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【本編完結】百合ゲーのサブヒロインに転生したので、全力で推しを守りたい!  作者: 長月
百合ゲーのサブヒロインに転生したので、全力で推しを守りたい!
15/109

15・試験結果

 試験勉強は順調に進み、椿ヶ丘も百合ノ宮も無事に試験期間を終えた。私の方は紗良に付き合って自分の試験勉強もしていたおかげもあって、なかなかの高得点だった。順位もかなり上がるだろう。

 そして、紗良の方も返ってきた答案を見る限りは問題ない。このレベルの試験問題でこの点数なら、かなり出来た方だろう。

 ただし、問題は試験後に廊下に張り出されるという上位順位者に名前が載るかどうかだ。百合ノ宮では順位は各個人に渡されるだけだが、椿ヶ丘では総合上位20名が張り出されるらしい。そこに名前が載ることが椿ヶ丘の生徒の中でのステータスになるのだと、陽子の友達が情報をくれた。

 今時、廊下に成績を張り出す学校がまだ存在していたのかと驚いたが、こうすることで生徒の勉強へのモチベーションが上がるらしく、一部の学校ではまだ残っている文化だとか。

 そして、張り出されるのは試験終了から一週間後。つまり、今日の昼休みだ。


「緊張しすぎて、口から内臓出てきそう」

「汚いから飲み込んで」


 紗良からの連絡を待ち、スマホを片手に机に突っ伏している私を、スマホゲームをしている陽子が隣からバッサリ斬り捨てた。死に体になっている友達になんて仕打ちだ。まあ、逆の立場だったら同じこと言うけど。

 まだかまだかと落ち着かない気持ちで真っ暗な画面を眺めていたその時、ようやくブーッとスマホが手の中で震えた。当然、紗良からの報告だ。

 大急ぎで確認すると、送られてきたのは一枚の写真のみ。


「どうだった?」


 覗き込んできた陽子に、無言で画面を向ける。どれどれと覗き込んだ彼女の動きが、そこでフリーズした。


「……ねえ、あそこの学校って、毎年国公立や医学部の合格者出しまくってるのは知ってるよね?」

「もちろん知ってる」

「はー、才色兼備ってこういうことよね」


 感心したように呟いた陽子が、もう一度送られてきた写真を眺める。

 つられて私も見るが、何度確認しても結果は変わらない。


 ・二位、藤岡紗良


 張り出された順位表には、点数と共にしっかりとそう書いてあった。



『連絡が遅くなってごめんなさい。写真を送った直後に人に囲まれちゃって。

思った以上に良い順位で自分でも信じられないけど、すごく嬉しい! 全部、詩織さんのおかげだよ。ありがとう!』


『おめでとう。良い結果が残せたのは、紗良が頑張ったからよ。日曜日にお祝いしましょう』



 昼休みの終わりに来た連絡に、囲まれて慌てている紗良が目に浮かんで口元が緩んだ。試験も終わったので、今はもう放課後は紗良の家に行っていない。顔を合わせるのは朝の通学電車と週末だけだ。今週末はケーキでも買ってお祝いしよう。

 それにしても二位か。ここまでくるといっそ首位じゃなかったのが残念なくらいだが、首位だと今度はまた別の意味でめんどくさそうだし、逆に良かったかもしれない。紗良には言わないが、二位でもちょっと出来過ぎたくらいだ。今後は上位をキープすることを期待されてしまうだろう。


「それにしても、椿ヶ丘で二位取らせるって、どんな教え方したのよ?」

「私が教えたのは基礎だけで、あとは隣で一緒に勉強してただけよ。聞かれてわかるとこは教えたけど……」


 まあ、聞かれたことは全部答えたけど。聞かれなくても、大事なポイントは教えたけど。でも、やっぱり一番は紗良の元々のスペックの高さと努力だ。教える側の力なんて微々たるものである。

 それよりも大事なのは、順位の発表後に紗良が人に囲まれたということだろう。男子にばかり囲まれたのなら目も当てられないが、これで紗良を見直して声をかけてくる女子が増えてくれるといいのだけど。


 これまで我関せずだったのに調子がいいと思わなくはないが、親しくもない相手のために自分の立場を悪くしてまで立ち向かってくれる女の子なんて、そうそういるとは思わない。十代の子供にそこまで求めるのは期待し過ぎというものだろう。今までごめんね、と謝ってこれから仲良くなれるなら、十分合格点だ。


「少しの間は様子見ね。陽子の友達の活躍に期待するわ」

「大丈夫だと思うよ。あの子、可愛い子には目がないから絶対悪いようにはしないだろうし」

「あ、やっぱり類友……?」


 それはそれで心配なんだけど。陽子みたいなセクハラ上等な人だったらどうしよう。

 ――はっ、でももしかしてこれは百合フラグ? キマシタワー建っちゃう? 可愛いが限界突破してる紗良と、可愛い女の子が大好きなお友達さんの先輩×後輩百合。アリだと思います。

 紗良を大事にしてくれて、刃物持って突っ込んでくるようなライバルのいない誠実な人なら、喜んで応援しますとも。

 いや、でもやっぱり一度直接会って話してみないと、紗良のお相手としてふさわしいかはわからないし……ううん。


「詩織、なんか怖い顔してるけどどうした~?」


 小姑みたいなことを真剣に考える私が、話しかけられているのに気づくまでしばらくかかった。

 だって、推しのお相手はファンにとっての最重要事項だから。いやはや、百合オタの業は深い。

読んでくださってありがとうございます。

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