1.犬に乗り駆けるロリ姉妹
女たらしの小男、ライドボーイ一族のお母さん妄想です。何をどうやったらあんな身も心も歪んだスケコマシが数十人も生み出されるのか……そこに至る道を、書いてみました。
ライドボーイ一族は方向性が分かりやすいですが、まだ全員成敗された訳ではありません。もし本家の進行上矛盾が生じたらごめんなさい。
トップバッターのヒロインは、大人気合法ロリです。
昔むかし、まだ勇者が魔王を倒そうとしていた頃の話。
あるところに、それはそれは可愛らしい四姉妹がいました。
「魔物どもめ、小さいからって馬鹿にするな!」
「おまえたちが大きくても、私たちは恐れない!」
「私たちは犬の速さで、おまえたちを追い詰める!」
「腕が届かずとも、この槍で貫くのみ!」
その姿は、まさに小さな戦乙女。
一度見たら忘れられないその姿は、瞬く間に男たちを虜にする。
彼女たちは、皆愛くるしい顔をしていた。丸くあどけない輪郭、くりっとした幼気な目、年端もいかぬ幼女のような開き始めたばかりのつぼみのような顔をしていた。
一人は、ちょっとキモカワイイに足を突っ込んでいたが。
そして体は、これまた幼児のように小さくいろいろと短かった。
一見しただけでは魔物と戦うことなど考えられないほど、本物の幼児のように手足が小さく頭が大きかった。
初見の者は皆、幼児だと信じて疑わないほどだった。
これでも、彼女たちは既に十代後半……立派に結婚できる年だというのに。
彼女たちは、完全なる合法三頭身ロリ少女であった。
そんな彼女たちは、外見からは想像もできないことに、勇敢な女戦士であった。
その戦いのスタイルも、外見に負けず劣らず独特である。
彼女たちは、長く伸ばせる槍を携え、馬ではなく大型犬に乗って戦うのだ。その犬と槍を己の一部のように操り、果敢なる突撃で敵を貫く。
疾風のように駆ける、四人の小さな突撃騎兵!
人は、彼女たちをこう呼んだ。
『ライドガールズ』と。
ライドガールズの戦いぶりは、男よりも勇敢であった。
小さな体で大の大人よりはるかに大きい敵にも迷いなく突撃し、身軽さを生かして敵の体を駆け上がり弱点に槍を突き立てる。
大人が入れない、もしくは満足に戦えないような狭い魔物の巣にも潜り込み、奥にいる卵や幼体を容赦なく潰す。
叩き出した戦果の数々は、人々の賞賛を呼んだ。
少なくない報酬が、彼女たちの手に渡った。今戦いを止めても、普通の生活をしていれば難なく一生を過ごせる額が。
……それでも、ライドガールズは戦う事をやめなかった。
彼女たちは、将来にとてつもない不安を抱えていたから。
「貴女たちの体では、子供を産むことは難しいでしょう」
それは、医者から宣告された言葉。
ライドガールズは間違いなく、女性として成熟していた。
しかし、いかんせん体の容量が小さすぎた。
女として体内で普通サイズの赤ちゃんを育てるだけの余裕が、彼女たちのあまりに小さな体にはなかったのだ!
『赤ちゃんを産めない』
これは、ライドガールズの将来に立ちはだかる壮絶な宿命であった。
彼女たちは、将来自分が衰えた時に支えてくれる子を作れない。つまり、死ぬ時まで自分を支え続けられる財産がなければアウトである。
おまけに、結婚も難しい。世の男の多くは孕ませるために女と結婚するのであり、それができない女は対象外になってしまうのだ。
それにもし結婚できたとして、間違って孕んでしまったら人生終了の危機である。
それが分かっているので、彼女たちは結婚を諦めていた。
周りの男たちもそれが分かっていたので、娶ろうとはしなかった。
ライドガールズを慕い、愛でる男は多い。
彼女たちの幼い容姿と勇猛な戦いぶりは、周囲の男たちの庇護欲を漏れなくかきたてる。ナデナデして、守ってやりたいと思わせる。
中には、彼女たちを性的な目で見る者たちもいる。
何せ彼女たちは、もうヤッても何の問題もない年なのだから。
合法ロリ万歳!!
