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102.追っ手を止めろ!!

改稿しました(2022年1月21日)

 次の敵が出て来る前に、リロードや武器の準備をして行く。今回の戦いは、ここでの持久戦。一人たりとも通すわけにはいかない。ということは、いつも通りの戦い方じゃだめって事だ。


「爆破弾は、ここに来るまでに増やしたとはいえ、さっき使っちゃったから、減ってる。あまり乱用は出来ないから、使いどころは考えないと」


 一応、敵は人なので、吉祥天も役に立つ。出来る限りの力を使って倒していかないと。ここからも容赦は一切しない。


「まずは……」


 私が見ている門から人が飛び出してきた。その数は約十人。個別に対処するのは、無理だと思う。だから、私は作戦を立てていた。

 私の見えている前で、その十人が宙を舞った。先に仕掛けておいた罠が作動して、爆発したのだ。威力を上げるよりも爆風を上げる方が魔力消費が少ないので、爆風を最大にしておいた。それを地面の下にいくつか仕込んでおき、気配感知で計った相手の移動速度に合わせて時間を設定しておいた。

 空に高く舞った敵は、そのまま地面に叩きつけられる。その中で、二人ほど生き残っている人がいた。多分、プレイヤーだ。何か言いたそうにしているけど、地面に叩きつけられた衝撃で、何も喋れない状態になっている。どうせ、恨み言しか言われないと思うので、頭と心臓に銃弾を撃ち込んでトドメを刺す。


「ここからが本番かな」


 門から馬に乗った人達が飛び出してくる。私は、クイックチェンジで、黒闇天と韋駄天を入れ替えて、引き金を引く。


「うぐっ……」

「がはっ……」

「うわっ……!」


 馬に乗っている人の胸や腕などに当たり、馬から転げ落ちていく。それだけでなく、馬にも命中して馬ごと倒れていった人もいた。正直、馬に撃つのは気が進まなかったけど、そんな事を言っている暇はない。将を射んと欲すればまず馬を射よを文字通りに実戦するのが、一番楽だしね。クイック・リロードを多用して、出てくる敵を撃ち続ける。

 馬に乗ってきている敵は、全部で四十三名もいた。だけど、韋駄天の連射能力と私のリロード術で、その全てを撃ち殺すことが出来た。ただ、韋駄天の弾は全て使い切ってしまった。


「銃弾を精製……している暇はないか」


 韋駄天の弾を精製しようとしたけど、門の方から敵が出てきていた。さっきまでの数と違って、かなり少数だ。装備から見て、プレイヤーの人達だと思う。馬に乗っていた人達は、この世界の革命派の人達だったのかもしれない。

 私はクイックチェンジで、韋駄天から黒闇天に入れ替える。


「銃技『複数射撃』!!」


 門から出てきたプレイヤーに対して、氷結弾を撃ち込んでいく。私の撃った弾は、弾かれることなく命中した。最近、弾を斬り飛ばす敵とばかり戦っていたから、感覚が麻痺していたけど、実際に弾を斬るなんて事、普通の人は出来ないよね。

 氷結弾を撃ち込まれた人は、全身が氷漬けになっていった。


「な、何だ!?」

「あ、あいつだ! 気を付けろ! 敵は銃を使うぞ!」

「こうなったら、氷漬けになった奴を盾にするんだ!」


 敵の中にも頭が回る人がいるみたい。氷を盾にされたら、こっちもやりようがない。普通なら……

 私は、すぐに氷の傍まで移動し、回り込む。


「なっ!? 銃持ちがせっき……」


 言葉は最後まで紡がれなかった。その前に、延髄の部分に黒影が刺さったからだ。敵の一人を倒した私は、すぐ近くにいた人の頭を撃ち抜く。入っている弾は、ホローポイント弾だ。素早く敵の二人を倒した後、飛び出してきた敵の一人に向かって、黒影を投げつける。投げつけた敵は、魔法使いだ。見た目で分かったので、先に仕留めることにした。黒影が喉に突き刺さった事で、魔法の詠唱が出来なくなっている。


