さんこめ
━━━━━━
「ようやく飯だな」
「話がなげえよな。紙に印刷して配った方が早かったよな」
そう愚痴る俺に創は苦笑する。
「まあこの後はお楽しみって感じだし」
「確かに!」
俺の気分の切り替わりの速さに笑ったのだろうか。創は笑い始めた。
「どうしたよ?」
「いや、なんでもない」
━━━━━━
「おいおいおいハンバーグあるんだけど!」
俺のテンションの上がりように応えるかのように、
「唐揚げもあるぞ!」
と創も言う。
「太っ腹すぎるだろ」
「確かに」
各々がクラスで決められた机に各々の好きな席に座る。
当然ながら女子と男子ではっきり席が分かれる。
視界の教師のいただきますの音頭で食べ始めた。
━━━━━━
「昼飯の後はハイキングだっけ?」
俺の質問に創が答える。
「ハイキングだけじゃなくてアスレチックもあるらしいぞ」
「いいね」
━━━━━━
各々の好きなグループで回っていく。
俺と創、あと二人を足した四人で回ることになった。
二人は早川颯、相田信だ。
「さてどっから回る?」
創の問いかけに、俺が答える。
「アスレチックが先に混みそうだから行くか?」
「それでいいか?」
創が他のふたりに尋ねた。
「ああ、大丈夫だよ」
相田が応える。
暫く談笑しながら歩くとアスレチックエリアに着いた。
十数人いるがまだ混んではいない。
「正解だったな」
得意げに俺が言う。
「正解だったな」
創が言う。
「正解だったな」
早川が言う。
「正解だったな」
続けて相田が言う。
何だこの流れは。
━━━━━━
「たけー」
高所恐怖症の俺も他の三人の後ろからトライするが、少し出遅れる。
木の足場の平均台やら横になって紐で吊り下げられた木を進んでいく。
「まだかよ岳」
創がゴール地点から声を掛ける。
「あとちょっとだから!」
足がふらつきながらもようやくゴール。
しばらくの休憩を挟んでハイキングに向かう。
「まだ帰ってくる人はいないっぽいな」
相田がそう言う。
「じゃあ意外とコース長いのかもな」
早川も続いてそう言う。
「路面濡れてるから滑るのだけは嫌だよなぁ」
俺のつぶやきに創が
「それ、フラグ」
と返す。
「あっやっべぇ」
という俺の大袈裟なリアクションに創が笑う。