……とはならなかった。
ヤッた後彼女たちがどうなるかを考えると、自重せざるを得ないのだ。自重できないバカは、周囲が彼女たちの命を守るため叩き潰した。
彼女たちが大事だからこそ、『Yesロリータ、Noタッチ』である。
ああ、悲しいかなライドガールズ!
どれほどの男が彼女たちを愛そうと、彼女たちが受け入れることはできないのだ!!
だから彼女たちは、勇猛に戦い続ける。
「稼がなくちゃ」「戦えるうちに」「倒す魔物が」「たくさんいるうちに」
折しも、勇者ゴッドスマイルが魔王に挑もうとしていた。
魔王が倒れて魔物が少なくなれば、自分たちは今のように稼げなくなるだろう。そうなる前に、少しでも……!
そうするうちに、魔王は倒された。
魔物の脅威は、目に見えて減り始めた。
ライドガールズは、少しでも魔物のいる所を求めて危険地帯に突撃した。
少しでも実入りをよくするために、危険な魔物に挑むようになった。
このまま戦い続けたら、いつか運が尽きて死ぬかもしれない。むしろそうして死んだ方が、幸せかもしれない。
そう思って犬に身を預け、突撃を繰り返していたある日……
奇蹟は、起こった。
魔王を倒し、神のごとく讃えられる勇者……ゴッドスマイルの迎えである。
「君たちに、勇者様の子供を産ませてあげよう」
御神勇者の使いは言った。
魔王を倒した後、ゴッドスマイル様はハーレムを築いて子作りに精を出している。
勇者の血筋を、あまねく世界に広めるために。次代を担う強い勇者を、たくさん生み出して世界を守るために。
そのため、ハーレムには様々な才能を持つ女が集められている。
様々な才能を持つ女と子をなし、多様な強さを持つ勇者を生ませるために。
そういう意味で、ライドガールズは比類なき個性を持っている。
だからぜひとも、その強みを継いだ子を生めと。
「で、でも……私たち、体が……!」
己の身を心配するライドガールズたちに、使者は笑って説明した。
ゴッドスマイル様のハーレムでは、安全に子を生めるよう万全のサポート体制が整えられている。
安産の加護、妊娠や出産時の治療など、全ては無料で施される。
それに、子供には母親の能力や性質を色濃く反映するよう魔法をかける。だからおそらく、その体に見合った大きさの子を授かるであろう、と。
「そ、それじゃあ……!!」
ライドガールズの目に、光が満ちた。
どうせ無理だと、諦めていた夢が叶う。
他の女の人はできるのにどうして私たちだけ、と羨んでいた……女として普通の幸せが、手に入る。
しかも、世界を救った勇者の妻として……!
まさに、シンデレラ以上の、奇蹟っ!!
ライドガールズはすぐさま承諾し、ハーレム入りした。
「私たち」「幸せになります!」「たくさん産みます!」「勇者様のお望みのまま!」
周囲から沸き立つような祝福を受け、小さな体に不釣り合いなウエディングドレスを身にまとい、ゴッドスマイル神殿に立つ。
ハーレムには既に数百人の妻がいたが、ライドガールズは気にしなかった。
だって、本来叶うはずがなかった願いを叶えてもらえるのだから。
しかも、救世主の子を生むという世界最高の形で。
ここまでしてもらえるのだから、勇者様の愛まで独占しようとするのはおこがましい。むしろ、選ばれただけでも恐れ多い。
「勇者様の愛は」「とても尊いから」「私たちだけじゃなくて」「みんなにも分けてあげなくちゃ」
ライドガールズは、喜びで胸が一杯だった。
勇者様は本当に世界中の人を救ってくれるのだと、胸を打たれて涙した。
そして、こんな救いが他の女性たちにも降り注ぐならそれはとてもいいことだと解釈した。
自分たちが生む子も、将来はそんな勇者になるのだと誇らしく思いながら……。
小さな体に、偉大なるゴッドスマイルの愛を受けた。
そして小さな体に宿った、小さな命……!
どんどん大きく膨らむ腹に、ライドガールズはこれまで味わったことのない苦痛を受けた。
短い胴の中で内臓が子宮に押しつぶされ、まともに食べることができない。呼吸すらも、ままならない。
小さな体を支える少ない血液では二人分の需要に十分に応えられず、常に酸欠で苦しくて頭がフラフラする。
短い手足ではボールのようになった体を支えられず、まともに動くこともできない。
もし一般の家庭でこうなってしまったら、もう生活が成り立たない。
だが、勇者の子とその母を守る体制に偽りはなかった!
