部活
それから無言の時間が続いていたが、
あかりちゃんが何かを思い出したかのように突然話し始めた。
「そうだ!2人とも部活まだ入ってないでしょ?」
ひかるは安定の無視だ。目も合わせない。
「あ、うん…入ってないよ」
返事をする僕に、あかりちゃんは良かった〜と言いながら1枚の紙を渡した。
「私ね、手芸部に入ってるんだけど…入部してもう2ヶ月経つんだけどね。全然新入部員が増えなくて」
その紙には手芸部の部員募集中と書かれている。
「部員数が少なくて…よければ2人とも入ってくれたら嬉しいな。ひかると理央くんが一緒なら楽しそうだし!」
笑顔で話すあかりちゃん。
そっか、あかりちゃんは手芸部だったのか。
部活に入っているのは知ってたけど手芸部だとは知らなかった。
でも、女の子らしくて可愛いあかりちゃんには何だかぴったりな部活だな。
「うーん、でも…手芸部って男子が入っても平気…なのかな?」
「ぜーんぜん大歓迎!男子部員も今2人いるし!」
そうか。男子部員もいるのか。
僕はあかりちゃんから渡された紙をじっと見る。
せっかくだし…入ってみようかな。
あかりちゃんと同じ部活だなんて嬉しいし、男子部員もいるなら友達ができるもしれないし。
「僕なんかでよければ、入るよ!」
僕がそう答えると、ひかるは慌てた表情で僕を見た。
「ちょっと理央…本当に?」
ひかるは、おろおろしながら僕に聞く。
「うん。部活とか楽しそうだし。僕は入ることにするよ」
僕がそう答えると、ひかるはあかりちゃんをまた睨みつける。
あかりちゃんは笑顔で首を傾げた。
「…じゃあ、私も入る…」
ひかるはとても嫌そうな顔をしながら言った。
「わ〜い!ありがとう2人とも!それじゃあ今日の放課後、部室で待ってるね!」
大喜びするあかりちゃん。
ひかるはそんなあかりちゃんを見て舌打ちをする。
「ひかる…そんなに嫌なら、入らなくても…」
「いいの。理央が入るなら私も入る」
…って言っても明らか嫌そうじゃん!




