えっ!? えっ!? ど、どういうこと!?」

「それそれ」


 私は、ミザリーの腰にぶら下がってるメイスを指さす。


「わ、私がやるの!?」

「一番、壁を壊せそうな武器でしょ? 一発お願いね!」


 お願いすると、ミザリーは観念したようでメイスを手に持って壁の近くに向かった。私達は、少し離れた所で見守る。


「そういえば、なんで聖職者ってメイスを持っているイメージがあるんだろう?」


 ミザリーを見て、ふと疑問に思った事を口に出す。


「さぁ? ギャップとかじゃない? 綺麗で清純な人がメイスを持って微笑むとか」

「……ドMの考え?」

「いや、さすがに、ドMの人でも、あれはないんじゃないかにゃ」


 私達の視線の先にあるのは、鋭利な突起が付いたメイスだ。あれで殴られたら、痛いどころの話ではないと思う。


「そうですね。さすがに、もう少し丸くなっている方が良いですね」

『え!?』


 メレの衝撃発言に眼を剥くと同時に、


「棍術『フルスイング』!!」


 ミザリーのメイスが勢いよく振られて、壁を吹き飛ばした。


「や、やった~!」


 ちゃんと壁を壊すことが出来たミザリーは、少し飛び跳ねて喜びながら振り向くと、メレ以外の私達が固まっていたので、首を傾げていた。


「道が開けたみたいですよ。行きましょう」


 メレは何事もなかったかのように、そう言ってミザリーの傍に移動した。私達は、メレを追及するタイミングを逃してしまったので、そのまま後を追う。

 ちなみに、聖職者がメイスを持っていたのは、実際にあった話だったかもしれないみたい。戦争で使っていたみたいな話があるけど、実際には剣とかを使っていたらしい。本当かどうかは、分からないけど。

 道を開いた私達は、すぐに中に入るようなことをせずに、穴の傍で様子を見る。


「一応、爆発とかはしないみたい。中に入ってどうなるかは分からないから、皆、警戒しておいて」


 私がそう言うと、皆、頷いた。私が先頭になって、壁の向こう側に向かう。壁の中を少し行くと下り階段が現れた。


「地下に続いているみたい」

「さっきよりも暗いから、灯りを増やしておくね」


 ミザリーが、光球を増やしてくれたおかげで、少し奥の方までよく見えるようになる。私が見える範囲では、一本道となっている。なので、そのまま一本道を進んでいった。途中に分かれ道などはなく、そのまま少し大きめの四角い部屋に着いた。部屋の中央には祭壇のようなものがあり、四隅には松明が括られた柱が立っていた。ただ、それ以外に何か変わったものは見当たらない。


「何にも無い場所にゃ」

「うん。あの祭壇にも何も載っていないし、柱も一切模様が入っていない。これじゃあ、ただの無駄足だったかな……」

「でも、この感じ、ルナちゃんが読み取れた儀式をする場所なんじゃない?」

「柱のやつかぁ……確かに、祭壇もあるし、あの儀式については、ここの事を言っていたのかな?」


 ここの祭壇で儀式を行うみたいな事が書いてあったっていうのは、少し可能性があると思う。


「同じような遺跡が三つあるから、三箇所で同じ儀式をしないといけないんじゃないの?」

「確かに……それはシエルの言うとおりかも。じゃあ、私達には関係ないかな。そもそも二つ目の遺跡に入れないし」


 三箇所で儀式をすることで、何かを得られるのだとしても、二箇所目がどうしようもないので、結局意味がない。


「はぁ、後は最後の遺跡だけかぁ。キヨミさんの感じから、そこだけは三箇所と違う感じだから、期待出来るかな」

「そこは、近いのですか?」

「ううん。街からでも少し遠いかな。だから、また休日にって、そろそろ大型連休か」

「いや、明後日からだよ」


 シエルの鋭い突っ込みが入る。


「んじゃ、明後日から遺跡と刀匠探しだね! 皆、時間は大丈夫?」

「特に予定はないよ。ちょっと部活があるかもだけど」

「私は特にない」

「私も大丈夫です」

「私も大丈夫だよ」

「私も平気にゃ」


 皆、大型連休の予定はあまりないみたい。


「それじゃあ、頑張ろう!」

『お~!!』


 私達は、連休で遺跡と刀匠探しをする事にした。

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