孕んだライドガールズには、お付きの医者や聖女たちにより最高級の医療と介護が施される。
世界中から集められた高級・希少食材を惜しげもなく使った、消化が良く食べやすく栄養的にも最高の料理。
母と子をダメージから守るように絶え間なくかけられる、身体強化。
そして何かしたいことがあれば、すぐにメイドがとんできてやってくれたり、輿で運んでくれたりする。
まさに、至れり尽くせり!!
夢のような月日は、あっという間に流れ……
夢にまで見た日が、やってくる!
これまでこなしたどんなクエストよりも苦しく、身も心も充実した生活の果てに……ついに腕の中に抱いた、次代の勇者!
「あ、赤ちゃん……」「信じられない」「私たち」「ママになれたぁ!!」
ライドガールズそれぞれの腕に抱かれる、小さな赤ちゃん。
ライドガールズの小さな体で抱き上げられる、小さな小さな赤ちゃん。
生まれてきた子は、通常よりはるかに小さな体をしていた。事情を知らぬ者が見れば、間違いなく早産と判断するほどの……。
そして、頭が大きく体はなおも小さかった。母親となったライドガールズの血を色濃く反映しているのは、一目瞭然だった。
そしてそして、その子たちは皆……男の子であった。
ゴッドスマイルが子作りするのは、次代の勇者を増やすため。
そしてこの世界で、勇者は男しか認められない。
以上の事情から、ゴッドスマイルは生まれる子が男になる確率を最大限まで上げるよう魔法をかけていた。
つまり、こうして生まれてきた子は……
約束された、将来の勇者!!
ライドガールズは、胸に収まりきれない幸せに涙を流していた。
間違いなく、人生で一番幸せな瞬間だった。
こんな体に生まれて、赤ちゃんを産むのは困難だと言われて、自分たちには無理なんだと諦めていたのに。
無事生ませてもらえたどころか、将来の勇者だなんて……!
まさに、神の御業としか思えなかった。
そしてその神とは、ゴッドスマイルのことだった。
ライドガールズは、何としてもこの恩を返さねばと懸命に子を育てた。
彼女たちの小さな体では小さな赤ん坊に十分な乳をまかなうのも難しかったが、そこでも勇者サポートが助けてくれた。
普通の家庭ではとても用意できない、栄養価の高い食事。母親の体を強化する、ありとあらゆるアイテムと加護。
それが小さな体を支え、不可能を可能にした。
体に見合わないほど肥大した乳を赤ん坊に吸わせながら、ライドガールズは思った。
この幸せな時間が、いつまでも続けばいいと。
……その願いすら、神は聞き入れてくれた。
ゴッドスマイルの彼女たちへの寵愛は、一度で終わらなかったのだ!
これは非常に珍しい。
ゴッドスマイルの妻は年間250人のペースで増え続けており、妻となっても複数回愛されるのは稀なのだ。
ここでも、彼女たちの比類なき個性が火を吹いた。
ゴッドスマイルは子供たちに多様性を持たせたいので、珍しい性質の女性は何人も子を生ませてもらえる。
他の女との子が持たない個性を与えられるのが、最大の強みであった。
さらに彼女たちの特異な外見も、味方する。
ゴッドスマイル神殿のハーレムに送られてくる女は、多くが女として非常に魅力的な姿をしている。
ありとあらゆるタイプの美女が、あふれている。
だが、ライドガールズほどのロリは他にいなかった!
ゆえに、ゴッドスマイルは彼女たちを何度も愛した。
いくら肉が好きでも、毎日三食肉ばかり食わされれば野菜が欲しくなる。同じように、大人の女を食い飽きたゴッドスマイルの足は時折このロリ姉妹に向くのだ。
しかも二回目以降はライドガールズが授乳中だったため、その姿は三頭身ロリ巨乳というさらに歪で背徳的なことになっていた!
ゴッドスマイルは、そのここでしか味わえない体を何度も味わった。
結果、ライドガールズは次から次へと子を孕まされる。
まだ歩けもしない子に乳をやっているところに彼女たちの神様がやってきて、小さな体に次の子を授けていく。
その子をようやく生み落として乳をやっていると、また同じことの繰り返し。
見方によっては、もはや拷問ともいえる状態である。
だが、それでもライドガールズは心の底から喜んで受けた!
