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129.新しい仲間(2)!?

改稿しました(2022年5月30日)

 王城の門まで近づくと、いつもの門番の人が少しだけ驚いた。


「ルナ殿、今日はいつもの方々ではないのですね?」

「はい。新しい仲間です。向こうで協力してもらうために、メアリーさんか国王様に紹介しようと思ったので来ました」

「なるほど、ジパングで黒騎士の書物に書かれていたものの調べ事をしていたのでしたね。では、軽く持ち物検査をさせて頂きます」


 古代兵器については、この国の兵に対しても秘密だ。そのため、表向きは黒騎士に関する調査という事になっている。


「こちらのメイスは、お仕舞い頂くか、こちらでのお預かりになるのですが」

「あっ、じゃあ、仕舞います」


 ミザリーのメイスが咎められた。ミザリーは、すぐにアイテム欄にメイスを仕舞う。ネロに関しては、武器を持っていないので、そのまま通された。


「ルナさんは、持ち物検査をされないの?」

「確かに、スルーされていたにゃ」


 私が持ち物検査無しで通された事を、二人が疑問に思ったみたいだ。


「私は、この国の貴族だからね」


 私は、そう言いながら紋章を見せる。


「「おお~~」」


 すると、二人とも一瞬驚いてから、キラキラした眼で見ていた。貴族の紋章とかが格好いいと思った感じかな。


「じゃあ、行こ「ルナお姉ちゃん~!」うわっ!?」


 二人をメアリーさんの執務室に連れて行こうとしたら、唐突にアリスちゃんが飛びついた。


「アリスちゃん?」

「もう帰ってきたんですか?」

「ううん。ちょっと報告しに戻っただけだから、またジパングの方に行かないといけないんだ。だから、こっちでゆっくりとは、出来ないかな」

「そうなんですか……」

「アリス様!」


 向こうの方からメイドさんが必死に走ってきた。アリスちゃんを追ってきたみたい。


「ル、ルナ様……アリス様を捕まえて下さり……ありがとうございます」


 アリスちゃんに追いついたメイドさんは、息も絶え絶えになっていた。


(シルヴィアさんは、いつも息も切らさないでシャルを捕まえているけど、そっちの方がおかしくて、こっちが普通なんだよね……)


 改めて、シルヴィアさんの超人っぷりが強調されてしまった。


「いえ、捕まえたというよりも、私が捕まったって方が正しいですね。アリスちゃんは、これからレッスンか何か?」

「今日は、この後メアリーゼ様の執務室を見学される予定になっています」

「そうなんですか。私達もメアリーさんの執務室に用があるので、一緒に行こうか」

「はい!」


 私と一緒に行けると知って、アリスちゃんが元気に返事をした。私は、アリスちゃんを抱っこして、執務室を目指す。私の後ろをメイドさんとネロ、ミザリーが付いてくる。この間、ネロ達は一言も喋れなかった。さっきのやり取りから、アリスちゃんが位の高い人だと思ったのかもしれない。まぁ、第三王女だから正解なんだけど。そのアリスちゃんと話しているから、二人に紹介が出来ない。


(メアリーさんと一緒に紹介すればいいか)


 そんな風に考えながら、アリスちゃんと話していると、メアリーさんの執務室に着いた。それと同時に執務室の扉が開いた。中から出て来たのは、シルヴィアさんだった。


「シルヴィアさん?」

「見知らぬ気配があったので、出て来たのですが、ルナ様とご友人でしたか。メアリーゼ様にご用事ですね?」

「はい。取り込み中ですか?」

「そうですね。少々お待ちください」


 そう言うと、シルヴィアさんは執務室の中に戻る。そして、一分もしない内にまた出て来て、扉を開けたままにした。


「どうぞ、お入りください」

「ありがとうございます」


 私達は、シルヴィアさんが開けてくれている扉から中に入る。取り込み中の相手は、私のよく知っている人だった。


「アーニャさん、アイナちゃん!? どうして王城に?」

「色々とお話をしにね」


 アーニャさんはそう言いながら手を振った。シャルと知り合いなのは知っていたけど、メアリーさんとも知り合いだったみたい。


「私もいるんだけど」


 同じく執務室にいたシャルがむくれながらそう言った。


「シャルよりもアーニャさん達がいる方が珍しいからつい」

「まぁ、良いけど。アリス、こっちにおいで。ずっとルナに抱えてもらうわけにもいかないでしょ」

「はい。分かりました」


 アリスちゃんは名残惜しそうにしながら、私から離れてシャルの方に向かった。


「さてと、ルナちゃんが来たのは、後ろの新しいお友達について話すため?」


 メアリーさんが、こっちの用事を言い当てる。


「はい。ジパングでの調査を一緒にやってくれるようなので、一応、国王様やメアリーさんとお話しておかないといけないと思いまして」

「そういうことね。分かった。じゃあ、まずは紹介からね。私は、この国の第一王女メアリーゼ・ファラ・ユートピア。そっちに座っている二人が、第二王女のシャルロッテ・ファラ・ユートピアと第三王女のアリス・ファラ・ユートピア。そして、こっちに座っているのが、アーニャ・メルクリウスとアイナね」


