表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/9

いっこめ

「それでは各自、自己紹介してくれ。じゃあ、相田から」


 相田という名前の生徒が自己紹介を始める。

 それを皮切りに、各々が名簿順で自己紹介をしていく。

 中学校の部活や、高校での意気込み。各々が短い自己紹介をしていく。


━━その時、俺は一目惚れをしてしまった。


 色白なその女に。


 「榎本観月っていいます。京都出身なので、京言葉がキツイかもしれませんが、こっちの言葉に慣れるように頑張っていきますのでよろしくお願いします」


 そうして軽くお辞儀する彼女の、背中で揺れた黒い髪がやけに記憶に残った。




━━━━━━


 しばらくして、俺の順番が来た。

 椅子を引いて立つ。


 「えー、関根 岳と言います。中学ではバスケ部でした。えー...よろしくお願いします」


 パラパラと気の抜けた拍手が教室を埋める。

 椅子を引いて座る。ギィーと椅子の足と教室の床が摩擦で音を立てるのが、なんだか居心地が悪く感じた。

 



 「それじゃあ、教科書を取りに行く代表、出来れば男がいいな。立候補してくれ」


 おまえいけよ。やだよめんどくせえ。

 その様な男の会話が疎らにそこらから聞こえる。

 中学の同級生だった人達なのだろうか。

 既に関係が構築されている時点で、孤独を感じないのは心底羨ましいと思った。

 6人ほどが手を挙げ、担任の後を追って教室のドアから出ていく。

 すぐに、教室内では歓談が始まる。

 やけに女子の声が響くように感じた。

 暫く経つと両手に教科書が入っているであろうダンボールを持った担任と男たちが戻ってくる。

 そうして各自、教科書を配布され、家に帰った。


 それが入学式の後のレクリエーションだった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