その生活は彼女たちにとって、夢のような喜びの連続に他ならなかった。
それに、育児のサポート体制も完璧だ。
生まれた子には、必要とあらばすぐ乳母があてがわれる。ある程度育ったらハーレムから出て勇者学校に入れられるため、母親の負担はなくなる。
そのためライドガールズは上の子の世話に追われることなく、好きなだけ赤ん坊を腕と腹に抱いていられた。
結果、彼女たちの子供は毎年のように増え続け……。
ついには、勇者一族の中で数十人もいる一大派閥を形成することとなる。
『ライドボーイ一族』の誕生である。
ライドガールズの血を濃く受け継いだ彼らは、一様に小さな体で愛くるしい顔をしていた。成長しても、母と同じく三頭身であった。
彼らは、母と同じように周囲から可愛がられた。
子供の内は、小さいほど愛らしい。
母から受け継いだ小さな体は、特に女性の母性を刺激してメロメロに蕩けさせるのに最適であった。
子供のうちは……。
問題は、純然たる価値観の男女差であった。
女は大人でも小さい方がいいという男は多いが、男が大人になるとそうはいかない。
ライドボーイたちは気づく。
成長する過程で、小さい頃はあんなに自分に夢中だった周囲の女たちが、他の背の高い勇者に目を奪われていくことに。
そして、何かをしようとして……絶望する。
遺伝子によって決められた背の高さは、努力で何とかなるものではない。
それでもライドボーイたちは、今まであんなにチヤホヤしてくれた女たちが手のひらを返すのを認められない。
何としても女の気を引こうと無意識に努力し続け……すさまじいスケコマシの才能を開花させるに至る。
さらに戦闘面でも、問題があった。
ライドボーイたちは女戦士の子として、間違いなく戦闘の才能があった。
もちろん彼らも、戦闘を主に行う勇者……戦勇者の道を選ぶ。
すると、すぐに体格差の問題が立ちはだかった。
勇者はパーティーにおける戦の華であり、派手で強力な戦い方がふさわしいとされる。
しかし、ライドボーイたちの体はあまりに小さかった。
それほど体格差がない幼い頃はいい。しかし周囲と自身の成長と共に、その差は確実に牙をむく。
同じ長さの武器を振っても、圧倒的にリーチが足りない!
他人の倍以上早く足を動かしても、なお機動力が足りない!
それに何より、小さすぎて華がない!!
悩んで久しぶりに会いに来た息子たちに、ライドガールズは軽く言った。
「犬に乗ればいいじゃない」「狭いところ専門になればいいわ」
彼女たちにしてみれば、的確なアドバイスであった。
しかし……しかし、一介の女戦士であった彼女たちと勇者である息子たちでは、置かれた立場も求められるものも全く違うのだ。
彼女たちは、それを全く分かってやれなかった!
勇者の戦いは、常に王道!
乗るべきは立派な馬であり、卑しい犬などではない。
狭くて汚い場所での地味な戦いなど、勇者のすべきことではない。
ライドガールズの誇っていた戦い方は、勇者に求められるやり方ではなかった。
息子のライドボーイたちはそれを現実として知ったうえで、女たちの目を離させないために、一番近しい女である母に相談しに来たというのに……。
勇者の悩みに、母は無力!!
そもそもライドガールズたちは、息子がどんな壁に当たって危機感を覚えているのかすら知らなかった。
当たり前だ。彼女たちはもう何年も、上の子の面倒を見ていないのだから。
彼女たちの心を占めているのは、今も乳を飲んでいたり腹の中にいたりする新しい赤ん坊のことばかり。
そのうえハーレムから出られない彼女らは、上の子がどう育っているか見ることはない。
ただ幼児まで育てて送り出し、後は無事に育っているという報告を聞くだけだ。
これで息子たちにとって的確な答えを出せという方が、無理!!
彼女たちにとって、関心は下の子たちにしかなかった。
下の子たちの世話で手も心も一杯で、上の子どころではなかった。
それに、元々子供を授かって育てる未来なんて考えられなかったせいで、子供が大きくなった時のことなんて考えたこともない!