 メアリーさんは、一気に皆の事を紹介した。この場に三人のお姫様がいることに、ネロとミザリーが眼を剥いて驚いた。


「じゃあ、私達がルナちゃんに頼んでいる事を話すね。これは他言無用でお願いするよ」

「はいにゃ」

「はい」


 メアリーさんが、二人に説明を始める。その間に、私はアーニャさん達と話していた。


「じゃあ、ジパングには着いたのね」

「はい。とは言っても、まだ、港から出てはいないんですけどね。途中で、海賊に遭遇して時間を食ってしまったので、探索まで時間を割けなかったんです。その後は、皆にも予定があったので」

「なるほどね。あそこの海域は、あまり出ないって聞くけど、どこにでもいるものね」


 アーニャさんは、そう言って感心していた。感心することではないと思うけど。


「ルナは、相変わらずトラブルに巻き込まれるね。私と会ったときもそうだし」

「まぁ、確かにシャルと出会ったのは、トラブル絡みだったけど。最近は、自覚してきているけどさ。あまり、自分で認めたくはないよね」


 シャルの認識でも、私はトラブルに巻き込まれる体質になっているみたい。


「また、ジパングでも巻き込まれるかもしれないね。充分に気を付けてね」

「うん。ありがとう、アイナちゃん」


 私も、ジパングでは、トラブルに巻き込まれないように祈っている。まぁ、無駄だと思うけど。


「ルナお姉ちゃん、明日はこっちに来ますか?」

「どうかな? 多分、明日はジパングにずっといると思うけど」

「そう……ですか……」


 アリスちゃんは見るからに落ち込む。やっぱり、凄く懐かれているなぁ。あの場から助け出した張本人だし、当たり前と言えば当たり前なんだろうけど。


「時間が出来たら、遊ぼうね」

「はい!」


 皆で話しているうちに、二人に対する古代兵器の説明が終わったみたい。ネロはあまり表情が変わっていないけど、ミザリーの方は少し強張らせていた。多分、ミザリーはかなり感受性豊かな人なんだと思う。


「一通りの説明は終えたよ。二人とも協力してくれるって」

「ありがとうございます。じゃあ、私達はこれで失礼しますね」

「父上には、後で伝えておくから安心して。頑張ってね」

「はい」


 私は、ネロとミザリーと一緒に執務室を出る。最後に、シルヴィアさんが小さく手を振ってくれたので、私も振り返して別れた。

 城門から外に出ると、ミザリーが大きく息を吐いた。


「ソル達と同じような反応をするね。そんなに緊張する?」

「普通は緊張するよ。正直、一度、無断で潜入しているし。それについては、不問にされたけど」

「良かったね。王城立ち入り禁止とかにならなくて」

「そこまで、王城に用事があるとは思えないけど……」


 ミザリーの場合、罪悪感もあって緊張していたみたい。


「ルナは、緊張することはないのかにゃ?」

「え? いや、貴族の爵位を受け取る時は緊張したよ。作法を間違えちゃいけないし。そんな事より、急いで港町の方まで移動したいんだけど、ミザリーは、今日この後空いてる?」


 なるべく早くミザリーと合流出来るように、イーストリアの向こうにある港街に、ミザリーを移動させておきたい。ミザリー一人じゃ、あそこを突破することは出来ないと思うし。


「えっと、夜ご飯を食べた後なら、空いてるよ」

「ネロは?」

「いつでも」

「じゃあ、夜ご飯を食べてから、またログインしよう。イーストリアの噴水広場に集合で」

「分かったよ」

「にゃ」


 私達は、王都の噴水広場で別れた。今日は、この後、ミザリーとネロを連れて、ユートピア側の港町に向かった。月読の三人乗りはかなり賭けだったけど、上手くいった。ミザリーだけ、凄い涙目だったけど。

 ちなみに、パック・ウルフ・リーダーは、ネロが倒した。巨大樹の森に入った途端、ネロが月読から飛び上がってどこかへ消えたかと思ったら、倒して帰ってきた。

 ネロの強さが垣間見えた瞬間だった。

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