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109.騒動が収まる!!

改稿しました(2021年12月18日)

 あの戦闘の後、国王様がいる部屋まで行く途中で、二回ほど小規模な戦闘をする事になった。さっきの戦闘よりも人数が少ないので、素早く倒す事が出来た。ただ、相手方の目的は果たされたと言っても良いかもしれない。シスターの話を聞いてから、国王様がいる部屋に着くまでに三十分近くも掛かってしまったんだから。


「国王様!」


 部屋を開けて中に入ると同時に、鮮血が散っていった。いきなりそんな事が起こったから、驚いて少し固まった。でも、それは心配するような事じゃなかった。シルヴィアさんが振った剣が、国王様を害そうとした敵を斬ったが故に飛び散ったものだったから。


「はぁ……良かった……」

「ルナか。脅かせてすまぬのう」

「いえ、大丈夫です。敵がいると知って来たのですが、心配無用のようでしたね」


 他にも敵がいるかもしれないと思って、部屋の中を見回したけど、それらしき人はいなかった。それでも油断なく黒闇天を握っておく。


「敵は、執事やメイドに扮していました。ここに来るまでに妨害を受けましたが、その全員は倒しました。申し訳ないですが、最初に遭遇した一人以外、手加減して戦う事は出来ませんでした」

「うむ。仕方のない事じゃ。ルナの命には替えられんよ」


 国王様は、襲い掛かった敵を殺してしまったことを許してくれた。


「それと、新たに突入してきた敵に関しては、全員眠らせて王城の窓から吊しています。全員異界人だったので」

「復活対策と見せしめというところかのう。取り合えずは、そのままにしておき、全てが終わり次第解放するとしよう」

「そうですね。これからどうしますか? まだ、内部の敵を一掃出来たわけではなさそうですが」


 一応、分かる範囲や襲われる範囲で敵を倒すことは出来た。でも、これ以上の敵を王城内で探し出して対応するのは、厳しいと思う。


「いや、それには及ばんよ。先程、外周に青い薔薇の旗と白い百合の旗を発見したという報告があった。つまり、王国最強の二つの騎士団が集まってきているという事じゃ」

「二つの騎士団? 戦乙女騎士団の他にも最強の騎士団がいるんですか?」


 てっきり、戦乙女騎士団が全ての騎士団の中で一番強いのだと思っていた。でも、もう一つ最強の騎士団があるみたい。その話自体を聞いたことがないから、少し驚いた。


「うむ。戦乙女騎士団が女性だけで構成された最強の騎士団だとすれば、もう一つの最強の騎士団である青薔薇騎士団(ブルーローズナイツ)は、男性だけで構成された最強の騎士団じゃよ」

「へぇ~、そんな騎士団もいるんですね」


 私が、国王様の説明に納得していると、傍に、シャルが寄ってきた。そして、私に耳打ちする。


「戦乙女騎士団と似たような悩みを抱いている人達ばかりなんだって」

「結婚出来ないって事?」

「そう。イケメンばかりなのに結婚している人は、団の中でも三分の一に満たないみたいだよ。戦乙女騎士団は、全員出来ていないけど……」

「それ、騎士団の皆さんの前で言ったら、殺されるんじゃ……」

「確かに……これは内緒だよ?」

「分かったよ」


 シャルとのこそこそ話は、二人の秘密となった。それにしても、美男美女それぞれだけで構成された騎士団の結婚率が低いっていうのは意外かも。


(取りあえず、これで今回の騒動は終わりかな。外の敵もリリさん達が片付けていると思うし)


 そんな事を思っていると、目の前にウィンドウが現れた。


『クエスト『第三王女殿下の救出』をクリアしました。報酬として、一〇〇万ゴールドを取得しました。特別報酬として、『第三王女との絆』を獲得しました』


 ちゃんとクエストクリアのウィンドウだ。これで、騒動が終わったと判断して良いはず。


「はぁ……これで、この騒動も終わりだね。最強の騎士団が二つも来ているわけだし」

「そうだね。レオグラス兄様も来ている事だしね」

「レオグラス兄様?」


 シャルの口から出た聞き覚えのない人の名前に首を傾げる。


「うん。こっちを先に言うべきだったね。青薔薇騎士団を率いているのは、私達の兄で、第二王子のレオグラス・ファラ・ユートピアなんだよ。ずっと動き回っていたから、私達も久しぶりに会うんだ」

