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106.騒動の始まり!!

改稿しました(2021年12月16日)

 街の外周での炎上によって、外が騒がしくなっていた。窓から確認すると、住人の避難も始まっていた。


「住人の皆さんは、王城内に?」

「いえ、革命派の事がありますので、近くの大聖堂に集まって貰うそうです」

「全員収容する事は出来るんですか?」

「地下にも広がってはいますが、住人の全員を収容するのは無理でしょう」

「住人の皆さんが、全員避難する前に、この騒動が収まれば良いんですが」


 私とシルヴィアさんは、外の光景を見ながら話していた。


「ここまで来ますかね?」

「既に来ていると考えていた方が良いでしょう。あちらの騒動は、陽動と捉えるのが良いでしょう」

「最悪、王都から脱出ですか?」

「いえ、それはダメですね。向こうの目的を達成させることに繋がってしまいます。この場で決着を付けなければならないでしょう」


 確かに、国王様が王城から逃げてしまえば、相手は王城と王都の実権を握ったと捉えられる可能性もある。実際には違うかもしれないけど、王都が一度でも陥落したという情報は、相手に勢いを与える事になりかねない。

 後は、今の革命派を引っ張っている人がいるのかどうかだけど。


「イルランテ卿の身柄は大丈夫ですか?」

「拘束して、牢に入れています。つまり、この指揮をしている人は、別の人ということになりますね」


 やっぱり、イルランテ卿が指示を出しているわけではなさそう。革命派にどのくらいの指揮官がいるか分からないけど、今の指揮官を捕まえても終わりになってくれるだろうか……こんな事は、長く続いて欲しくない。


「シャル達にも防具を着けて貰うべきでは?」

「そうですね。すぐに用意しましょう。少し出てきます」

「はい。お願いします」


 シルヴィアさんが、シャル達の分の防具を取りに部屋の外に出る。


「ルナ、向こうの様子は分かるの?」


 シャルが、窓の外、火の手が上がっている方を指さしてそう訊く。


「さすがに、無理。気配感知の範囲外だし、建物が邪魔しているから遠くまで見えないしね」

「そう。大丈夫かな?」

「どうだろう。こっちは、異界人の協力を得ているわけでもないし。騎士団がどのくらい集まってくれているかも分からないしね。取りあえず、皆は守れると思うけど」


 シャルと話している間に、革鎧を持ったシルヴィアさんが戻ってきた。


「こちらを装着してください。ないよりはマシだと思われます」


 シルヴィアさんが、シャル達に革鎧を着せていく。最後に、アリスちゃんに着せ終わったと同時に、気配感知が反応した。


「シルヴィアさん!」

「はい。窓から敵影は?」


 シルヴィアさんに訊かれて、すぐに窓の傍により覗きこむ。気配感知に引っかかったと思われる敵の姿が見えた。


「います。何かを探っている感じがしますね」

「倒せますか?」

「やろうと思えば」

「では、何か行動を起こしそうになれば、お願いします。その前に、騎士団が気付いてくれていると良いのですが」


 王都にいた騎士団は、街の巡回などに出ている。今であれば、騒ぎのある外周に向かっている可能性が高い。王城に常駐している部隊が気付いてくれれば、話が早いんだけどね。そんな事を考えていたからか、王城にいた騎士の人が敵に向かっていった。いきなり剣を抜くことはせずに、話し合いから始めるみたい。でも、敵は、すぐに剣を引き抜いて、騎士に飛びかかった。援護をしないとって思ったのも束の間、すぐに敵は斬り裂かれていった。さすがは騎士といったところかな。手に持った黒闇天を使わずに済んで良かった。


「大丈夫そうです。騎士が駆けつけてくれました」

「それは良かったです。警戒は続けましょう」

「はい」


 といった瞬間、また気配感知に引っかかった。


「場所は……」


 気配感知を頼りに、敵を探し出す。地上の方を見るが、誰も見当たらない。次に正面にある建物を確認した。気配の位置が、少し移動して建物の中になっていた。その方向を見ているはずなのに、姿は見えない。建物の中を移動しているということかな。


「シャル達は、奥に移動して」


 私がそう言うと、三人ともすぐに移動してくれた。シルヴィアさんは、三人の盾になれる場所に待機する。


「敵の位置が掴めませんか?」

「はい。建物の中にいることは確実の様ですが、その姿を確認出来ません。でも、確実に私達の部屋の向かい側にいます。何かしてくるかと」

「姫様、前には出ないでください」


 少しだけ前に出そうになったシャルを、シルヴィアさんが後ろに促す。その間にも、敵がいる場所を探していく。


「あっ、いた!」


 敵は、私達がいる場所よりも二階程下の方にいた。それでも、そこは建物の屋上なので、その姿も見える。格好から判断するに、プレイヤーで魔法使いだと思われる。その敵は、何かを口ずさんでいる様に見える。そして、杖を掲げると、火の弾を王城に放ってきた。火の弾は、この部屋のすぐ下の部屋に直撃した。


