6月
──6月。
高校生活ももう始まって2ヶ月が経つ。
普通だったら周りと打ち解け、友達も出来てる頃。
だが僕はというと……まだ、1人も友達が出来ていない。
まずいまずいまずい、さすがにこれはまずい。
このままじゃ寂しい中学生活と何も変わってない!
自分から話しかけないと友達なんて出来ないのが現実だ。
でも僕なんて面白い話も出来なければ周りを盛り上げるようなキャラでもない。
僕はダメだ、ダメ人間だ……
そんなことを考えながら教室に入ると、
そこにはクラスの女子達と楽しそうに話すあかりちゃんがいた。
「あ、理央くん!おはよー!」
教室に入ってきた僕を見て笑顔で挨拶をするあかりちゃん。
「あ、お、おはよう!」
顔を赤らめながら返事をする僕を見て、
周りにいる女子達は不思議そうな顔をしてあかりちゃんに言う。
「…ねぇ、あかり丸山なんかと仲良かったっけ?」
「あいつ、友達いない根暗じゃん」
そんな女子達にあかりちゃんは少し怒ったような表情で、
「もう!みんな失礼だよ!」
と、返す。
…あかりちゃんは優しいな。
僕なんかと話してくれて。
僕は俯きながら席に着いた。
こんな僕に話しかけてくれるのはあかりちゃんだけで、僕はあかりちゃんのことを少し気になっていた。
すごく可愛いし、優しいし、どうやら勉強も運動もできるみたいだ。
でも僕なんかに好かれたらきっとあかりちゃんは迷惑だ。
だから僕は見ているだけでいい。
少し話しかけてくれる、それだけで嬉しい。
そんなことを思っていると、間宮さんが教室に入って来た。
「ひかる!おはよー!なんで先行っちゃうの〜!」
「一緒に学校行きたくないから。それだけ」
「ひどいよぉ〜今日ひかるの家まで迎えに行ったのにもういないし!なのに何で私より来るの遅いの!」
「あかりには関係ない」
うわぁ……バッサリだな。
あかりちゃんと間宮さんは双子の姉妹だけど、
親が離婚した影響で住んでる所は違うらしく
あかりちゃんは間宮さんのことが大好きで、
よくひっついてるイメージがある。
だけど間宮さんはあかりちゃんの事がおそらく嫌いなのだろうか。いつもこんな風にバッサリ切られている。
間宮さんも僕と同じで高校生活が始まってから誰とも仲良くしているところを見た事がない。
誰に話しかけられても冷たく無口な彼女は、女子からも男子からも次第に興味を持たれなくなり
気がつけば、“あかりと正反対”と陰口を叩かれるようになった。
あかりちゃんはそれを知っているのだろうか。
「何か用?」
「え!?あ、な、なんでもないです」
つい無意識で間宮さんを見てしまっていたようだ。
間宮さんは不機嫌そうな顔をしている。
「あなた、たまにそうやって私を見てる。私があかりの妹だから?」
「ち、違うよ!」
「あかりのこと好きなの、バレバレよ」
「だから違うってば…!」
「…あかりのこと、あなたは何も知らないから。」
「………え?」
間宮さんは悲しそうな顔をしながらそれだけ言うと、もう何も喋らなくなった。
…一体この2人に何があったんだろう。
何で間宮さんはこんなにあかりちゃんを嫌うんだろう。やっぱりなにか理由がありそうだ。
「ちょっと、丸山くん」
突然、僕の席の前に立つ女子。
びっくりして見上げると、そこにいたのはクラス委員長の南雲早苗だった。
「数学の課題!まだ出てないの丸山くんと間宮さんだけみたいじゃない!早く出さないとダメじゃない!」
「ご、ごめん…忘れてた」
「今日中に出してよね!間宮さんも。いい?」
南雲さんはそれだけ言うと去っていき、あかりちゃんの所に行った。
南雲さんはあかりちゃんと一番仲がいいといっても過言ではない。
いつも一緒にいるイメージだ。
こう言っちゃ悪いけど…南雲さん苦手なんだよなあ。
言い方きついし、怖いし…。
「数学の課題、途中まで終わってる?」
「え!?あ、うん…本当、途中までだけど」
「見せてもらえたら嬉しいんだけど」
…間宮さんが僕に頼みごとを!?
びっくりしている僕を大真面目な顔で見つめる間宮さん。
「あ、うん…僕のでよければ」
「ありがとう。じゃあ放課後」
それだけ言うと間宮さんは鞄から本を取りだし読み始めた。
…てことは、放課後…間宮さんと2人きり!?