表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
117/253

116.遺跡に残された手掛かり!!

改稿しました(2022年5月30日)

 私達が湖に着く頃には、シルヴィアさんがレイク・クラーケンの死体を湖から引き上げていた。


「お疲れ様です、シルヴィアさん」

「いえ、これくらいでしたら、たいした事ではありません。それよりも、ルナ様は、レイク・クラーケンの素材は要りますか?」

「あっ、じゃあ、いただきます」


 お言葉に甘えて、レイク・クラーケンの素材を貰う事にした。正直、何に使えばいいか分からないけど、これから先何かの装備に使える可能性があるはず。アーニャさんに相談してみるのも良いかもしれない。


「目的地は、この湖の底で良いのですか?」

「はい。私が先行するので、付いてきてください」

「お願いします。では、こちらをどうぞ」


 シルヴィアさんはそう言って、ゴーグルを渡してきた。水中の中じゃ、視界が悪いので、持ってきてくれたんだと思う。


「ありがとうございます」


 私は、ゴーグルを受け取って装着する。ただ、ベルトがゴム製じゃなくて、ダイヤルで締めていくような感じだから、上手く調整できない。少し苦戦していると、シルヴィアさんが手伝ってくれた。


「ありがとうございます。じゃあ行きますね」

「はい。メアリーゼ様、お先にどうぞ」

「少し緊張するね。後ろは任せるから」

「はい。お任せを」


 私、メアリーさん、シルヴィアさんの順番で、湖に入っていく。誰も水着に着替えることなく、そのままの格好で入った。何が起こるか分からないので、戦闘が出来る状態で行く事にしたからだ。

 シルヴィアさんが用意してくれたゴーグルのおかげで、前に潜ったよりも視界がはっきりとしている。おかげで、遺跡の場所もしっかりと見えた。


(あれが、この前行った遺跡って事で良いよね? 他に遺跡っぽいものないし)


 念のため周りを確認してみるけど、遺跡らしきものは、それしか無かった。私は、後ろを振り返って、遺跡を指さす。すると、二人がオッケーサインを出した。それを確認して、遺跡に向かって泳いでいく。遺跡の入口から中に入った。


「中は空気があるんだね。不思議だけど、助かるよ」


 私に続いて中に入ったメアリーさんが驚いていた。水と空気の境界線を不思議そうに見ている。その間に、シルヴィアさんも中に入った。


「この感じでしたら、時間を掛けて探索が出来そうですね」


 シルヴィアさんも空気がある事に驚きつつも、探索が楽に出来そうで安堵しているようだった。


「この先が、沢山の文字がある場所です。その奥にはあの本が置いてあった場所があります」

「奥も一応調べるけど、まずは、文字の解読からやろうか」

「分かりました」


 私達は、最初の部屋まで移動する。部屋に入った瞬間、メアリーさんが周りを見回し始めた。


「……これは……旧機械言語?」

「旧機械言語?」


 聞いたことがない言語なので、首を傾げてしまう。


「かなり昔に、ディストピアで使われていた言語だったはず。あまり見かけることはないんだけどね」

「今のディストピアの言語は違うんですか?」

「交流がないから、確かなことは言えないんだけどね。一応、共通言語を使っているはず。機械言語には、古いものと新しいものがあってね。どっちも似ているから、凄くややこしいの」


 メアリーさんがため息交じりにそう言った。本当にややこしいみたい。私も習う事になるから、メアリーさんの気持ちもその内分かることになるのだろう。


「えっと……所々削られているから、途切れ途切れだけど……『我々は……翻す……古代……情報を……破壊……救って……』って書いてあるよ。この言葉が、色々な場所に書かれているかな。作った人は、なるべく言葉を残したかったんだね。それでも、劣化しているから、ちゃんとは残せなかったけど」


 メアリーさんが訳してくれた言葉は、なんとなく内容が分かる気がした。


「う~んと、『我々はディストピアに反旗を翻す。古代兵器の情報を残す。これを破壊して世界を救ってくれ』って感じですかね?」

「どうかな。さすがにこれだけの事から、正確なものを予想するのは、かなり難しいし、確かな事は言えない。でも、それに近い内容だとは思うよ」

「ということは、あの本には、古代兵器の事が多く載っていると考えて良さそうですね」


 私が手に入れたあの本は、古代兵器捜索の手掛かりになりそうだ。


「あの本を優先して調べてみる方が良いかもだね。帰ったら、少し調べてみる。ルナちゃん達が、ジパングから帰ってきたら良い報告が出来るようにしておきたいけど、あまり期待しないでね」