「危なっ! こっちの居場所が分かってる!? 私の姿が見られた……?」

「あるいは、元々知っていたかだね。でも、一階下の部屋を攻撃したなら、こっちの居場所が分かっているわけではないんじゃない? 魔法なら、狙いを外すなんて事ないだろうし」


 私の独り言に、メアリーさんがそう反応した。


「……それもそうですね。私の考えすぎですだと思います。でも、取りあえず、このまま動かないで下さい」


 私は、そう言いつつ外を確認する。なるべく自分の姿が見えないようにしながら見てみると、続けて魔法を放とうとしていた。恐らく、またさっきと同じ火の弾だと思う。さすがに、何度も火の弾を放たれると、王城が燃えてしまう可能性がある。


「仕方ない倒すか」


 私がそう判断したと同時に、変化が起きた。まず、気配感知に敵の反応が複数引っかかった事。そして、魔法を放った敵がいる場所に複数の騎士が向かっていった。騎士の方は予想が付いたし、敵の反応が増えるのも予想出来ることだった。でも、敵の反応が増えたのは、私達がいる方向と反対側だ。


「陽動……?」


 その考えがでてくると同時に、敵の反応があった方向から轟音が響き渡ってくる。


「何の音!?」

「敵が、魔法を王城に向けて撃ってきたんだ! 外もさっきの攻撃も陽動で、これを成功させるため……いや、これだけじゃない!」


 気配感知の反応が王城を囲むように、現れてくる。


「既に囲まれてる! この動き方だと、避難している住人と一緒に動いているのかも!」

「なら、今以上に攻撃が集中する可能性はありますね。ルナ様、こちらは、私一人でも対応出来ます。外の敵を倒してきてもらえますか?」

「分かりました」


 シルヴィアさんの言うとおり、この状況でここに留まっているよりも、外の敵を倒した方が、安全を確保出来るはず。そう思い、窓から外に出ようとすると、窓の下から人の顔が現れた。多分、壁を登ってきた敵だ。


「!?」


 気配感知に引っかからなかった事から、私と同じ気配遮断などを持っているんだと思う。いきなり鉢合わせてしまったので、私達は、互いに一瞬固まってしまった。先に動くことが出来たのは、私の方だった。すぐに黒闇天を構えて撃ち抜く。


「シルヴィアさん、すぐに国王様と合流しましょう。敵が内部に侵入している可能性が高いです。誰が敵か分からない以上、全員が一緒にいた方がいいと思います」

「そうですね。伝令に敵が潜んでいる可能性もあります。陛下の居場所は分かっています。裏の通路を使いましょう」

「裏の通路?」

「はい」


 シルヴィアさんは、そう言って壁の一部を押した。すると、その部分が開いて通路と階段が現れた。


「さすが王城。こんな仕掛けを用意しているなんて」

「緊急用のものです。今まで、本格的に使われた事はありませんが、定期的に点検しているので、安全に移動出来ます」

「じゃあ、シルヴィアさんは、シャル達を連れて移動してください。私は、外に張り付いている敵を倒してきます」

「はい。お願いします」


 私は、窓から飛び出して、ハープーンガンを王城の上の方にある壁に撃ち込む。気配感知での反応はない。だけど、さっきみたいな人がいる可能性は高い。


(その人達の王城への侵入をなるべく減らさないと)


 ざっと、王城の壁を確認すると、黒い装束を着た人達の姿が見えた。取りあえず、全員敵と仮定する事にした。そもそも騎士団の人が壁に張り付く必要はないしね。私は、壁を思いっきり蹴って、身体を壁から離す。そして、黒闇天を構えた。


「銃技『複数射撃』」


 目に見える黒い装束の敵八人を撃ち抜いていった。撃ち抜いた内の七人が地上に落ちていった。


「これで、見えているのは全員かな?」


 私は、一人だけ落ちていかなかった遺体に近づいていく。


「どうやって、登ってったのか。これで明らかになるね」


 近づくと、この人達が登っていた仕掛けが分かった。


「ワイヤー? 何本も束ねてあるから、かなり頑丈だ。この人が引っかかったのは、命綱みたいなのを付けていたからかな。ハーネスっぽい……ハーネスってこの世界でも作れるのかな? これ、ディストピアが関わってる? いや、それは考えすぎか。このワイヤーが、王城の上から降ろされているものなら、十中八九、王城内に、敵が入り込んでいるはず。一周してから、国王様のところに向かわないと」


 私は、王城の壁を全速力で一周しつつ、敵を撃ち落としていった。そして、最後にシャルの部屋に戻って、シルヴィアさん達が入っていった隠し通路に入っていった。

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