「すぐに、また発って貰う事になるかもしれないがのう」

「それは残念ですね。それで、父上、私達はこれからどうしますか?」


 アリスちゃんを膝に載せたメアリーさんが、国王様にそう訊いた。実際、私達がこれからどう行動するのかは考えないといけないことだ。


「そうじゃのう……シルヴィアは、ここの防衛を続行。ルナは、今から書く書状をリリウムのところまで届けてもらえるかのう?」

「はい、わかりました」


 何故リリさんなのかは、多分私がレオグラス殿下の顔を知らないからだと思う。リリさんから、レオグラス殿下に渡されるって感じかな。そんな風に考えていると、すぐに国王様が書状を書き終えた。


「では、頼むぞ」

「はい」


 私は国王様から書状を受け取って、部屋を出る。そして、近くの窓から外へと飛び降りた。いつも通り、ハープーンガンを使って屋根を走っていく。その間に、街の様子も確認していく。王都に近いところは、騎士団と革命派の戦いで少しボロボロになっているけど、外周に向かうほど被害は少ない。ただ外周付近には、多少の被害がある場所がある。でも、それは、最初の攻撃があった場所だけだ。


「街への被害を抑えられた……そう考えるのはおかしいかな……?」


 革命派がその気になれば、街の半分以上を壊すことも出来た。それをしなかったのは、する理由がないから。奴等の目的は、王政の終了。だから、必要以上に街への攻撃はしない。ただ、多少の被害は仕方なしと考えたんだろう。王城内の戦力を分散させるのに必要な事だから。


「向こうの戦闘は、終わったのかな?」


 私が壁の壊れた場所に着くと、そこには青と白の旗が立っていた。国王様が言っていた通り、薔薇と百合の旗だ。念のため、壁の上に上り、上からリリさんを探す。結構夜も更けているんだけど、私の眼には問題なくあたり一面が見える。


「ええっと……あっ、いた」


 リリさんを見つけたので、一直線にリリさんの元まで向かう。その途中で、いきなり目の前に剣が現れた。そこに突っ込む前に、ギリギリで止まる。その際に、黒闇天と黒影を抜き、黒闇天の方を剣の持ち主に向ける。そこにいたのは、短く刈り込んだ金髪と碧眼の男性がいた。


「誰だ、お前は?」

「名前はルナ。リリさんに国王様からの書状を届けるために来ました」

「それを証明する物は?」

「これです」


 私は、男性に国王様からの書状を見せる。


「本物……のようだな。すまない。見かけない顔は、敵の可能性が高いのでな」

「いえ、分かっています。もしかして、レオグラス殿下でしょうか?」


 私は、シャル達と同じ金髪と碧眼のため、もしかしたらと思って訊いてみた。


「ああ、そうだ。何故俺の名前を?」

「シャルから聞いたんです。あっ、すみません。先にリリさんに書状を届けてきますね」

「ああ、そうしてくれ」


 レオグラス殿下はまだ話を聞きたそうだったが、リリさんに書状を届ける方が先決だと思い、レオグラス殿下と別れる。


「リリさん!」

「ルナさん? どうかしましたか?」

「国王様からの書状です。すぐに読んで欲しいとの事でした」

「そうでしたか。ありがとうございます」


 リリさんは私から書状を受け取ると、さっと中身を読んでいった。


「なるほど。ご苦労様でした。少々お待ちください」


 リリさんは、レオグラス殿下の元に向かって少し話をした。それから、私の方に戻ってくる。


「ルナさんは、私達と一緒に王城に行きましょう。この場は、殿下が対応するようにとのことですので」

「なるほど。分かりました」

「戦乙女騎士団、集合!!」


 リリさんが戦乙女騎士団の皆さんを集める。


「私達は、王城へと帰還します。すぐに準備を」

「「はっ!」」


 撤収の準備を終えたリリさん達と一緒に王城へと戻った。レオグラス殿下とちゃんと話すのは、もう少し後になりそうだ。

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