「てめぇ!!」


 全身に鎧を装備した人が、大きなハンマーを振りかぶっていた。その人の足元に、威力を高めにして、規模を小さくした爆破を起こす。


「んなっ!?」


 重心を崩した相手のお腹に掌底を撃ち込む。


「体術『衝波』!!」

「ごふっ!!」


 撃ち込まれた衝撃で、敵の身体が浮く。そして、その人の首に手刀を突き刺す。


「体術『貫手』!!」


 鎧の隙間から差し込んだ手刀が、敵の喉を突き破る。そのまま動きを止めずに、腰に差し込んでいた王城からもらったナイフを回復役を担っているであろう敵に投げつける。目の前で、重装備の仲間がやられたからか、呆然としていたその子は、ナイフに反応する事が出来ず。腕に深々と突き刺さった。


「きゃっ!」


 若干狙いがズレてしまったけど、あれなら少しは怯んで動揺しているはず。私はすぐに駆け出して、黒影を回収すると、次の敵に向かって投げつける。その敵は、私に向かって剣を持って突っ込んできていた。その影に黒影が突き刺さり、相手は動きを止める。


「!?」


 何が起きたか分からないのだろう。男は、目だけをキョロキョロと忙しなく動かしていた。そんな男の頭を撃ち抜いて、次の敵に向かおうとすると、遠くから飛んできた矢が当たり、黒闇天を飛ばされてしまう。私は、すぐに吉祥天を取り出す。


「『夜烏』!」


 吉祥天から撃ち出された夜烏が、弓を持っている男に向かっていく。矢で夜烏を射ようとしているけど、夜烏を射っても意味がない。そのまま夜烏は、男に命中する。男は瞬時に眠りにつき、そのまま息を引き取る。適量を超えた麻酔が、夜烏によって効力が上がり、敵を殺したわけだ。

 その結果を見ずにその場から動いて、飛ばされた黒闇天と黒影を拾う。敵の数は、後五人。その内の一人は、腕にナイフが刺さった状態で震えている。戦意はなくなっているはず。無視して大丈夫そうだ。


「銃技『複数射撃』!!」


 氷から頭を出していた間抜けな三人に向けて、エクスプローラー弾を撃ち込んだ。頭で小規模な爆発が起こり、三人が氷の影から飛び出して仰け反った。全員、軽装備の敵だったので、仰け反った拍子に丸見えになった喉に向かって、ナイフを投げる。喉にナイフが突き刺さる。だが、黒影ほどの力がないので、それで倒しきる事が出来なかった。ただ、喉にナイフが刺さるという事が衝撃だったのか、動きがぎこちなくなっている。その隙を見逃さずに、銃弾で頭と心臓を二回ずつ撃ち抜く。強い敵だと死ににくいみたいだから。残り一人が、私の死角から飛びかかってくる。

 でも、気配感知で居場所などは筒抜けなので、回し蹴りを脇腹に叩き込む。


「体術『円月』!」


 まともに回し蹴りをくらった相手は、そのまま吹き飛んでいって、氷に身体を叩きつけられた。そこに、銃弾を撃ち込む。


「敵の増援は……」


 少し待っても、敵の増援が来る気配はない。プレイヤーなら、デスペナを受けているけど、すぐにこっちまで来れるはず。それでも来ないのなら、諦めたと受け取って良いかも。


「ふぅ……一応、なんとかなったかな。後は……」


 私は、ナイフが刺さって怯えたままになっている女の子の元に向かう。


「ひっ……!!」


 女の子は、私から逃げようとするけど、腰が抜けているのか全く動けずにいる。


「まだ、やりますか?」


 私が問いかけると、首が取れんばかりの速度で横に振る。


「……う~ん、あまり倒す意味もないんだよね。ねぇ、あなた達にクエストを出したのは、誰? ここの領主?」

「そ、そうです……」

「それで、アリスちゃんを人質に取ったんだ。よく、こんなクエストを受けたね。あんな小さな子を巻き込んで……」

「そ、その……パーティーのリーダーが、受けてしまって……それで、こっちも引き受けたことになって……」

「ふぅん、そう。まぁ、いいや。二度とこんな事しないでね。もし、またこんな事をしたら、今度は容赦しない」


 私は、女の子に刺さっていたナイフを抜いて、ポーションを振りかける。そして、すぐにアリスちゃんを追い掛けた。

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[良い点] えっ…カッコ良すぎでしょ
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