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エピローグ
高校三年は多くの人がそうであるように、オレも否応なく受験戦争に巻き込まれた。勉強の忙しさにかまけて、鉄朗と連絡を取ることも徐々に少なくなり、それに合わせてあの旅を思い出すことも減っていった。
勉強の甲斐あって、第一志望ではなかったけれど、行きたかった学部にも合格した。大学が決まってから、車の免許を取りに冬の自動車合宿に参加した。なるだけ早く車の免許は取れ、というおとんのお達しがあったからやった。
大学までは電車で片道一時間。それでも交通費がバカにならないので、オレはバイクを買うことにした。
迷った挙げ句、乗り慣れたリトルカブを買った。
そして春。
卒業式を終え、大学入学の日。
オレは寝坊をした。
慌ててカブを走らせて、大学の駐車場に来ると、新入生全員が揃ってることもあって、ほとんど空きが無かった。ロータリーをぐるぐる回りながら、なんとか見付けた空きスペースに突っ込んで行く。
鍵を掛け、前輪をチェーンロックし、鞄を持ってそこを離れる。
と、視界の隅に見えたモノに、オレは足を止めた。
振り返る。
駐めたリトルカブの隣りに、スーパーカブ。
九夏3000キロ 完
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