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120.ジパングへの道(1)!!

改稿しました(2022年5月30日)

 王城から出た私は、噴水広場に来ていた。ここでソル達と合流する予定だ。噴水広場を見回すと、端っこのベンチに三人の姿を見つける。私は、すぐに三人の方に駆けていった。


「ごめん、少し遅くなっちゃった」

「ううん、全然待ってないから大丈夫だよ」

「それより、挨拶はちゃんと出来たの?」

「うん。修行も王都に戻ってくれば続けられるようになったから、安心して続けられるよ」


 修行が出来る事を知って、シエルやメレは少し安心したみたい。二人とも修行に手応えを感じているみたい。ソルは、目が若干死んでいた。まぁ、シルヴィアさんの地獄の扱きを思い出したら、そうなってもおかしくないのかな。多分、リリさんに訊いても同じ状態になると思う。


「後、屋敷を手に入れた」

「や、屋敷ですか?」


 元イルランテ卿の別荘である屋敷を手に入れた事を伝えたら、三人とも唖然としていた。


「まぁ、まだ散らかっているから、掃除から始めるらしいんだけどね」

「じゃあ、ジパングから帰ってから掃除を始めないといけないね」

「ううん、マイアさんってメイドさんがやってくれてる。私の屋敷の管理をしてくれるんだって」

「「「へぇ~」」」


 三人とも段々の好奇心の方が勝ってきたようで、少し食いついてくる。


「屋敷ってどのくらいの広さなの?」

「分かんない。私もどこにあるか知らないから。ジパングに着いて、街のポータルを登録したら、行ってみるつもり」

「そしたら、私達も招待して欲しいな。ルナちゃんが貰った屋敷がどんなのか気になるし」

「うん。皆を招待するよ。じゃあ、そろそろ出発しよう。ここからイーストリアに向かうけど、途中のボスは白い鷲でホワイト・イーグルって名前だよ。相手の攻撃の途中を狙えば倒せるはずだから」


 エリアボスの情報を共有したところで、私達は王都の外に出る。


「じゃあ、プティに乗って出発しよう」


 シエルがプティを巨大化させる。その上にシエル、ソル、メレが乗っていく。


「ルナも早く乗って」

「ううん、私は自分の乗り物に乗るから」


 私はそう言って月読を取り出して跨がる。そこで、三人の顔を見てみると、三人ともぽか~んとしていた。


「やっぱり驚くよね。私も驚いたもん」

「じゃあ、そのバイクは、ルナのイベント報酬って事?」

「そういうこと」

「運転できるんですか?」

「練習したからね。一応、ちゃんと運転できるようにはなったよ。現実で同じようにいくか分からないけど、ここではどうにかなったって感じかな」


 ささっとエンジンを掛ける。


「じゃあ、移動しようか。先に走って。私は同じ速度で走るようにするから」

「オッケー。プティ、行って!」


 シエルの合図で、プティが走り出す。その後に発進して、プティの横につける。


「本当に運転できるんだ。今の速度でも最高速度ではないの?」


 ソルが興味津々にそう訊いてきた。


「うん。まだまだ速く走れるけど、速くなればなるほど、操り辛いんだ。下手すると事故になるかもしれないんだよね」


 同じプティの上にいるわけじゃないので、自然と声が大きくなる。月読の静音性は高めだから、凄く大声になるわけじゃないけど、ちょっとだけ不便かな。


「それって、二人乗り出来るの?」

「う~ん、出来なくはないと思うけど」

「じゃあ、また今度乗せてね」

「いいよ。もう少し慣れてからね」


 ソルとそんな風に話していると、シエルとメレがジッとこちらを見てきていた。


「あはは……二人も乗せてあげるよ」

「やった!」

「ありがとうございます」


 二人にも約束していると、周囲にモンスターの気配がし始めた。ただ、私達の移動速度が速いので、ほとんどのモンスターは振り切れる。ただ、狼のモンスターは私達に追いついてきた。


「ルナ! どうにか出来る!?」

「任せて!」


 月読をプティの後ろにつけて、備え付けられているボタンの一つを押す。すると、月読の後部から銃弾が撃ち出されていく。その銃弾で、追い掛けてきていた狼達が倒れていった。月読の攻撃機能の一つ後部射撃だ。