「お願いします。でも、期待はしておきますね」


私がニコッと笑いながら言うと、メアリーさんは、私の頬を摘まんでくる。意地悪を言ったからだ。


「全く……じゃあ、奥も調べておこう」


 私達は、本があった部屋まで移動した。


「ここは……本当に何も無いみたいだね」

「はい。本があっただけです」


 何か変わったことがあるかもと思ったけど、あれから特に変わった事はなかった。


「ん~、後は遺跡の周囲の探索もしておいた方が良いかな。こんなものがあるのなら、他の情報もあるかもしれないし」

「なら、私がやります。シルヴィアさんとメアリーさんは、先に上に戻っておいてください」

「そうですね。メアリーゼ様、一度上に戻りましょう。ルナ様、お気を付けて」

「はい」


 ここで一旦二人と別れて行動する事になった。水中の探索をするのに、メアリーさんを一人にさせる事は出来ないからね。シルヴィアさん達が上に上がっていくのを見てから、私も水中に出る。


(この前はよく見えなかったから、ゴーグルあると探索が捗るなぁ)


 まずは、遺跡の周辺を探索してみる。遺跡に使われたであろう柱みたいなものが転がっている。その柱は何の変哲もないものなので、放っておいて良い。


(特に古代兵器とかに繋がりそうなものはない……ん?)


 探索していると、遺跡の入口の反対側、あの本があった部屋の近くに、下へと続いている穴があった。


(見た感じ、自然に出来たものじゃなさそう。そういえば、あの本を取った時揺れたはず。もしかしたら、ここに穴が空いた揺れだったのかも)


 私は、少しシルヴィアさん達の元に戻るか迷ったけど、そのまま穴の中に入っていく事にした。メアリーさんが入る事になるかもだから、先に安全確認を済ませておく方が良い。中は、想像よりも奥まで続いていた。


(スキルのおかげで、まだ空気は保つけど……どこまで続いているんだろう?)


 そのまま一分くらい泳いでいると、出口に辿り付いた。出口は、筒に横穴が空いたような形状をしていた。


「ぷはっ! あぁ……さすがに苦しかった。ここは何なんだろう?」


 私が降り立った場所は、遺跡と同じような壁をしていた。中は暗いけど、暗視のおかげでなんとか見える。


「こ、これは……ゴミ?」


 私が入った部屋にあったのは、沢山の金属のゴミみたいなものだった。その内一つを拾い上げて見てみる。どっからどう見ても、使い道のないものにしか見えない。


「こういう知識は、あまりないからなぁ。何かに使うの……か……」


 そこまで考えた時に、ふとある事を思い出した。それは、アルカディアの資料室にあった本達の事だった。


「ここが古代兵器に関する場所なら、これは古代兵器のパーツ? いや、さすがに考えが飛躍しすぎかな? こんなところに古代兵器のパーツがあっても意味が……いや、この近くに古代兵器がある? その可能性が一番高い……それか、ここが古代兵器のパーツを開発する場所だったか……ただの要らないパーツを捨てるための場所か……裏付けが欲しいところだけど……」


 少し歩き回ってみるけど、それらの裏付けとなるような証拠は無かった。


「う~ん、取りあえずシルヴィアさん達の元に戻ろう」


 私は、通路を戻って水上に上がる。シルヴィアさん達がいる場所を確認して、そっちに泳いでいった。


「お疲れ様です、ルナ様」

「お疲れ様です。メアリーさんは……大丈夫ですか?」


 シルヴィアさんはぴんぴんしているのだけど、メアリーさんは木の陰でぐったりとしていた。


「大丈夫、大丈夫。久しぶりの運動で、少し疲れちゃっただけだから。それより、遺跡の周りには何かあった?」


 疲れていても探究心の強さは変わらないみたい。私が見つけたものが無いかが気になるようだ。


「ありました。遺跡の裏に穴があって、その中に機械のパーツのようなものがありました。見た感じでは、ゴミ捨て場のようでした」

「……それって古代兵器のパーツだった?」

「アルカディアの設計図に書いてあったものに似ているパーツはありましたが、本当にそうだったかは、自信ありません」

「そう……」


 メアリーさんは、少し考え込む。


「色々と調べた方が良さそう。もう一度潜る。シルヴィアも一緒に付いてきて」

「かしこまりました」


 私達は、先程の穴の中に移動する。メアリーさんには少し苦しかったみたいだけど、何とか辿り付いた。そして、その中の光景に二人は少し圧倒されていた。


「ルナちゃんの言うとおりだね。これだけじゃ、何とも言えないや。持って帰るのは……危険だから、時折調べに来ることにしよう。取りあえず、今日は、もう帰ろう」

「かしこまりました。一度休憩を挟んでから、帰還しましょう」

「じゃあ、先に行きますね」


 私達は湖から出て、少し休憩してから王都へと帰還した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