「……どうしたの、そんな顔して?」「ママが恋しいのかな?よしよしナデナデ~」
彼女らの中では、上の子たちの心も赤ちゃんのままだ。
下の子らから目を離さぬまま、片手間で対応……!
それを見た上の子たちは、激しい怒りと失望に襲われる。
お母さんだから、信じていたのに!
お母さんだけは、親身になってくれると思ったのに!
(この女……いやメスブタどもは、ゼピュロスたちを生み捨てて利用しただけだったのシャ!メスブタなんて、皆こんなもんなのシャッ!
だったら……こっちも好きなだけ利用して食い散らかしてやるのッシャッ!!)
かくしてライドボーイたちは、女を人として想う心を失った。
反面、父であるゴッドスマイルは誰よりも息子たちの味方だった。
初めの方に生まれた子たちには、伝説級の長柄武器が惜しげもなく与えられた。下の子たちの頃になると、それらの在庫が尽きて普通の武器になっていたが。
さらに、彼らが乗るための『犬』も与えてくれた。
野良犬と呼ばれた、一人の尖兵……ライドボーイたちは彼を乗り回し、人間の乗り方を覚えた。
その尖兵を乗り捨てた後は、父から騎乗用の尖兵を一人一人与えられた。
これで低身長をごまかし、好き放題に女をたぶらかせる!
ライドボーイたちにとって、それが何よりのプレゼントだった。
この絶大なる喜びをもってライドボーイたちは、所詮母などメスブタであり、父こそが絶対神であると心に刻んだ。
さらに、ライドボーイたちの増長は止まらない。
尖兵を乗り回すことにさえ不満を覚えた上の子たちは、体型を変えるためだけにある意味人一人よりも手間と費用の掛かる義肢……アークギアに手を出す。
ちょうどその頃、マリーブラッドHQ率いる創勇者たちがいかに装備で勇者の威厳を高めるかを研究していて、ライドボーイはその恩恵を受けた。
小さな体を大きく見せるためだけに、一般の人々から吸い上げられた巨万の富が湯水のように注がれていく……!
偽りの高身長を手に入れた彼らは、その愛くるしさを利用してアイドルとなる。
元より小さな体でお互いを見失わないように声を張り上げていたライドガールズの息子たち。
その声には、歌の素質があった!
そうして名実ともに女たちの思慕の的となったライドボーイたちは、寄って来る女たちを食い散らかし……。
……という事になっているなど、母は知る由もない。
ライドガールズたちは相変わらず、夢にまで見た赤ちゃんに夢中だ。
他に類を見ない魅力を守るため、ありとあらゆるアイテムと魔法を使って若さと美貌を保ちながら子を生み続ける……!
そしてその子たちは、また新たなライドボーイに……!!
もはや、女漁りの小男量産装置!!
彼女たちは知らない、自分の子らが世の女たちにどれだけ害をまき散らしているかを。
赤ちゃんでなくなった子らが自分の手を離れてから、何を思い何に従って世の中を闊歩しているのかを。
彼女たちは未だ、御神勇者の愛と赤ちゃんの夢の中……!
精神的にも物理的にも隔離された外界のことなど、知ったことではない!
今日も赤ちゃんを抱きながら、ライドガールズは幸せに浸る。
時折耳に届く上の子たちの華々しい噂が、その幸せにさらに花を添える。
「あの子もハーレムを持ったって」
「もうモテモテで希望者殺到らしいわ」
「きっとすごい功績を上げているのよ」
「さっすが私たちの子!」
彼女たちはこれっぽっちも知らない……息子たちの多くは女を引きつけるアイドル活動ばかりしていて、まともに戦ってすらいないことを!
ああ、悲しきかなライドガールズ!!
彼女たちはただ、与えられた幸せに身を委ねただけだというのに……!!
今日もライドボーイたちは、女を惑わし、食らい、時に使い捨て、殺す。
今日もライドガールズは、普通の家庭とはかけ離れた手厚い保護の中で覚めない夢に浸り続ける。
どちらにも、想像もできない額の富が一般から吸い上げられていく。
それは、彼女たちがいつか夢見た普通の幸せからはかけ離れていた。
幸せの魔法にかかったまま、不幸装置を生み続ける姉妹……
彼女たちは、成敗されるべきや否や?