「ルナちゃん! 何それ!?」

「月読の後ろに銃弾を撃ち出す機構が取り付けられているんだよ。他にも色々な機能が詰まっているんだ」

「……格好いい」


 ソルがキラキラした眼で、月読を見ていた。服とかの好みが私の着ているものって事は知っているけど、まさか月読にまで惹かれるとは思わなかった。やっぱり、この機構が決め手だったのかな。


「そんなことより、空を見て! ボスが来ているよ!」


 シエルの声に、全員がすぐに反応して空を見上げる。そこには、白い鷲が翼を広げて飛んでいた。


「このまま突っ切ろうとしたら、ホワイト・イーグルは私達に向かって急降下で攻撃してくると思う。そこに撃ち込んで倒すよ」

「分かった。でも、落とすだけで十分だよ」


 私の言葉にソルがそう返した。


「了解」


 私はそう言って、黒闇天を取り出す。同時に、ホワイト・イーグルが急降下で降りてきた。


「銃技『精密射撃』『連続射撃・二連』」


 放たれた二発の弾が、ホワイト・イーグルの両翼を撃ち抜いた。少し前なら、この弾は外れていたと思う。ずっと接近戦ばかり修行していたけど、銃の腕前も少しは上がっていたみたいだ。

 落ちてくるホワイト・イーグルを、プティから高く飛び上がったソルが一刀両断した。空中でホワイト・イーグルを回収したソルは、自由落下に入る。その着地点にプティが潜り込み、ソルを回収した。


「ナイス! ソル!」

「上手くいって良かったよ。プティちゃんは大丈夫だった?」

「かなり強化したからね。ソルが跳ねたくらいじゃ、びくともしないよ」


 シエルの言うとおり、プティはびくともしていなかった。内心痛いと思っているかもだけどね。


「これで、イーストリアに向かえるね。思ったよりも速く移動出来ているし、イーストリアのポータルを解放したら、そのまま先を目指す?」

「そうだね。先に進めるだけ進んで行こう。私も早くジパングに行きたいし」

「私も賛成」

「私もです」

「よし、じゃあイーストリアまで急ごう!」


 私達は速度を少し上げて、イーストリアへと急いだ。そして、イーストリアに辿り付いた。この前走っていった時よりも、大幅に時間を短縮して移動する事が出来た。月読と強化されたプティのおかげだね。


「ルナちゃんは、いつもの格好で大丈夫?」


 ソルが心配そうにそう訊く。私が、ここで色々とやった事を聞いたからだ。


「大丈夫だよ。私が侵入した時は、夜だったからね。私の姿を見たのは敵とか屋敷の人くらいだよ。住人は家に閉じこもっていたしね」

「その装備だと、夜に認識するのは難しいからか。確かに、それなら大丈夫そう。プティも小さくしたし、中に入ろう」


 私達は、イーストリアの中に入っていく。街は、意外と賑わっていた。


「思ったよりも綺麗ですね」

「いや、さすがに街をボロボロにするような攻防はしてないよ!? まぁ、あっちにある屋敷はボロボロだけど……」


 そんな風に話ながら噴水広場に向かうと、段々と私が潜入した屋敷が見えてきた。姿が露わになるにつれて、三人の表情が苦笑いになっていく。


「ルナちゃん……あれはさすがに……」

「屋敷の面影もないけど」

「街に被害が無かったのは幸いでしたね」

「いや、ああするしかなかったんだよ! 全く、人の気も知らないで」

「ごめんごめん」


 三人とそんなやり取りをしながらポータルに登録した。


「じゃあ、次のエリアに移動しよう。イーストリアを更に東に向かうよ。ここからは、どんな敵が出て来るか分からないからね」

「それに、どのくらいの強さかも分かりませんね」


 そう。王都に来た時も敵が強くなって大変だった。ここからジパングに向かう間もどんどん強くなってくるはず。油断せずに行かないと。


 私達はイーストリアを出て、再び東へと移動を開始した。

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