自己紹介
放課後。
授業が終わると、あかりちゃんは「先に部室行ってるね」と言い、教室を出て行った。
「ほら、ひかる。僕らも行こう」
「…そうね…」
ひかるはとっても嫌そうな顔で鞄を持った。
「本当にいいの?ひかる」
「いいの。分かったらさっさと行きましょ」
うーん、すごい嫌そうなんですけど…。本当に大丈夫かなあ、ひかる。
お昼のときも…ひかるはあかりちゃんに敵意出しまくりなのに一緒の部活に入って本当に大丈夫なのだろうか。心配だ。
またあんなことが起きたらさすがに止めないと。
そして、僕らは手芸部の部室に着き部室のドアを開けた。
「失礼しま〜す…」
部室に入った瞬間。
──パーン!
クラッカーが鳴った。
驚く僕とひかる。
「ようこそ〜手芸部へ〜!」
ぱちぱちと拍手が鳴り響き、僕らを取り囲む人達。
男子2名と女子1名。
そして、教卓の前にはあかりちゃんと南雲さんがいた。
「あら?…入部希望ってもしかしてあなた達なの!?」
南雲さんは怒った表情で僕らを指さす。
「まぁまぁ〜早苗。そう怒りなさんな」
あかりちゃんは南雲さんをなだめる。
「ふん、あなた達のような課題もすぐに終わらせられない人達に手芸なんて出来るのかしら?」
「も〜、私が誘ったんだよ!早苗は黙ってて」
あかりちゃんが南雲さんをなだめているが
南雲さんは小言を並べ続けてくる。
「そうだぞお〜早苗!せっかく来てくれた入部希望者にそんな言い方はないんじゃないのか〜い?」
僕達を取り囲んでいるうちの1人が喋り始めた。
…何か、すごい格好してる人だな。
その人はオールバックの腰まで伸びた長髪に、制服のポケットには謎に薔薇を挟んでおり、おまけに手にも薔薇を持っている。
「僕が部長の森園優馬だよ、学年は3年。よろしくねえ〜ベイビー達」
ウインクをしながらピースをして話すその姿はただの変態にしか見えなかった。
「あ…よ、よろしくお願いします…僕は1年の丸山理央です…」
僕は苦笑いで返した。
ちなみにひかるはガン無視している。
「いやあ〜嬉しいねえ新入部員。うん、実にハッピーだ。さて、では自己紹介タイムといこうか」
部長がパチンと指を鳴らしながら言う。
すると、次は女の子が声を上げた。
「初めましてにゃ〜ん!私は2年生だにゃん!猫宮美々!気軽にねこみんって呼んでにゃん、よろしくにゃ〜ん!」
猫耳のカチューシャをつけ、首元には鈴がついたチョーカーをつけている女の子。
この子もちょっとやばい子かもしれない。
「あ、よ、よろしくお願いします…」
「君は理央にゃんだね!よろしくにゃん!そっちの
君はまだ名前聞いてないにゃん!」
ねこみんはひかるの方を見るが、
ひかるはまたしてもガン無視をしている。
「その子は私の双子の妹の間宮ひかる。仲良くしてあげてね」
あかりちゃんがそう答えると、ねこみんはひかるの手を握る。
「なるほど〜あかにゃんの妹!確かに顔がそっくりだね!ひかにゃん!よろしくにゃ〜ん!」
にっこり笑顔のねこみん。
だが、ひかるはガン無視だ。
「次は僕ですね。僕は2年の真田晴海。よろしくお願いします」
眼鏡をくいっと上げながら頭を下げる彼は、
とても身長が高く顔もとても綺麗。
やっとまともな人来た…!
「よろしくお願いします…!」
僕は真田さんにお辞儀をする。
「よろしくお願いします」
そして、ようやくひかるが口を開き、ひかるも真田さんにお辞儀をした。
やっとまともな人が来たからひかるも返事をしたみたいだ。
「は〜い、じゃあ私は阿部あかり!って2人とも知ってるか。部活でも、よろしくね!」
「知ってると思うけど私は南雲早苗。半端な気持ちで手芸をしたら許さないんだからね!」
あかりちゃんと南雲さんが自己紹介をし、
自己紹介タイムは終わった。




